5.精密検査
健診のクリニックにて「癌の疑い」との判定が出てA病院の呼吸器内科を紹介され、早速数日後に受診しました。
地方都市では癌の疑いと言われ治療を含め選べる病院の数は多くなく限られてしまいます。私の選んだA病院は地元では多くの方が最高の医療と医師団を要する唯一無二の病院であると確信していると思われます。
その日は血液検査、CT撮影を行い、腫瘍マーカーであるCEAは48.7(基準は5以下)シフラは5.49(基準は2.8以下)とのことで、また疑いから現実へと近づきました。
腫瘍マーカーの数値の知識すら全くなく、ただ医師の言葉、指示に従順に従うのみです。それ以外の術は何も持ち合わせもありません。
「癌、ガン、がん」「こんなに元気なのに、私が何故。」
とっさの考えは悲観的になりやすく、少し落ち着いて考えると、希望も生まれてくると言います。
これは原始時代から続いている「人間の基本的思考パターンである。」と何かで読んだ覚えがあります。
一息ついて、将来(私にとっては少ない年数かもしれません)の可能性を考えてみるように努力しよう。「原因探し」ではなく、「生きるための方法探し」をするように意識しよう。確かに「原因」が判れば「解決策」が見つかることはビジネスでは多々あります。
しかし今回ばかりはこの現実、「癌に罹患した」という原因を考えてもこの事実は変わりません。
それよりもこれからどうすればよいのかという「方法探し」をする方がずっと大切なはずです。
そのように考え出すと自然に前向きになる生き方ができるような気がします。また過去よりも許されるならばこれからの「生き方」を一部分でも少し変えていかなければならないかと思いました。
実はこのような考えは、これからのいろいろな経験をすることによりずっと後になり分かってきたことなのですが。自分の生き方を見つめ直す時間を与えられるのが「癌」であり、また少しの時間を頂けるのも「癌」の特徴かと思います。
その後人生初の3日間の検査入院を経て8月末に医師からの詳しい病状説明があるとのことでした。
「癌に捕まってしまった。」そのことを深く考え込みたくない。
心は落ち込んでいても体調はこれまでと何ら変わることもない状態。
家で病人らしく過ごすと何かと考え込んでしまいそうなので、何もなかったように仕事、日常生活を送るように努め積極的に外出し、人と出会い、会話をする日々を過ごしました。
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