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2023年 第十五週

2023年4月3日(月)アメリカ100日目

勝俣さんと上野さんがオーランドに遊びに来てくれたので、昼からユニバーサルスタジオへ行った。かなり人が多かったからあんまり楽しめないかなと思っていたら、前日ひとりでカリフォルニアのディズニーランドを遊び尽くした男・勝俣さんがガイドをしてくれたおかげで、ほとんどのアトラクションを楽しめた。何故、初めて来たはずなのにここまで効率よく回れるのか。何故、カリフォルニアのディズニーで一日遊んで、レッドアイフライトでオーランドに来て、また一日歩き回って楽しめるのか。それは彼の人生そのものが、ジェットコースターのように急加速で、メリーゴーランドのように目まぐるしい、人呼んで「ライフ・イズ・テーマパーク」だからこそであろう。

家に帰ってからは日本の食事が食べたいというリクエストに応えて豚の生姜焼きなどを振る舞い酒を飲んで寝た。


2023年4月4日(火)アメリカ101日目

NYでMAOさんも合流。昼飯はニューヨークで有名な中華弁当屋をお持ち帰りして、近くの公園でチル。SかLサイズしかないのはご愛嬌。全員がMサイズがあればいいのにと思いながら、Lサイズを頼んで大後悔。上野さんは人生27年で、自身が八角が苦手なことを知ったようで「おれ、八角苦手なんやわ!」とおもしろいことを発見した人のように呟いていた。

けっこういるよ、八角が苦手な人。

そのあとは一度ニューヨークを観光したことがあるMAOさんの経験と記憶を辿りに自由の女神を見に行くツアー。地元民の定期便に乗り込み自由の女神を結構近い距離で見ながら、各々が迫り来る船酔いの恐怖と戦っていた。

夜はホテルに併設しているカジノでちょっと遊んで行こうと思ったら、ものの15分で私の20ドルが400ドルに。勝俣さんの200ドルは0ドルに。

明日はみんな試合があるといいな。

2023年4月5日(水)アメリカ102日目

日本から自腹でニューヨークまで来てくれた選手たち。みんな試合があって本当に良かった。竹下も単身アメリカに来てもうすぐ1年になるが、少しは後輩に貢献できるようなプロレスラーになれていたら頑張ってきた甲斐があるし、この経験を日本に持ち帰って浄化してくれる後輩たちだと思うので、大いに影響されてもらってレベルどころか格すら違う試合を見せて欲しいと思う。

竹下は5時間興行の一番最後の試合で、時間にすると深夜12時を過ぎていた。メインイベントと聞くと聞こえはいいが、カード発表されているわけでもないので会場のお客さんはすでに疎らに。お客さんも疲れているはずなのに、最後の力を振り絞り、入場曲が流れると皆が立って試合を見てくれていた。だから絶対に感動してもらう。意地でもプロレスで感動させる。それがプロレスという闘いだ。

明日になるとみんなは日本へ、竹下はアメリカに残ってそれぞれがプロレスラーとして生きていく。この約一週間は皆にとっては非日常だったかもしれないし、竹下にとっても非日常だった。またコツコツやっていく。日常のコツコツの積み重ねがあるからこそ、非日常が輝くんだ。


2023年4月6日(木)アメリカ103日目

プロビデンスまでバスで3時間半の移動。今日はホテルの天井を眺めながらゆっくり過ごす。時折、天井が広がったり近づいてきたりする錯覚がある。部屋の全面がコンクリの奇抜な部屋だからだろうか。


2023年4月7日(金)アメリカ104日目

今日は試合がなかったので、試合をモニターでチェックしながらいろいろ勉強と研究をする時間に充てた。来た当初はバラバラのピースに見えていた物事が、ここにきて小分けの絵みたいに見えてきて、徐々にではあるが把握出来ている気がする。

最近はアメリカの試合でも息切れしなくなった。ペースを掴めるようになっているのだと思う。

ここらで一発脳汁が爆発するようなカードが決まってほしい。


2023年4月8日(土)アメリカ105日目

飛行機移動には靴下も重要だということに最近気がついた。なるべくフワッと履ける肌触りがいいもの。

ギュッと締め付ける従来の靴下だと、長時間座ってると下半身がだるくなる。

ここにきて去年、坂井先輩からプレゼントしてもらった靴下が活きてきている。もう2足くらい追加で買ってもらいたいので、また夏に新潟に足を運ぼう。そして、おねだりしよう。

オーランドに着いたその足で、すみえさんとイオさんに餃子をご馳走してもらった。久しぶりに口にする餃子は遠征の疲れを飛ばしてくれるほどのエネルギーがあった。


2023年4月9日(日)アメリカ106日目

中邑さんの家にお招きしてもらい、カニパーティー。発泡スチロールいっぱいに入ったカニさんたちの関節を綺麗にへし折り剥いてくれながら、どうやったら人間の関節を外すことができるか、どこを抑えたら人は力を発揮できなくなるかという話を披露してくれる中邑さんはやはりスーパースターであり、カリスマであり、クレイジーだ。説得力がありすぎる。

竹下はここぞとばかりに福島県から持ってきた日本酒をテーブルに置いたが、ほとんど自分で飲んでしまった。幸せな夜。




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