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店舗ビジネスにおけるSNS運用について

① 現代社会はSNSから逃げることは不可能な時代に突入している
・日本企業の経営層や管理職の多くは40~60歳台中心で、SNSになじみがなく自分達には関係のないものと捉えがち。
・一方従業員である10~30代の若年層にとっては、SNSは当たり前の社会インフラとなっている。
・この両者には決定的な価値観の相違があり、昔はテレビのCMが企業広告の主流だったが、現在はネット上のYouTubeやSNS、WEB広告等が台頭し始め、今後はSNSを活用したマーケティング活動や採用活動が更に加速していく。
・このような動きは、若い起業家によるスタートアップ企業などで、一部始まっており、今後は大企業も無視できない(従来通りの方法では太刀打ちできない)時代へと確実に移行する。

② まずは経営層(社長や管理職、店長)が自らSNSの本質を理解しないと間違った対策に陥る可能性が高い
・前提としてこのSNSのバカッター問題は無くすことは不可能という前提にたなないとならない。しかし減らすことは可能とういスタンスが求められる。
・本質を理解するためには百聞は一見に如かず。自分でSNSを運用してみるのが一番手っ取り早い。
・そのうえで、以降に記すSNSにおける若年層の心理状態や、バカッターとなる動機をしっかり把握する姿勢が求められる。

③ SNSの種類とそれぞれの特性
・ツイッター 主にバカッター問題が発生するSNS
→特徴は基本的に知らない人同士が繋がっていくSNSでフェイスブックとは対照的
 機能として140文字の発信を軸に写真・動画を追加して投稿可能。
 また会話(リプライ)や拡散(リツイート)機能があり、フォロワー数の制限もないため、炎上やバズることが発生しやすい。
・フェイスブック 全世界的にはユーザー数がダントツで多く、日本のビジネスマンのユーザーも多い。しかし友達数が5000人までという制限があることや、実名や会社名のアカウントが多く、友達となるのは学生時代の友人、会社の同僚や上司・部下、取引先の担当者など、既にリアルで知り合いになっている人としか基本つながらない。(知らない人から友達申請が来ても、断る人が多い)従って、特に会社の上司などは日々顔を合わせるのに、SNS上でもプライベートの話題を見ることに辟易するなど、忖度だけで「いいね」をつけるユーザーが増え始め、最近はフェイスブックからツイッターやインスタグラムにユーザーが流れ始めている。
・インスタグラム 写真や動画での投稿が中心で、いわばアーティストがステージの上で歌っている姿を、フォロワーは憧れて眺めているというイメージのSNS。したがって一般人は自分のリア充ぶりをアピールし、フォロワーは写真をみて「いいね」をつけて終了となり、会話や拡散には至らないケースが多い。
・TIKTOK 動画のSNSで中高生を中心に盛り上がり始めている。主流はヒットソングに合わせ、振り付けの踊りを披露しあうという遊び方が始まり、若年層がインスタグラムやツイッターから流れていっている。
・SNSは数年サイクルで流行がループしており、常に若年層がそれをリードし、大人がそれを追いかけている現象がみられる。
従って若年層はフェイスブックのほぼ利用無くなり、ツイッターとインスタからTIKTOKに流れ始めている。ただし、SNS機能や遊び方の面から、バカッター対策は当然ながらツイッターを中心に行っていかねばならない。しかしこれら全てのSNSに触れておくことで、いかなる事態にも対応できるようにしておくことが望ましい。

④ アルバイトがSNSにバカッター動画を投稿する動機
・一番多いケースは「仲間内でのウケ狙い」程度の動機でイタズラ半分に行っている
→まさかこんなに問題になるとは思っていなかった・・・などと言い訳をしているケース
・しかしその奥に潜んでいるのは、「目立ちたい(バズらせたい)」という動機
→目立つことにより、「フォロワー数を増やしたい」「プチインフルエンサーの仲間入りをしたい」という動機がある。
・一番厄介なのは「最初から所属企業へ悪意を抱く」ケースがあるがこれは少ない。

