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タケトピ徒然草  新人と熟練工


腹水が溜まって抜くのが怖いから我慢しているという人々に朗報。麻酔はチクッとするけど大丈夫。失敗してもそんなに痛くない。抜いて楽になった方がずっといいよ。

さて、腹水を抜くのはきよし師匠ではない。目を開けられず姿はあまり見ていないが、声は石黒賢だった。石黒賢が指示を出し、若そうな誰でもない声の人が刺す。臓器を傷つけないよう、気楽にお願いできる割には繊細な技術が要求される。慎重に慎重に刺し、、て、、

「痛っっ」

「お腹つっぱりますか?」

「いえ、針が刺さる痛みです。」

新人くんから石黒賢に交代して刺しなおす。
さすが石黒賢、無事成功。

少しずつ水を抜きながら、長い間苦しかったですよねとか、どこが一番辛かったですか?とか。きっと愚痴を聞いて気持ちを楽にするという役割も担っているのだろう。営業マンの如く見事な共感リアクション芸に、石黒さんお気遣いありがとうと言わざるを得ない。

一方の新人くん。このあともさっきの痛みを気にしてくれて、痛みないですか?刺した痛みありませんか?と何度も全くの素で心配してくれる。大丈夫ですよ。

素晴らしい熟練工と初々しい新人くん。
なんともこの組み合わせは天下一品でござる。

病院って案外面白い

                 (つづく)

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