西成ライオット「勇気を出して入ったあいりん地区の大衆酒場」

仮面ライダーアギトに一目置かれる竹下少年



2006年12月09日

自習

昨日の、学校は担任の先生が人間ドックのため、ほとんど自習でした!!

一時間目は、とにかく漢字ドリル(通称漢ド)をひたすらやり続けるという、悲惨な自習でした...

二時間目は、社会のプリントを2枚程行ったあと...

またもや、漢字ドリル(通称漢ド)をひたすらやり続ける悲惨な自習でした(_´Д`)ノ~~

三時間目も四時間目もずっと自習でした!


今思い返すと人間ドックじゃなかったのではないでしょうか。だってこのご時世、人間ドックで今日は全部自習!なんてそんなことありませんよね、さすがに。普通じゃないですよ。西成は普通じゃないんです、はい。

大人になって上京して多少のお酒も嗜むようになり、よく訪れる飲みスポットがいくつかあるのですが特にお気に入りなのが“地獄の赤羽”“天国の立石”。赤羽はもともとが工業地帯ですから、明け方まで働いて午前中に仕事を終えた労働者たちがお酒を飲めるようにと開店が早い。しかも飲み屋街のど真ん中には小学校があり、お昼休みの校庭には児童よりも、へべれけで迷い込んでしまったおじさんがいっぱいいるらしい。まさに地獄絵図。レッドウィング フロム ヘル。

対して立石は極楽浄土。客層のおじいちゃん、おばあちゃんの平均年齢もさることながらアルコール純度100%の焼酎梅割りで一瞬にして昇天することができる。京成線立石駅に列車が到着。とにかく階段をくだりながら街へと降り立つ。天国への階段って登るんじゃなくて、実は降りるんじゃよ。って聞いたときは妙に納得したものだ。


まず工業地帯でもないのに(どちらかと言うと派遣地帯)飲み屋は午前中から開店しているどころか24時間開いている店が数多く存在する。エニタイムドリンクネス。実際、小学校の校庭裏に酔っ払いのおじさんがいたこともあって、パンツ一丁で野良猫と戯れていた。そして、クラスで一生懸命育てていたサツマイモ畑に脱糞した。

猫がじゃないよ、おじさんがだよ。その年、収穫したサツマイモはマルマルモリモリしていた。

酒の純度もやはり高い。ワンカップ大関の自動販売機がそこら中にあるのだが、注目してもらいたいのは自動販売機の上である。幼少期に初めて触れたレゴのごとく、ただただ積み重ねられた空き瓶の山。これの意味することがおわかりだろうか。

西成のアウトサイダーズU-65は、酒を味わうことがない。否、必要がない。脳が欲しているのは五感を満たすことではなく、シンプルにアルコール神に心身を犯してもらうこと。是即ち、ワンカップを手にするとお風呂上がりの牛乳が如く一気に飲み干すのだ。完全にキマリかける寸前の残された僅かな理性で自動販売機の上にソッと空き瓶を置くと今夜の寝床を探すのだった(雨の日はその空き瓶に雨水を貯めて飲み水にするのだとか)。

そんな西成区はあいりん地区で、勇気を出して大衆酒場に入ったことがある。真昼間だったが店内は大盛況。無銭飲食対策でキャッシュオン制度はバッチリなのに、ツケで帰る客多数。異様な雰囲気に当時20歳になったばかりの私は酒を飲む前から完全に飲まれていたが、優しいおじさんが瓶ビール片手に声をかけてくれた。

おっさん「若いのにこんなとこ来たらあかんで! 1杯奢ったるからそれ飲んだら帰り!ポロンっ(入れ歯が落ちる音)」

竹下「ありがとー。じゃあ生ビールください」

おっさん「ビールはあかん。おっちゃんの歯見てみ。ビール飲んでたら前歯全部溶けたんや。ほんで、痛風にもなった。痛風は痛いぞ〜!」

竹下「おっちゃん、ビール飲んでるやん」

おっさん「ワシはもう歯無いからええねん。ポロンっ。ビールのプリン体っていうのはな、コップの底に溜まるんや。だから最後ちょこっとだけ残せばプリン体ゼロや。こんな感じで残すんやで。だから痛風にも大丈夫!」

なるほど!このおっさんはインテリやなーと思いながら、焼酎を奢ってもらった。名は大五郎。知る人ぞ知る甲類焼酎。

おっさん「あんま若いうちから飲むなよ〜。酒はあっても、家なくなってまうからな。ほな、帰りますわ。さいなら。ポロンっ」

そう言い残すと、おっさんはプリン体が集合しているであろうビールの底を飲み干し帰っていったのだった(家ないってどこに帰るん)。

(2019.4.26)

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