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『ファ~トンいきもの記』

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いろいろな「いきもの」の様子を紹介しています。『「ファー」ブル昆虫記』と『シ「ートン」動物記』を組み合わせたような「いきもの」紹介です。日本・シンガポール・ラオス・インド・ネパー…
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2021年12月の記事一覧

『ファートンいきもの記』【35】

今日の「いきもの」は≪気Ivy≫である。 今回のオリンピックで正式に採用された競技がいくつかあるが、奴はオリンピック競技への採用で注目されブームになる前から地道に練習を重ねている。私が奴を見たのはレンガ色が街全体に広がりビクトリア朝の雰囲気が漂うボストンのビーコンヒルであった。私がボストンを訪れたのは2007年の修学旅行の引率のときだったので、現在のような競技ブーム以前だったのは明らかである。奴は命綱や道具などを一切使わずに、自分の身体と気合いだけを武器に、反り立つレンガ壁に

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『ファートンいきもの記』【34】

今日の「いきもの」は≪Rum Tum Tugger(ラム・タム・タガー)≫である。 奴は風の吹くまま気の向くままに生活している。熱しやすく冷めやすいのか、没頭しているかと思いきや、次の瞬間には全く興味を示さなくなるような気まぐれである。あまのじゃくな部分もあり、普通ならば人間が近づけば、それを意識するものだが、わざと知らんぷりで、ずっと尻尾をフリフリするのである。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「唯我独尊」である。 ミュージカル『CATS』のRum Tum Tuggerの「

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『ファートンいきもの記』【33】

今日の「いきもの」は≪スキンダイバー≫である。 奴は常夏のシンガポールで暮している。自らの生計を立てるというのが主目的であるが、常夏なので日中の暑さをしのぐというもう一つの目的のために、奴はいつもスキンダイビング(素潜り)で魚を捕まえている。奴の漁場はマリーナベイ付近である。奴と遭遇したのはエスプラネードの辺りで、仲間とともに素潜り漁に励んでいた。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「ワイルド漁師メシ」である。 奴は素潜り技術もさることながら、漁の途中で仲間にふるまう料理の腕も

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『ファートンいきもの記』【32】

今日の「いきもの」は≪手なずke無視≫である。 インドの山奥で昔から暮している奴にとって、ボランティアでここを訪れる人間など取るに足らない存在なのだろう。作業の休憩のとき、座っていると足の上を奴が悠々と歩いていた。せっかくの出会いなので、私は奴とコミュニケーションをとることを試みたが、残念ながら奴は私のことなどお構いなしの「無視」を決め込んでいた。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「ぶらり散歩」である。 奴の日課は山の中を気ままに散歩することである。散歩コースが決まっているわ

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『ファートンいきもの記』【31】

今日の「いきもの」は≪イースト・サイDOG≫である。 奴は「ジェット団」というグループを作ってラオスの首都ビエンチャンで幅をきかせている。しかし、この街にはもう一つ「シャーク団」というグループがあり、2つのグループはいつも抗争を繰り広げている。かつてニューヨークのウエスト・サイドで、同じように2つのグループが対立し、歌やダンスを交えながら争う出来事があったが、奴らはラオスを拠点としているので、アジアのイースト・サイドでの争いということになるだろう。奴らの縄張り意識は強く、特に

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『ファートンいきもの記』【30】

今日の「いきもの」は≪小田氏治≫である。 奴は、鎌倉時代から続く名門の家柄であり、自らの城を持っていた。そんな輝かしいステータスでありながら、奴は戦上手かと言われると残念ながら、むしろその逆の戦下手だったのである。そのため、楽勝と思われる戦でも負ける始末で、奴は何度も自らの城を追われ、敵に奪われてきたのである。私も今年に入って奴と3度戦ったが、そのたびに奴は敗北し、城を追われ、捕虜となった。だが、奴は粘り強く捕虜としての生活を続けるので、その姿に圧倒され、解放しようという気持

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『ファートンいきもの記』【29】

今日の「いきもの」は≪脱走兵≫である。 シンガポールに住んでいたとき、コンビニと同じくらいお世話になったスーパーとして、Sheng Siong(シェンション、昇松)がある。住んでいたコンドミニアムの近くの店舗は、かなり遅くまで開いていた記憶がある。ジャパ中の一年目は、終バスの後の時間に学校を後にすることが結構あり、そのときタクシーで帰るときに、「シェンションまで」と行先を伝え、夜中に買い物をしてから帰宅していた。そんな遅くまで開いているシェンションの厳重な警備を潜り抜け、奴は

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『ファートンいきもの記』【28】

今日の「いきもの」は≪doeルイド≫である。 奴はネパールがイギリスに支配された頃からこの地に住んでいる。そして、古くイギリスなどに住んでいたケルト人の文化を引き継ぎ、「宗教的指導者(祭司)」として不思議な力を持っているのである。奴らのようなケルト社会の祭司を扱った過去の物語などでは、精霊などを召喚する力を持っていることが伝えられている。また、奴の仲間は「goat(ゴート)」とまとめて呼ばれることが多いが、さらに細かく分けると、男性は「billy(ビリー)」、女性は「doe(

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『ファートンいきもの記』【27】

今日の「いきもの」は≪ピースメーカー≫である。 奴が住んでいる街では「20年前のこの日に悲しい出来事」が起こってしまった。ここには金融の中心地ウォール街だけでなく、セントラルパークもあり、人為の世界と自然の世界が共存していて、自然が持つ再生力は20年前に人為が生み出してしまった傷口にも影響を及ぼし、少しずつだが修復は進んでいる。奴はこの街の歴史を見守り続け、この街が自然においても人為においても平和であるように尽力している。しかし、最近はコロナの影響もあって、この街の平和が揺ら

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『ファートンいきもの記』【26】

今日の「いきもの」は≪ご機嫌斜メクジ≫である。 奴はロンドン郊外にあるBurnham Beeches (バーナムビーチーズ)という国立自然保護区で生活をしている。修学旅行の引率でイギリスを訪れたとき、私が担当する班の中に生き物を探究テーマにしている生徒がおり、その生徒の希望で班行動の行先の一つがこの場所になった。私たちは、自然溢れるこの場所の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、内側から洗われたような気分になれたが、日本からの修学旅行生などめったに来ないのだろう、奴は私たちの足

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