たぶん、それは友達の話

怒涛の2ヶ月が終わった。2023年、下半期は今振り返ってもプロレスラーとして全力で走り回ったと思う。8月はウェンブリースタジアムの8万人の観客の前で試合をし、その翌週にはケニー・オメガにシングルマッチで勝利。その月末には日本でのクリス・ジェリコ戦が決まり、先日その試合が終わった。4ヶ月の間に日本とアメリカを4往復した。

このジェリコ戦というビジョンが見えてからというもの、この2023年はすごいことになるぞという予感がした。それと同時に絶対に失敗できないという重積が降りかかってきた。例えば試合前にケガでもしようものなら、全てが白紙になってしまうので絶対に身体を負傷することはできない。小さいケガなら隠し通せるだろうが、欠場を余儀なくされるものだと無理だ。だから体調や故障箇所にはすごく気を遣ったし、頼むから早く当日を迎えてくれという気持ちだった。

そして試合後に何よりも強く抱いた感想は、
「無事に終わった…。」だった。

それは試合内容も含めて、ホッとしたというのが正直なところだ。この試合を実現させるために、多くの人の尽力があった。もうそれはとてつもない人の数の。DDTとAEWのつなぎ役となった身としては大変ではあったが、助けてくれた人に本当にありがとうございます!という気持ちがとにかく大きかったので、だからこそこの試合は絶対に失敗できないなと思いながらリングに立った。

そして自分の試合が終わってもまだ完全に安心できていないことにふと気がついた。そうだ、もう一試合ある。DDT両国国技館大会の最後を締めるのは、クリス・ブルックスvs上野勇希のKO-D無差別級選手権試合だ。インタビューなどでこの試合について聞かれることも多いが、ハッキリ言ってKonosuke Takeshitaとして答えることに本音みたいなものは存在しない。ただ、リングを降りてスイッチをOFFにして、口を開けながらボケっとしてる竹下幸之介として答えるならばそれは全て正直なものになると思う。だからここに書き記しておきたい。

私にとって。たぶん、それは友達の話。


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