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【第27話】生前の姿のままで保存!元火葬場職員が伝える最先端技術“エンバーミング”とは?【下駄華緒の弔い人奇譚】


―第27話―

エンバーミングという言葉を聞いたことはありますか?
これは比較的新しい遺体の保存方法です。火葬は、当然最後は骨になりますが、エンバーミングはなるべく生きていた頃の姿のままで保存する近代的な方法です。

遺体の血液を抜き取り、代わりに薬剤を注入し腐敗を食い止めます。マリリン・モンローやケネディ元大統領の遺体にもこのエンバーミング処理が施されています。
亡くなった方をそのままの姿で保存したい…という気持ちはよく分かりますが、保存の事を考えるとなかなか難しいというのが現状です。ですので、有名な方や何かを象徴する方によくエンバーミング処理が施される事が多いようです。

では、そもそも何故エンバーミングが生まれたのか? これは非常に悲しく、しかし人類の科学の賜物によってなされた技術なのです。
エンバーミングは、アメリカ近代史の南北戦争で始まったと言われています。
遠い地で戦死してしまった方を、なるべく腐敗を食い止めて遺族の元へ送り届ける為に発明されました。そしてその後の朝鮮戦争やベトナム戦争でも多くの遺体に施され本国へ移送されたという史実があることでエンバーミングが大変評価されたそうです。

ところで、日本では99%以上、ほとんど全ての遺体が火葬される事になっていますがエンバーミングをしてくれる業者は沢山あります。
え? 火葬するのにエンバーミングするの? なんで? と思われたかもしれません。しかしこれにも理由があります。

亡くなってから火葬するまで、遺族さんの都合や火葬場の状況などいろいろ加味して、数日か長いと一週間近く期間が開く場合があります。そんな時、なるべく遺体の腐敗を食い止めたい、ということでエンバーミングが脚光を浴びています。
従来であればドライアイスなどを遺体にあて腐敗を防ぎ、死化粧をし見た目も整えるのですが、エンバーミングはさらにその上を行く技術になります。
今回は火葬と直接の関係があるお話ではありませんが、同じ葬送方法の枠組みとしてお伝えしました。エンバーミング処理をされた遺体を二度だけ拝顔したことがありますが、確かに綺麗でしたね…

著者紹介

下駄華緒 (げた・はなお)

2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。

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