⑤ アルバイトがやってしまいがちなテロ投稿の種類
・悪ふざけ動画(今ニュースで話題のパターン)
・自分の小遣い稼ぎ(商品の横領・横流しなど)
・企業内機密の漏洩(新製品や新企画のすっぱぬきなど)
・身内や関連企業への攻撃(相手を貶めようとするなど)

⑥ 何故アルバイトは自制心を働かせることができないのか?
・雇い主から人として扱われておらず、単なるコマとしか扱われていない感覚。
・そもそも経営層は管理職をコマとして扱い、管理職は店長をコマとして扱っていないだろうか?店長自身がコマとしか扱われていないと感じれば、アルバイトをコマとしてしか扱わないという負の連鎖が完成してしまう。
・また店長は、店を守るという意識が強いため、知らず知らずの無意識のうちにに、アルバイトをコマとして扱ってしまっているケースもある。
・例えば2~30代のフリーターで非常に優秀なアルバイトが存在した場合、店の貴重な戦力と認め、とても良い信頼関係を築いているのだが、アルバイト本人の人生を応援するという視点ではなく、チームのメンバーとして大切にするため、本人が転職による人生を切り開くという選択を模索していても「君がいなくなると店の仲間が困るから、頼むから辞めないでくれ」などと平気で言ったりする。これは完全な企業側のエゴで、アルバイト本人の人生を自分達の都合で縛っていることにすら気付けなかったりするケースがあげられる。
・つまりアルバイトは自分をコマとしてしか扱っていない企業に対しては、愛着や忠誠心(ロイヤリティ)は希薄となり、自制心を働かせることなく、バカッター動画のような行動をやってしまう。

⑦ 更に日本社会が抱える闇が、彼らを問題行動に駆り立てる
・今の日本社会に蔓延する風潮として、「自分より上位に見える他者を攻撃することで貶め、自分がまるで優位に立ったかのような錯覚をすることで、自分の虚栄心を満たそうとする病気」が蔓延している。
・例えとして、芸能人や政治家が不倫問題を報じられると、上記の病気にかかってしまっている心無い人々は、自分とは全く無関係で事情も深く知らないにも関わらず、表面上の「切り取られた」情報に踊らされ、ネット掲示板やSNS上で攻撃を繰り返す。
・本来人間とは、自分の人生を切り開くために、自分自身の課題を少しずつ克服していくことで成長し、生活を豊かにしたり、愛する家族を守ったりすることが重要だということに気付かず、また気付いていたとしても、それが許されない現状(いくらもがいても非正規から這い上がれないなど)を諦め、他者との比較による自分の幸せの確認という呪縛から解き放たれずにいる若年層が多い。
・日本社会にはこの病気にかかってしまった人種が一定数存在し、ネット掲示板やSNSの中で群れて他者を攻撃し続けている。
・この集団にネット掲示板やSNSで取り込まれてしまうと、もはやそれが常識であるかのごとく、他者を攻撃することに何の躊躇もせず、罪悪感さえ抱かず、更に「自分は(不倫した)悪人を成敗している」正義のヒーローになったような感覚に陥ってしまう。
・しかしSNS利用者の中にはこの病気集団とは距離を置き、「社会の平和や人々の幸せ」を目的に活動している人々も多数存在している。
・この両者は決定的な目的意識の違いから、理解・共感しあうことが困難なため、同じSNSの利用者同士でも、ほぼ交わることが無いという特性がある。
・つまりSNSの世界の中には、大きく2つの勢力があり、後述した安全な勢力の中で活動する限り、断じて危険な世界ではないということも理解しておく必要がある。

