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下っ端大学教員の私が提案したけど実現できなかったこと

2010年、今の勤め先に赴任して最初のうち意外だったのが、講師(当時)の私も「教授会」に出席して、教授の方々と同じ一票を持っているということ。来たばかりの人には???となる謎のルールや謎の決定が多いけど、何はともあれその場にいられるわけです。「白い巨塔」なんかで見たイメージとは全然違って、下っ端が生意気を言っても「元気だね」くらいで許してくれそうな空気です。

だんだん慣れてくると、細かい話し合いはトピックごとのもう少し小さな「委員会」という会議で行われていることなどがわかり、実際に各種委員会に放り込まれるようになりました。断トツ一番若いという理由で、断るのも上手くなくて。

その後、欅坂46のオタクになることを宿命づけられていた私は、その未来を先取りするかのごとく、組織の方針に「僕は嫌だ!」と異を唱えてきました(誇張)。今回はその中でもあえて、実現できなかったものをピックアップしてまとめてみることにします。

紀要廃刊

うちの研究科では「国際文化学研究」「国際文化学」という2つの紀要を定期的に発行しています。論文を掲載する雑誌ですね。

国際文化学研究=研究科の教員が発表する(書いたものをそのまま掲載)
国際文化学=研究科の学生が発表する(教員による審査の後に掲載)

これらの編集は紀要編集委員会の担当なのですが、なぜか下っ端の私が編集委員長になるという出来事が起きました(2014年)。

そのときの私は「こんなものやめてしまいませんか」と委員会で言っていました。研究成果はもっとオープンな場で発表した方がいいと思うからです。

でもダメでした。

せめて倉庫に積み上げられる紙冊子の在庫をこれ以上増やさないため電子ジャーナルのみにすべきと思って行った、ささやかな抵抗がこちらです:

プログラミング能力を見る推薦入試

2016年度(確か)からうちの学部でも推薦入試が始まったのですが、それが TOEFL iBT を使うというものでした。文系と理系(情報系)が9:1くらいの国際系の学部が、新たに英語力を問う推薦入試を始めたところで大きな効果・変化は期待できないし、おもしろくないなと思いました。

それだったらプログラミング力を問うような推薦入試をするのはどうだろう?と思いました。情報系科目でグループワークなどを課せば、国際的な関心が強い学生とプログラミング力のある学生とで素敵なシナジーが生まれるなど、特色のある学部になるのではないかな?と。

でもダメでした。

現状でも情報教育はもちろん力を入れて行っているのですが、育つのに時間がかかるのでおもしろくなってきたころには卒業してしまう感じです。(例外的な超スピードで成長する学生もいますけど…。)

全員海外ではなく全員国際プロジェクト

2017年4月、学部再編に伴って、うちは「全員海外」を掲げる学部へと変貌を遂げました。それ以前もかなり留学に行く学生が多い学部でしたが、全員となると大変です。お金の問題もあるし、健康の問題もあって、行きたいと思っていても行けなくなってしまうことなどはありうるわけですから。

これに関しては「『全員』は…」という意見が教員の間でも多かったように思います。でも看板としては「全員」が外せないという事情も理解できました。

私はその当時、「『全員国際プロジェクト』ではダメなんですか?」と質問したのを覚えています。つまり、実際に肉体を海外に移動させることを卒業要件にするのではなく、海外の人と一緒に何かを成すことを要件にすればいいのでは?という意見です。

情報分野だったら世界中の人が自国にいながらにして共同でソフトウェア開発を行っています。そういうプロジェクトに加わるとしたら下手に海外に行って帰ってくるだけよりは実りある国際的な体験になりえると思います。ほかの分野でも、Skypeを通じて海外大学の学生と一緒に行う授業をされている先生がいるのも知っていたので、そういうのも含められたらいいと思いました。

でもダメでした。

学生の声は?

(こんなダメでしたばかりの文章を読む人いるんですかね?)

こういう話し合いに下っ端教員も参加できるのはよいことですけど、もっと広く、学生のみなさんにも参加してもらう方がいいのでは?というのが今振り返って思うことです。なのでまずは note に書いてみました次第です。話し合いましょう?

…また書きますね。

ここまで読んでくださってありがとうございます。サポートいただけましたら意欲ある学生を支援するのに使わせていただきます。