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『STOPOVER -Dedicated To SHAL- 』楽曲解説 (後編)

08. LAST RAIN

この曲の原形を書いたのは2018年だと思います。

実はこの曲を2ndアルバムに収録するという案がありました。
自分は2ndアルバムの10曲目に収録されているLAST ONEという曲の仕上がりに自信が持てず、代わりにこのLAST RAINを収録することを提案したんです。
結局その案は採用されませんでしたが、一応試しに歌は録ることになり、それがSHALの生前最後のテイクとなってしまいました。
そういう経緯もあり、3rdアルバムをリリースするならMVにするのはこの曲だと初めから決めていました。

この曲はTHE UNCROWNED史上最も難産だった曲で、アレンジや展開をかなりいじくっていたのですが、そんな様子を見ていたSHALは「あなたがそんなにもこだわるこの曲はきっと良い曲なんだと思う。だから今後何かしらの形で発表すれば良いよ」と言ってくれていました。

曲自体の展開が複雑且つBメロがかなり長尺なこともあり、バランスの良いアレンジを考えるのにはかなり苦労しました。
とにかく曲が展開していく様を物語のページをめくっていくような感じに出来たら良いなぁ…と思いながらやっていた記憶はあります。

SHALがこの曲の歌詞を書いた当時、彼女はまだ病気にはなっていませんでしたが、この歌詞を読むと"何となくそうなることを予想していたのではないか"と思わせるような部分もあるんですよね。
不思議な話ですが、THE UNCROWNEDを始動させる以前から彼女は「私は病気か何かで早くに死んじゃいそうな気がする」と言っていました。

この曲にはきっと誰も気付いていないであろう隠し要素があるのでここで明かしておきます。

最後のサビの前の「Don’t Leave Me Alone」と歌う箇所でロングトーンを伸ばしきった後に「もっと伸ばすか!」というSHALの喋り声が入っています。
その日はわりと体調が良かったのか、糞ガキみたいな笑顔(笑)でそのセリフを言ってたのが強く印象に残っていて、そのセリフごと思い出を曲の中に収録しました。
3:50〜51辺りにその声が収められているので、イヤホンやヘッドホンで注意して聴いてみると聞こえるかもしれません。

09. SONG FOR 「S」.Ⅱ ~Memories~

THE UNCROWNEDが動いていた頃は、メロディーのアイデアが浮かぶとすぐにボイスレコーダーに録り貯めるようにしていました。(それらの殆どがエレキギターの生音+口笛という簡素なものです)
この曲のメロディーも今後使うかもしれないアイデアの1つとして2019年1月1日にボイスレコーダーに録ってあったものでした。

その後も沢山のアイデアを録り貯めていったので、この曲のメロディーは決して新しいものではなくなっていましたが、SHALが亡くなったことを知ってから何故かそのメロディーが自分の頭の中でずっとループしていました。

元々メロディーに込めた想いやテーマがあったわけではありません。
それでもずっとループし続けるこのメロディーには何か意味があるのだと思い、オルゴール風の小曲に仕上げ、彼女へのメッセージを添えた動画をYouTubeにアップしました。(現在は非公開)

その小曲を少しだけブラッシュアップしたのが今回収録したSONG FOR 「S」.Ⅱ ~Memories~です。
もしSHALの病気が治って彼女がまだ生きている世界線があったとしたら、彼女が歌うこの曲が仕上がっていたかもしれません。
そうなっていたとしたら、歌詞の内容は闘病生活を応援してくれた人達へのメッセージかもしれないですね。


あとがき

以上、全9曲の解説、いかがだったでしょうか?

リリースの順番としてはSTOPOVERアルバムは3rdとなりますが、収録曲の殆どが2nd以前に書いたものなので、ある意味この作品が本来の2ndアルバムと捉える事が出来るかもしれません。
SHALの声にしてもKYUBIとLAST RAIN以外は病気になる前のテイクなので、WITNESSアルバムの歌声に比べると若く元気な感じがします。

一度お蔵入りにした楽曲たちを掘り返してリリースしたのは、SHALが生きた証を1つでも多く形として残してあげたいと思ったからです。
また、そうする事で彼女の闘病生活を応援してくれていた方達も喜んで下さると思ったからです。(お蔵入り曲だったとは言え、正規リリースに値するものに仕上がっていると思っています。)

もう1つのリリースの理由として、ここで1つの区切りをつけておかないと自分自身が今後前に進んで行けない、と思ったのもあります。
アルバムのジャケットの中央に男性と女性が立っていますが、女性の方にだけ影が無いことに気付かれましたか?
これは彼女と作った作品や思い出にすがるだけでなく"独りで踏み出していかなければならない"という自分の決意の表れでもあります。

今後のTHE UNCROWNEDの行き先はまだ決まっていませんが、期待して待っていて頂けると嬉しいです。

というわけで今後ともTHE UNCROWNEDを宜しくお願い致します。

最後まで読んで下さってありがとうございました。

Takeshi (THE UNCROWNED)

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