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毎週一帖源氏物語 第二十七週 篝火

 今週で二十七週目。ということは、『源氏物語』全五十四帖のうち半分を読み終えたということだ。巻数ではなく分量で考えれば、新潮日本古典集成の全八冊のうち第四分冊の途中なので、折り返し点はもう少し先である。まだまだ先は長いが、予想以上に順調に読み進んでいると自分では思っている。正念場は、やたらと長い若菜巻の上下(第五分冊)だろう。

篝火巻のあらすじ

 内の大殿の今姫君が噂の種になっている。大騒ぎして迎えておきながらぞんざいに扱うやり方に、源氏の大臣は批判的である。対の姫君は自分も同じような目に遭ったかもしれないと思い、ここまで慎重に事を進めてきた源氏に感謝の念を抱く。
 残暑厳しき七月五、六日頃、源氏は西の対に渡り、庭先に篝火を焚かせる。源氏は琴を枕に添い臥し、篝火の煙に事寄せた歌を姫君と交わす。東の対から笛や箏が聞こえてくるので、源氏は西に呼び寄せる。源中将、頭中将、弁少将の三人である。頭中将は御簾のうちにいる人が気になるが、平静を装う。

近江の君と玉鬘の対比

 直前の常夏巻で近江の君が導入された理由が、この篝火巻で明確になる。玉鬘も近江の君も内大臣の娘であり、行方知れずになっていたという共通項がある。玉鬘は実父に引き合わせてもらえない不幸を嘆いていたが、時機を選ばず引き取られても幸せになれないことを、近江の君の事例で悟るのだ。間接的に、源氏の「正しさ」が証明される。

息子も頭中将

 内大臣の長男は、頭中将になっている。家柄に応じた出世を遂げているのだろう。このところ源氏と内大臣は火花を散らしているようだが、息子同士は仲がよさそうだ。「例のあたり離れぬどち」(118頁)と評されるほどだ。

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