⑧ SNS対策とリアルの従業員満足(ES)向上は同時に行わなければならない
・大前提として、リアルの職場環境の改善や従業員教育、ワークライフバランスや働き方改革の推進などは、どの企業も本腰を入れ始めている時代である。それを推進することで、どんな企業でもブラック企業の一面を持っているのだが、それを払拭してホワイト企業に生まれ変わっていくことで、お客様の支持だけではく、従業員からの支持も向上させなければ、生き残ることはできない。
・そこで企業は従業員の研修制度や面談、コミュニケーションの活性化、心理的安心感の醸造などを推進していることだろうと思う。
・しかしながら現実は、避けるリソース(特に費用や時間)には制約があるのも事実で、少しずつしか改善することができないという問題もある。
・そこで、SNS内でバカッター問題が起きるということを逆手に取り、SNSで従業員満足向上の活動を同時に進行させるという対策が考えられる。
・もちろん前述した、病気にかかった界隈にどっぷりつかっている従業員も存在する前提だが、所属する企業の経営層や管理職、店長の個人アカウントや、企業の公式アカウント、各店舗の公式アカウント上の発信を従業員の満足や共感を得るための発信を織り交ぜていく手法である。
・当然従業員は所属する企業のアカウントがあれば、興味を持ちフォローしてくる可能性が高い。そしてその発信内容に共感してもらえる従業員は、従業員同士の口コミでフォローする従業員が増えていくことが想定できる。
・この従業員の満足や共感を得る発信内容とは「企業理念」や「創業者や現経営層、管理職、店長それぞれの想い」「社会貢献の形」「自社商品やサービス開発時の困難を克服したエピソードなど」など嘘偽りのない本音を、発信し続けることが大切である。
・現在のネット社会では、逆に企業の本当の姿が口コミ投稿などで暴露されてしまう時代である。決して正真正銘のホワイト企業などは存在せず、少しでも企業全体がそれを目指そうとしているという姿勢を、SNSというインフラで発信し続けるのである。
・そして同時に起こる現象としては、自社の従業員だけでなく、一般の人々もその内容に共感したりしてフォロワーになっていく現象が必ず同時に進行する。

⑨ SNS運用で員数主義の罠に陥らないように注意を払う
・企業が衰退する要因の一つとして員数主義がある。つまり利益の目的化により、本来の目的(自社商品やサービスで人々を幸せにすることによる社会貢献)を置き去りにし、従業員を疲弊させてしまう組織運営(マイクロマネジメント、パワハラ等)が横行し、お客様ではなく数字しか見ない病気だ。
・心ある経営者や管理職であれば、自分の保身や自分の地位や名誉のために、部下に数合わせを無理強いしても、なにも良い未来につながらないと気付いていることだと思う。
・この員数主義がSNS上でも若年層に蔓延していることを実際に経営者自身が体感することも重要なプロセスとなる。
・つまりフォロワー数という「数」を増やすことを目的にした発信が、まるで利益を増やすことが目的化したかのごとく、SNSには蔓延している。
・当然若年層のアルバイトや社員の大半は、員数主義の恐ろしさや概念そのものを経験も理解していないケースが大半である。
・フォロワーが増えると、どうなるか?というと、まるで自分がインフルエンサーの仲間入りをしたかのような錯覚に陥るケースあり、そうなると人は増長し傲慢になるケースもあることを理解しておく。

⑩ SNS運用の目的をあらかじめ決めておく必要がある
・自社従業員のファン化
→自分の所属する企業や店舗、上司のファンになれば、バカッター投稿はできなくなる
・一般SNSユーザーのファン化
→この一般ファンと交流し大切にしていると、いざバカッター問題が発覚したときに、一緒になって炎上鎮火の手伝いをしてくれる可能性が高い
・地域社会への貢献
→企業や店舗が所属する地域を盛り上げることが、自組織の発展にもつながる
・自社組織の宣伝や採用活動など
→このビジネス的な側面が全面に出ているアカウントは「押し売り」されそうな感じがするため、敬遠されやすい。したがって10回に1回程度など発信を抑えるなどルールを設けておくとよい。

⑪ ファンについて
・ファンとは自分や自組織のことが大好きなフォロワーである
・つまりフォロワー数とファン数はイコールではない
・フォロワー数の10%程度がファンとして定着してくれるイメージ
・フォロワー数だけを増やす目的で活動すると、このファン化ができない
・ファンを大切にすることで、自分もファンのファンになるイメージが重要。つまりファンを大切にする。

