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【レビュー】BALMUDA Phone、そんなにダメだった?買って試してみた(2024年1月版)

覚えていますか?BALMUDA Phone。
華々しく登場したものの、強気すぎる価格と独創的なデザインから、発表時にネット上で酷評を浴びたBALMUDA Phone。

今回は、実際にBALMUDA Phoneを手に入れてしばらく使ってみたのでレビューしていきます。

なんで酷評された?

レビューを見ていく前に、BALMUDA Phoneが酷評されてしまった理由から振り返っていきましょう。

強気の価格設定

BALMUDA Phoneに搭載されているSoCは、Snapdragon 765

ほぼ同じSoC(SDM765G)を搭載した、Google Pixel 5(SoftBank)は定価87,840円。
対してSoftbank版のBALMUDA Phoneは定価143,280円。

スペック上はミドルレンジクラスだったのですが、価格はハイエンド並みで、SoftBank版の定価は当初から変わっていないようですが(値下げ前に在庫完売した可能性もあり)、SIMフリー版は値下げが入り、現在は78,000円となっています。
正直、それでも割高感は否めません。

このURLから、BALMUDA PhoneとGoogle Pixel 5との比較を見ることができますが、正直、BALMUDA Phoneが優っているポイントがないことがわかります。

膨らんだ背面デザイン

BALMUDA Phoneのデザイン。実際に外観を見てみると背面が丸みを帯びており、また、プラスチックを生かしたシボ加工(のような手触り)が可愛らしい感じですが、これも登場当時はかなり批判されていたような気がします。 

BALMUDA Phone 背面

…たしかに時代に逆行しているデザインではあります。P-07C(2011年発売)と並んでいても意外と受け入れられます。

手に馴染みやすい美しいデザイン…のはずでしたが、背面が丸みを帯びている形状のため、机に置いた時の操作性が悪く、非常に操作しにくいと批判されています。
背面が不安定なことはバルミューダも自覚があるようで、設定項目の中には”端末をはじいて画面をONにする”設定項目があります。

もはや自虐ネタ

くそデカパンチホール

BALMUDA Phoneのディスプレイサイズは4.9インチと、最近のAndroidスマートフォンとしてはだいぶ小ぶり。

…ですが、パンチホールディスプレイとなっているため、表示領域がより狭くなっています。

非表示領域を黒くハイライトしたもの

TwitterXを見ていると、一覧表示の時、画像付きのツイートポストだと、1つしか表示できないこともあります。

ポストが一つしか表示できていない例

…と、BALMUDA PhoneはスマートフォンとしてOSの最適化不足や、「小さな使いにくさ」が積み重なった結果、完成度が低いように見えるスマートフォンという認識になったのではと思います。

でも、実際に使ってみないと本当にダメなスマートフォンだったのかは分かりません。
ここからは実際にBALMUDA Phoneを触ってレビューしていきたいと思います。

スペック

では、レビューに進んでいきましょう。まずはスペックから。
BALMUDA Phoneは前述の通り、ミドルレンジクラスのスマートフォン。

スペック表

スペックとしては、京セラ TORQUE 5Gや先の比較で登場したGooglePixel 5などと同様のスペックです。

外観

BALMUDA Phoneは外観が特徴的です。”直線のないスマートフォン”をコンセプトにデザインされています(”膨らんだ背面デザイン”を参照)。

デザインはバルミューダの社長でもある寺尾氏によるものです。

”使うと味が出る”デザイン

バルミューダによると、BALMUDA Phoneの外観デザインは”使い込むと深い艶が出る(=エイジングされていく)”とのこと。

各部外観

正面

ガラスフィルムを貼り付けている状態

右側面

右側面はSIMトレイのみ

左側面

上部寄りに音量ボタン

下部

USB Type-Cとスピーカー・マイク

上部

上部にはよくわからない穴がある

背面

一番特徴的な背面

起動

では起動していきましょう。

起動すると、いきなり特徴的なロック画面が表示されます。Android 12のロック画面のデザインよりはだいぶ好みですが、好き嫌いが分かれそうなデザインです。

ホーム画面

ホーム画面はこんな感じ。

ホーム画面

BALMUDA Phoneの特徴でもあるこのホーム画面ですが、画面上半分に表示されたストライプをなぞることで事前に指定したアプリや機能を立ち上げることができます。

デザイン面でのカスタマイズ性も高く、ストライプの向きや色、オーナー情報の表示・非表示やシグネチャー("Taketetu”表記のある部分)のフォントの変更も可能です。

ところで、登場当時はホーム画面に関する批判は少なかったような気がします。

独自アプリ

BALMUDA Phoneはバルミューダがこだわった独自アプリも特徴です。

「スケジューラ」「メモ」「時間と天気」「計算機」の4つが独自アプリとなっており、それぞれに小さい画面でも使いやすいような工夫がされています。
特に「スケジューラ」はデザインだけでなく実用性も高く、Google Playにも登場しています。

独自アプリ

カメラ

BALMUDA Phoneが酷評されてしまった理由の一つに、カメラの性能があります。

『”料理モード”でラーメンを撮影すると青味がかった写真が撮れる』というものが主な批判の理由のようですが、登場当時の話で、現在はアップデートが重ねられていそうです。
ただ、実際に使ってみないとわかりません。実際に撮影して比較してみました。

今回は比較対象として、iPhone 15 Proと比較をしていきます。

三脚に取り付けれない

スマートフォンのカメラを比較する時には、こんな感じの機材を使って比較をするんですが、なんとBALMUDA Phoneが分厚すぎて普通の向きで挟み込むことができませんでした。

