編集後記:みんなのPython勉強会#59


Stapy編集後記

Start Python Club」(略して「Stapy」)という技術コミュニティの代表として、勉強会の企画・運営をしています。「カンブリア宮殿」という番組で、司会の村上龍氏が番組を振り返る「編集後記」というコーナーがあります。それに倣って、7月9日に開催した勉強会イベントを振り返りたいと思います。

みんなのPython勉強会#59イベントサイト:
https://startpython.connpass.com/event/175454/

オンライン化のインパクト

(1) 参加者の急増
コロナウィルスの感染拡大を受けて、Stapyは3月からイベントをオンライン化して、YouTubeでライブ配信することになりました。これまで5回、オンラインでイベントを開催しましたが、一番大きな変化は参加者が増えたことです。

Beforeコロナの2015年5月から2020年2月までは、月例の勉強会の参加者(申込者ベース)でしたが、オンライン化したことで参加者はおよそ400名となり、約4倍に増えました。

画像2

(2) 参加者の地域の広がり
またアンケートを取ったところ、参加地域は関東(71.1%)がもっとも多く、続いて近畿(12.4%)、中部(6.1%)、九州・沖縄(5.9%)となっていました。プログラマやデータサイエンティストといったPythonに関心を持つ職種の方が住む地域の分布に相関があると見ています。

画像2

オンライン化によって地理的な制約がなくなったことで、参加者のみならず、講演者も首都圏以外から参加してもらえるようになったことも大きなメリットです。これまで中部、近畿、九州から講演者にリモート参加していただき、貴重な話を共有してもらいました。

Microsoftのサティア・ナデラCEOは、ポスト・コロナの世界においては、あらゆることがリモートで実現できるようになると語っていますが(参考サイト)、私たちはそうしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の入口にいるのかもしれません。

Stay home, but connect global!

イベントを数回、オンラインでやってみて、「これなら海外の人にも講演してもらえる」という感触を得ました。そこで今回は「Stay home, but connect global!(ステイホームだけど、グローバルにつながろう!)」というテーマで、海外で活躍するエンジニアを招待して、講演していただきました。

(1) シンガポールからのゲスト
一人目はシンガポールから参加してくださった、Cogniteの草薙昭彦さん。草薙さんは「Mini Tokyo 3D」という電車の動きをリアルタイムに表示するウェブアプリを開発して、「第3回東京公共交通オープンデータチャレンジ」の最優秀賞を受賞しました。講演ではデジタルツインによるDXの可能性を語っていただきました。

JavaScriptを駆使した、電車の動きの表現は見事。ご本人曰く、デジタルツインのアプリはゲーム作りの感覚で作るのが良いそうです。少年の頃からゲーム開発をしていた草薙さんらしいコメントでした。

(2) 台湾からのゲスト
二人目は台湾から参加のYung-Yu Chen (YYC) さん。半導体プロセスの設計に利用する数値解析ソフトを開発するコンピュータ科学者の立場から、Pythonの長所と短所を紹介していただきました。

膨大な計算処理を行う数値シミュレーションの世界では、処理速度が命。Pythonはコーディングが楽だけど、処理速度が遅いことが欠点。一方C/C++は処理速度は速いが、コーディングが煩雑。そこで両者をうまくかけ合わせたハイブリッドな使い方が良いそうです。

両方を学ぶのは大変ですが、YYCさんはそれを大学でオンラインで教えており、GitHubレポジトリを公開しています。ITに強い台湾の実力を感じることができました。

(3) アメリカからのゲスト
最後の招待講演者は、アメリカから参加の高味空也さん。Enthoughtという科学計算のコンサルティング会社に勤務する高味さんには、科学領域におけるDXの展望について講演していただきました。

盲目の科学者、Daniel Kish氏と共同研究した経験を共有していただきましたが、舌打ちの反響音で、人間もコウモリのように空間の構造を認識できることは驚きでした(Daniel Kish, TED Talk)。デジタル技術で広がるロボットの能力は向上することを知りましたが、それ以上に脳科学の理解で人間の能力が向上する可能性にワクワクしました。

まとめ

今回はリモート開催のメリットを生かして、海外から講演者を招待しました。いずれの講演も技術レベルの高い内容でしたが、初学者の方でも理解しやすく、内容をかみ砕いて、話していただきました。「プログラミングって、こんなすごいこともできるのか」と学ぶ機会になったのであれば、企画の成功と言えるでしょう。忙しい中、講演してくださった、講演者の方々に感謝いたします。

動画アーカイブと次回予告

今回の勉強会の模様は、YouTubeに記録されています。ご関心のある方は下記のリンクからご覧ください。次回は8月12日(水)19時に開催する予定です。ご都合の良い方はぜひご参加ください。

それでは、また!

今回のイベントサイト: https://startpython.connpass.com/event/175454/
YouTubeアーカイブ: https://www.youtube.com/watch?v=OwA-Xt_Ke3Y
次回のイベントサイト: https://startpython.connpass.com/event/175455/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?