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「デジタル看護入門」看護のDXに必要な100のポイント

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数年前から、「看護教育のDX」を研究テーマとして活動している筆者が、できるだけわかりやすく「看護とICT」について解説していきます。実際の看護学校で活用できるようなさらにポイント… もっと読む
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#地域医療

「デジタル看護入門」第17回 〜在宅での吸引処置とICT〜

 在宅療養で人工呼吸器を使用している場合、同時に必要な医療機器として、痰を排出させるための「吸引器」があります。「吸引」の頻度は、個人差はありますが、基本的に体位交換と一緒で、2時間おきには行うケアのひとつです。介護者の負担もあり、患者さんの苦痛も大きい医療ケアとなります。  そこで、まだあまりメジャーではありませんが、低定量持続吸引が可能な「自動吸引システム」が、少しずつ実用化に向けて、開発がされています。今のところ、ALSや筋ジストロフィーなどの神経難病の患者さんのよう

「デジタル看護入門」第15回 〜在宅医療とICT その2〜

 前回に続いて、在宅における酸素療法について、お話しします。 ★HMV(Home Mechanical Ventilation:在宅人工呼吸療法) 在宅人工呼吸療法とは、呼吸器の慢性疾患や、難病などにより、神経・筋疾患など障害があり、呼吸の補助が必要な患者さんに対して、在宅で人工呼吸器を使用する治療法です。前回、説明しましたが、HOT(在宅酸素療法)は、自分で呼吸ができるが、ガス交換が不十分のため、酸素を補う治療法で、このHMVは、呼吸そのものが自身では難しいため、その補

「デジタル看護入門」「離島の保健師をやってみた」合同テーマ 番外編③ 〜実際に離島で経験した医療✖️ICT その3〜

ICT事業導入後、2年間は、特定保健指導対象者にアクティブタグを配布し,運動面でのデータ(毎日の歩数)とバイタルサインのデータ(毎日の血圧・体重)を蓄積しながら、健診結果をもとに「ヘルスメック」という健康管理支援ソフトを使用して,健康管理や保健指導を行いました。「フレッツフォン」というテレビ電話を使用して、遠隔保健指導も実施しました。  ICT実証実験対象者60名に対してアンケート調査を行っており、毎日の運動量の変化が、日々の生活改善のきっかけとなったと答えた対象者が半数

「デジタル看護入門」「離島の保健師をやってみた」合同テーマ 番外編② 〜実際に離島で経験した医療✖️ICT その2〜

 座間味村におけるこのプロジェクトは、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防のために2008年4月から国民健康保険対象者に義務化された特定健診および特定保健指導において、保健指導対象者へのより効果的なかかわりに着目したものです。  特定健診を受診され、「積極的支援」や「動機付け支援」に階層化された対象者には、生活習慣を振り返り、生活習慣の改善に導くための保健指導が必要となります。「積極的支援」や「動機付け支援」の対象者に対し、手軽に日々のバイタルサインのデータを測定・デ

「デジタル看護入門」「離島の保健師をやってみた」合同テーマ 番外編① 〜実際に離島で経験した医療✖️ICT その1〜

 今回は、私が沖縄県の離島で保健師をしていた時に、実際に現場で経験した医療ICTをご紹介します。少し前の話になりますが、ユビキタス特区という特別な枠組みで、企業と自治体が協同して、医療ICTを活用した特定保健指導の実証実験が行われました。保健師として、このプロジェクトの中心メンバーとして、事業に参加させていただきました。  実証実験が行われた座間味村は、沖縄本島の那覇から南西へ約40kmの位置に存在する慶良間諸島にあります。座間味島・阿嘉島・慶留間島の3つの有人島を含む、大