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第9回 立川こしら【華麗なる落語家ライフ】『ご当地落語、波乱の現地入り編』

2021年12月20日 お江戸日本橋亭
書籍『“まくら”で知る落語家の華麗なるITライフ』続編!書籍未発表テキストを竹書房落語Noteで連載! 過激過ぎる内容の為、イニシャルトークでお贈りいたします! 関係者からクレームがつき次第、公開中止! 購読はお早めに!


【猛毒(舌)注意】購読の前にご確認ください。
◆本テキストは立川こしらの落語口演のまくらをテキストにするにあたり、文章としての読みやすさを考慮して、全編にわたり新たに加筆修正いたしました。
◆本テキストに登場する実在する人物名・団体名については、一部を編集部の責任において修正しております。予めご了承ください。
◆本テキストの中で使用される言葉の中には、今日の人権擁護の見地に照らして不当・不適切と思われる語句や表現が用いられている箇所がございますが、差別を助長する意図をもって使用された表現ではないこと、また、古典落語の演者である立川こしらの世界観及び伝統芸能のオリジナル性を活写する上で、これらの言葉の使用は認めざるをえなかったことを鑑みて、一部を編集部の責任において改めるにとどめております。
 
【著者立川こしら】
立川こしら(たてかわ こしら)落語家。落語立川流真打。千葉県東金市出身。1975年11月14日生まれ。本名は若林大輔。1996年、立川志らくに弟子入り。落語を中心に様々なエンターテインメントを幅広く手掛ける、アナログからデジタルまで使いこなすクリエイター。


2024年4月2日こしらの集いより
2024年4月2日こしらの集いより

《まくらの前説》
○ご当地落語……3~4人の落語家と落語作家、写真家などが福島・山形の温泉地に4日間滞在し、現地の伝承などをもとにした新作落語を創作・発表。大きな注目を集めた。
○小野川温泉……山形県米沢市小野川町に湧出してきた温泉である。温泉街は米沢の市街地から近く「米沢の奥座敷」と呼ばれている。
〇S志……落語立川流の二ツ目。
〇Sら門……イニシャルにする必要があるかどうかは分かりませんが……。落語立川流に所属する落語家。
〇R助……落語協会に所属する落語家。
〇たとう紙……たとう紙は、長さ約64センチの紙で、着物を三つ折りにして包む際や羽織を包む際、また帯や長襦袢などを包む際に使用する。
〇カメラマンのM藤さん……フォトグラファー。落語家の写真で知られる。
 
 まずはね、今やっておりますご当地落語という奴ですね。小野川温泉と土湯温泉で演ってきましてね。初日は、観光なんですよ。観光プラス地元のレアなスポットを見て歩くだけ。2日目に地元の人にインタビューをする、地元の人の話を訊くね。3日目に落語を作って覚え、4日目に本番ということになる訳ですね。なので、実際に落語を作るのが、この2日目の夜から作り出すっていうのはあったりするんですけれども、そこで作家の(ナツノ)カモを入れて、それと小野川温泉に一番最初に行ったのはボクと、S志とSら門と、あとR助っていうね、……まぁ、立川流でこの辺は固めてあるから、まぁまぁまぁ、オレが言っても言うことを利くなっていうメンバーよ、ここのね。S志、Sら門は、……R助っていうのが、全部の日程に入れる落語家が、R助しか居なかったの、周りで。皆、「忙しい」とか言って、「これ、(メンバーに)入れません」って言うから、全部に入ってくれる人が居たら、いちいち受け渡し事項とかR助にやらせとけばいいから、「大丈夫だろう」と思ってたら、先ずここでミスね(笑)。しないよ。引き継ぎとかね、
「いい? R助、今回あったのを次のメンバーがあるからやっといて……」
「分かりました」
 って、やらないの(笑)。……分かってないっていうか、何を引き継げばいいのかが分からないんですよ。
 これ落語会のルールだったら、きっと分かるんですよね。
「前に、廓噺が出てます」
 みたいなことを言えたりするんだよ、オレは逆に言えないんだよ(笑)。と、言えたりするし、「着物の色が被ってます」みたいなことも、気を利かせて言ったりするのかも知れないけれども、他の業務となると、全く役に立たないのよ。ビックリして、それが。
もうとにかくね、小野川温泉に行く電車の中からトラブル発生ですよ。電車に乗って、新幹線で皆、同じ電車で行く予定だった訳ですよ。一応ね、SNSでボクは点呼をとった訳ですよ。点呼をとってね、なかなか返事が帰ってこないけれども、まぁ、「電車に乗ってんだな」ってというのが分かって、……ホームで会う奴と合わない奴が居たからね。
でも、「何で、会わねぇんだろうな」と思いながらも、でも合う奴は電車に入って、「皆、来てんだな」と思ったら、……途中でですよ。同じ車両に乗った後で、同じ電車に乗ったと思われるSら門から、
「すいません。そっちに行きません」(笑)
 っていう……、
「お前〔めぇ〕、何、言ってんの?」
 って、
「同じ電車に乗ってんだから、米沢駅で降りるんだよ」
 って。
「いや、今、車掌さんに聞いたら、米沢には行かない電車だったらしいですよ。どこで間違えたんでしょう?」
 って、言うから、
「違うんだ、Sら門。落ち着いて考えてくれと。山形に行く新幹線ってのは、元々人が乗ってないから、ね、この1編成で、同じところへ全部行く訳じゃない。途中から分離されて、違う方面に行ったりするから、お前が乗ってる車両が違うだけで、車両を移れば大丈夫だから……」
「そうなんですか……」
車掌も車掌でさ、「バカだろう」と思って、そこまで説明すりゃいいのよ(爆笑)。一般人だと思って説明してるから、……「落語家だな」と思ったら、それなりの説明をするんですよ(爆笑)。本当に、バカしかいないのよ。しょうがねぇから、
「車両を替われば大丈夫だ」
 って、言ったら、すぐ連絡が来て、
「すいません」
 と、
「この車両、閉鎖されてます」(笑)
 もう、次の車両に行けないんだよ(笑)。だから次の駅で降りて、こっちに回って来なきゃいけないっていう事情を、なんでいちいちオレが説明しなくちゃいけないからさぁ(笑)。で、降りて来たの。で、オレの居る車両の外を走ってね、向こうへ行くのよ。
「(目線を追って)あ、Sら門だ……(爆笑)、Sら門が、今、走って向こうへ行った」
 って、言って……。多分、一番うしろまで行ったんだろうね、Sら門から連絡あって、
「こしら師匠、どこですか?」(笑)
「通り過ぎたよ、お前(笑)。いいから、多分、同じ電車に乗ってる。オレ、お前、見つけたから……」
「どこにいるんですか?」
「いや、見つけたから。また、お前、オレのところに来ようとするとトラブルを起こすから。もうそこに居ろ。いいから、そこに居ろ」
「グリーンなんで、ここには居れないです」(爆笑・拍手)
何をしているんだ? もう、全然、物事が進まない訳ですよね。

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