26.マーカー上昇

 2018年8月には腫瘍マーカーの数値はCEA117(前回88)、シフラ10.1(前回8.4)と、また高くなってきました。「キィトルーダ」再開後3回目(計7回)を終了しましたが、相も変わらず、倦怠感、咳は続いています。
また癌細胞にしか存在しないネオアンチゲンをターゲットとした癌免疫療法が可能かどうかを調べるとのことで、同意し、A病院にてCT検査がありましたが、結果として、治療は不可とのことでした。以前の生検した細胞で調べられたのか、詳しい説明もなく不明です。

 この時期、CEAは220(前回150)、シフラ16(前回15.28)と再び上昇したため、A病院では、分裂、増殖を抑える「TS―1」という薬の服用が2週間ほど試されました。
一方、熊本での放射線治療の定期検査では脳幹部分については、落ち着いているものの、再びその周辺部に1ミリ程の腫瘍が数個みられるようで、1ヶ月後の要検査となりました。

 当時、新聞、雑誌などではアメリカから帰国された「中村祐輔教授のネオ抗原ペプチド」治療に大変興味を抱き、教授、来福の折には講話を聞きに伺い、また同教授の治療法を行っている福岡のクリニックを訪ね、治療をお願いしましたが、患者の新鮮腫瘍組織が必要であり、残念ながら私は採取不可能との診断でした。そこで提案された従来方法の樹状細胞ワクチン、共有抗原ペプチドを行うため、血液を採取し、5年間冷凍保存しておくことで、体調に合わせて施術することにしました。
もちろん、万人全ての人に効果があるとは限らず、その治療法で延命された方、そうでもなかった方等の話もお聞きしました。
まだ私はこの治療法にはその後チャレンジはしていません。それなりの出費も当然必要のようです。

 2018年11月の検査で再び脳に7ミリの腫瘍が確認され、今回は4回の放射線治療を行うことになりました。もちろん例のマスクを装着しての治療となります。その折、肺の腫瘍が1/2位小さくなっているとの話もあり、マーカーの数値も「TS―1」の効果なのでしょうか。一時的に下がっていました。

 しかし喜びもつかの間、翌12月にはA病院では肺の他の部分に新たな腫瘍が判明したとのことで「前回のCT撮影時に見逃していた。」との医師の言葉に唖然とし、「医師としての最低限の努めは果たせ。」と言いたくなります。
そのショックの影響ではないのですが、一時的であれ、下がっていたマーカーも再び上昇し、おさまっていた酷い咳も再発しました。

 また何なのでしょうか。歯茎の腫れ、痛みも生じ、市内の歯科クリニック通いも始まりました。このことも担当医師には伝えたのですが、無視。
自分の専門分野でないと思ったのでしょう。医療に従事する者は、目の前にいる患者に対し、人に寄り添い、人を治す、それが目的であり、また努めなのでしょうが。これが後に大きな事になるとは想像もしませんでした。

 やはり癌は難病です。治療も思うようにはなりません。2018年の年末まできました。私の症状では、頑張っても3年限度とも聞きました。3年4ヶ月経ちました。今年も大波(大鬼)、小波(小鬼)襲来の一年でした。2019年を耐えきれるのか、不安でいっぱいな年の暮れです。


北よりの風が強く、海は荒れ模様 日によって顔を変える海は人間に牙をむくこともたびたび。

自然を相手にしながら、瞬時のタイミングでクルーが力を発揮できた喜びは他では得がたい喜びである。明日の天候を祈りながら眠りにつく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?