⑫ ファン化のプロセス
・相手に自分を大好きになってもらうためには、相手にちょっとした感動や共感をしてもらうことが重要。
・そのために相手の期待をほんの少しだけ上回るような想定外やサプライズを提供する必要がある。
・それを繰り返せば、相手は感動を覚え、自分のことを好きになってくれる。
・同時に相手を大切にしたことで、相手が喜んでくれれば自分も相手が好きになる。
・そこで一番手っ取り早いのが元ツイートをバズらせることだと勘違いしてはいけない。もちろん狙ってもいなかったツイートが結果としてバズることはあるかもしれないが、狙っても難しいので、最初から諦めておいたほうが無難である。
・従って、相手へのちょっとした気遣いを継続していくことであれば、誰でも継続可能なので、こちらを重視したい。

⑬ ツイッターの運用方法
・新規アカウントを作成し、実名と企業名、顔写真をアカウントに掲載することで、社会的に信用できる人だという印象を与える。また目的が他者を攻撃するためではないため、自身のアカウントが炎上するかもしれないという恐怖に打ち勝ち、世のため人のためにつくす覚悟を決める。(すでに多くの実践している経営者が存在している)
・プロフィールを作成する。本音でどのように社会に貢献していきたいのか?自己紹介などを掲載する。このプロフィールの内容と写真(アイコンやヘッダー)は非常に重要なので、しっくりくるものが出来上がるまでは試行錯誤を繰り返す。
・ツイートを発信する
→最低1日に1回など、発信するペースをきめておく。(特に遵守する必要はないが)
運用を始める前に、自社の企業理念の解説や、そこに込められた想い、普段の経営や店舗運営で大切にしていることや、従業員への想い、社会貢献への想い、地域社会への想い、など、最低30個くらい140文字の元ツイートを準備してから運用を開始すると後で困らない。なお、それらの30種類のツイートの表現や具体例を変えながら、1か月後以降はループさせていく感じでも良い。
→また普段のなにげない楽しかったことや感じた幸せの発信を織り交ぜていくのもよい。
→10回に1回程度は、自社商品・サービスの宣伝や、採用情報などを織り交ぜる。
・気になるアカウントをフォローする
→最初は運用に慣れるため自社の仲間や知り合いなどと交流を始めるのもよい。
そのうち、ツイートの内容に自分自身が共感できるアカウントをフォローしていく。
・相手のツイートを見たよ!とか読んで共感し感謝したら「いいね」をつける。「いいね」は相手に喜んでもらえる一番簡単な機能。
・リプライ機能(略してリプ)使い、フォロー相手のツイートの子文書を付けて会話する。このリプで相手に挨拶したり、共感しあったりする会話をする。まずは自分が相手のファンになり、相手にもファンになってもらう感覚から始める。
・リツイート機能を使い、自分が共感した相手のツイートを拡散する。
リツイートし拡散した相手のツイートは、自分のフォロワーのタイムラインに表示される。従って相手は、自分のツイートを拡散してくれた場合、とても喜んでくれる。
・引用ツイートをしてみる。感覚的にリプが会話なら、引用ツイートは相手のツイートに更に自分を共感や感謝などを上乗せして発信する手紙のような感じ。これも相手に喜んでもらえる。
・フォロワーが数百人に増え始めると、自分のツイートにリプを付けてくれたり、引用ツイートしてくれるファンが増えてくるので、そのファンとのやり取りは、最重要ミッションとして、大切に会話をする。
・DMはツイート内にある個人同士のメッセージのやりとり。LINEやメッセンジャーに近いもので、ツイッター上に公開はされない。相手との会合の日時や場所を決めたりするのに使うイメージ。

⑭ 最後に
自社の部下に自分へのフォローを強制したり、勝手に写真をのせたりするとソシャハラと言われかねないので、留意すべきである。
ただし、SNSチームを立ち上げ組織として実践するもよし、経営層自ら率先垂範するもよし、店舗や公式アカウントと連動するもよし。展開方法はいろいろあると思うが、
これだけは言えるということは
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という点につきる。
そしてツイッターで人との交流を、心から楽しんで欲しい。義務感で運用しては継続できないからだ。
一歩踏み出す勇気を願うばかりである。

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