分厚さの弊害がまさかこんなところで出るとは思わなかった

写真

まずは写真から撮影。両端末とも撮影設定は変更せず、撮って出しの状態です。

昼間に、街中の写真を撮ってみました。

BALMUDA Phoneで撮影(タップで拡大します)
iPhone 15 Proで撮影(タップで拡大します)
細部をズーム。案外、iPhoneと比較してそれほど見劣りするものでもない

iPhone 15 Proの方が色合いが鮮やかに見えますが、案外BALMUDA Phoneも健闘しています。設定を変更していないため、両端末とも有効1200万画素なのが影響しているようです。
”精細さ”で言えば、他のシーンでもiPhoneと見劣りしないクオリティの画像撮影できました。

動画

動画はこんな感じ。

BALMUDA Phoneは動画撮影が最大でも1080p30までとなるため、かなり実用には耐え難いと思います。
また、かなり手ブレも多いことがわかると思います。

AnTuTuベンチマーク

まずは、BALMUDA Phoneの基本的なスペックをおさらいしていきましょう。

今回は、AnTuTu v10とv9を用いてスコアを計測しました。

AnTuTuはGoogle Playから取得できないため、公式サイトからAPKを取得してのインストールとなります。インストールは自己紹介でお願いいたします。

AnTuTu v10で計測したところ、3DベンチマークはLiteバージョンとなりました。

ベンチマークスコアは417,927
うち、GPUスコアは91,022でした。

スコア上では”ゲームしないならまぁまぁ”といった指標で、Snapdragon 835を搭載した端末に迫る性能となっています。
ただ、中古でもSnapdragon 835搭載端末の方が明らかに安いですし、普通に考えたらそっちの方を買った方がいいです。
中古で売られていたとしても、BALMUDA Phoneを買う人はだいぶ限られてくると思います。

ゲームをチェック

PUBG

普段ゲームなんて絶対しないので、プレイできる唯一のレパートリーであるPUBGをプレイしてみました。

気になったのは、画面に表示されるテキストのサイズ
ゲームプレイ自体には影響ありませんが、画面サイズの影響で全体的にかなり小さく、それほど目が悪くない筆者でも画面に近づかないと読めないものもあります。

画質設定は下記が最大。
クオリティ:HD
フレーム設定:

そもそも画面が小さいので、無理に画質を良くする必要はなさそう

最大設定で実際にプレイしてみると、目視では40FPS程度は出ているように見えます
BALMUDA Phone自体が小さいので、iPhoneでプレイしている感覚で持つとだいぶやりにくいです。

そもそも、BALMUDA PhoneはFPSゲームをやるように想定されていないはずです。プレイしにくいのは当然のことです。

致命的な欠点は、スピーカーが手で塞がれること。モノラルな上、背面に配置されているので、普通の持ち方ではスピーカーの音がだいぶこもります。

実際に使ってみた

BALMUDA Phoneを、サブ端末として実際に使ってみました。

小ささ=機動性

まず、BALMUDA Phoneの特徴の一つの小ささですが、持ってみると手に意外と馴染みます。たけてつはサブ端末をあまり活用しないので、意外なことにもこのサイズ感の端末でもちょうどいいことに気がつきました。

NFC/おサイフケータイを搭載しているので、SuicaやiDなどの非接触決済を登録できます。小ぶりなスマホにおサイフケータイが入っているのは結構重要なことで、おサイフケータイとメインのスマートフォンを切り分けしたい人には、良い選択肢となるでしょう。
片手で画面の端まで指が届くので、画面の小ささのストレスは案外相殺されました(個人の感想)

意外なことに知名度が低い

BALMUDA Phoneを人に見せびらかしていると「なんでキッズケータイ持ってるの??」と言われる確率思ったより高かったです。
発表時に一般人でも結構話題になっていた気がするのですが、とっくに忘れ去られているのでしょうか…(その人が普段ニュースを見ない人の可能性もますけれど)。

バッテリー持ちは難アリ

本体のサイズから想像できますが、やはりバッテリーの持ちは悪いです。サイズがサイズだけに仕方ないですが、やはりもう少し筐体は大きくしてもいいのではと思いました。

指紋認証にワンテンポ時間がかかる

BALMUDA Phoneは電源ボタンと指紋認証センサーが一体となっていますが、触れるだけで解除はできず、ボタンを押して画面を点灯させるワンアクションが必要となります。

電源ボタンを押したタイミングで指紋の認証が行われているようですが、画面点灯時のアニメーションが表示されてから、ロックが解除されるため、指紋認証にはワンテンポ時間がかかる印象です。もう少し改善されたらかなり快適になったのではと思います。

画面の端に指が届く

BALMUDA Phoneのディスプレイは16:9比率なので、画面端に簡単に指が届きます。
最近、コンパクトスマホで人気が高いXperia Ace Ⅲ(マークスリー)などは指が届きにくいので、唯一の特徴とも言えます。

まとめ:次世代機が出なかったのが惜しい

今回は、2021年に発売され、ネット上で大変酷評されたBALMUDA Phoneを、2024年になった今(2024年1月)、レビューしていきました。

発売当時にネットで酷評された割には、コンパクトスマホとして案外使い勝手が良いことがわかりました。
この出来栄えであれば、”BALMUDA Phone 2”が登場するのが楽しみだったんですが、そうこうしているうちにバルミューダはスマートフォン事業の撤退を発表。端末の設計と製造を担当した京セラも一般向けスマートフォン事業の撤退を発表しているので、次世代機が登場する可能性は限りなくゼロだと思います。

もし次世代機が登場していたのならば、背面の丸みとパンチホールを改善して、もっとコスパを良くすればかなり良い出来になったのではと思います。

購入して4ヶ月近く経ちますが、普通のスマホにはない特別な所有感を味わうことができて、満足の一台でした。


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