「【あがり症Q&A】マスク依存症~現代日本に忍び寄る対人恐怖の新たな類型」
動画紹介(文字起こし全文掲載)
今日ご紹介する動画は、「【あがり症Q&A】マスク依存症~現代日本に忍び寄る対人恐怖の新たな類型」です。
この動画は、コロナウィルスが流行する前に撮った動画ですが、2021年現在、もはやマスクは靴やメガネのように外出したり生活する上で当然に身に付けるものとなっています。
ただ、以前から一定数いましたが、「マスクに依存してしまう」、逆に言えば「マスクを外した時にどうなるのか?」といった不安を抱えている方々がいることも事実です。
今回は、マスク依存症のメカニズム、マスク依存症から抜け出すための取り組み方をお伝えします。
マスクをつけてもつけなくても、安心して日々が送れるようになることを願って。
(2019年11月29日投稿動画)
【あがり症Q&A】
今日は、Q&Aコーナーを行いたいと思います。
あがり症というのは、ざっくりした名前ですけれども、対人恐怖、社交不安症、顔が赤くなっちゃう、言葉がどもっちゃう、手が震えちゃう、人前が苦手など、色んなものの総称です。
私は、これらの相談を扱っていますので、しばしばある質問についてお答えしていきたいと思います。今回の質問はこちらです。
マスク依存の仕組み
【Q】
対人恐怖症で、マスクが外せないのですが、どうしたらいいんでしょうか?
【A】
マスクが外せないという悩みを抱える方はしばしばいますね。
例えば、自分が風邪やインフルエンザになっちゃってマスクするじゃないですか。
対人恐怖の人でもそうでない人でも。
マスクをつけると、しばしば対人恐怖症の人というのは「あれ、楽だな」ということに気づいたりするんです。
対人恐怖というのは、「1対1」もしくは「1対 多数」でも、この関わりがしんどいんですよ。
中には視線恐怖などで、「1対1」で人に見られていると言葉が出なくなっちゃうという人もいます。
何かその人の根源的、根本的な在り方に、人への恐怖感がある。
それが、人によって色んなケースがあるんですけれども、自分のコンプレックスで生じている人もいる。
例えば、自分の鼻の低さがすごく嫌だとか、人に見られたくないだとかがある。
視線がつらい人もいるし、顔がちょっと赤くなるのが恥ずかしい、緊張しているのがバレるんじゃないかしらと考える人もいる。
あるいは、視線恐怖では、人に見られる恐怖というものもあるんですけれども、別なものに、自分の視線がキツいんじゃないか、相手を睨んでいる格好になっているんじゃないかと、気になる人もいる。
あと、他者と接しているときに、鼻がピクピクしたり、顔が引きつるのを見られるのが恥ずかしいとかがあります。
顔のどこかの異常な感じを見られたくないときに、マスクがあることで防御できているんですよ。
見られてない。
なので、マスクをすることで、「あれ、こんなにいつもより楽なんだ」と気づく。
ここで、マスク依存症が始まるんですよ。
依存症は言い過ぎかもしれませんが、マスクが手放せなくなって、風邪が治ったとしても、自分の対人恐怖が弱まるし、楽だからマスクをつける。
今日は会議だ、面談だということで、マスクをつけるという感じで、やたらマスクをつけている人がいる。
冬場なら、インフルエンザかなと思われてまだマシですが、そうじゃない時期にまでマスクをつけたくて、マスクが手放せなくなっちゃうんですね。
じゃあ、何が起こるかというと、マスクをしているときの自分はOKで、マスクがないときは非常に恐怖なんです。
武器を持っているときの自分は、人と対峙して戦えるんですけれども、楯もない、マスクもなにもない自分では、もう無理なんです。
これが、マスクが外せないという仕組みのようなものですね。
マスク依存克服への考え方①~弱さを晒す
じゃあ、どうしたらいいかということですが、結局、他者との在り方の対人恐怖、しかも自分の過剰な思い込みによって起こっているんですね。
相手は確かにピクピクを変と思うかもしれないし思わないかもしれないけど、自分の中では、ピクピクすることで人に変に思われるんじゃないかとか、自分の視線が他者を傷つけているんじゃないかとか、人から見られることで自分の弱さや臆病さがバレるんじゃないかという、他者との関わりの病なんですよ。
ということは、他者との関係性を良くしていくためのありとあらゆる方法を試していく。
これが、マスク依存改善のためのざっくりとした考え方なんですね。
あと、自分がダメだというところ、自分は弱い、情けない人間だという思いが症状の悪化に輪をかけていくので、ここに対処していくことが大事になります。
それで、色んなやり方があると思うのですが、まずそういった人は、マスクが手放せないことを、あまり悩みとして人に言っていないんじゃないかという気がします。
自分の弱さをさらけ出さないから、マスクでカバーして、弱さをカバーする。
人は、弱さをさらけ出したときに、弱さが強さになるので、誰かに言うということは大事かもしれません。恥ずかしいとしても。
例えば、同僚の一番信頼できる人との会話の中で、「あなたっていつもマスクつけているよね」と声をかけてもらえた記憶があって、この人には言っても大丈夫だなと思えたら、「実は〇〇なんだよね」と伝えて、自分の弱さをさらけ出すと、分かってくれた感があり、繋がりが増すんですね。
もちろん、人選を間違えると傷つくことがあり得るかもしれないけれども、人選が正しくて、自分のことを分かって理解して、応援してくれている人がいると思うと、一つ安全な関係が築けることになる。
マスク依存克服への考え方➁~ベクトルを外に向ける
あるいは、上司や誰かにビビってマスクをつけるというとき、そういった誰かとの関係性を、どうしたら良くしていけるんだろうかと考える。
全く関係ない人に対してでもいいので、例えば、会社に来て、マスクして「おはようございます・・・」と入るとき、ちょっと頑張ってトーンを上げて「おはようございます」と言う、そんなちょっとした努力でもいいです。
結局自分がどう見られているか、という病なので、自分にばかり向いてしまっているベクトルを相手に向けていくんですよ。
よく私が使うのは、会社の同僚とかに、「忙しそうですけど、何か手伝いましょうか?」とか、「これやっておきます」などと関わったり、あるいはクライエントに対して、今まではほどほどの関わりだったけれども、もう少しクライエントのために何をしていったらいいのかをあれこれと考えてみる。
意識の向け方が全部自分なので、この極端な思い込みの幻想の世界に生きているので、このベクトルを外の世界に出していく。
例えば、英会話教室に行きたいんだけど、人に見られるから英会話教室に行きたくない、行かないと選択してきたとしたら、英会話教室は少しハードルが高かったとしても、例えば1対1のオンライン授業を受けてみるとか、自分が本当にしたいことや生活や運動や趣味、会社、友だち付き合いなど、対人恐怖云々ではなくて、何かその人なりのやりたいこと、心地よいこと望むことに意識を向けていく。
他者との関わりを良くすること、自分の好きなこと、楽しいことをやっていくことが大事かもしれません。
マスク依存克服への考え方➂~自己肯定感を高める
また、自分がダメだ、情けないという感覚があるとしたら、自己肯定感を高めていく必要がある。
それにも色んなワークがあるんですね。
例えば、“アファメーション”という言葉があります。
アファメーションとは、自分に大切な言葉を唱えるんですよ。
例えば、「私は、かけがえのない人間です」、「私は、私でいい」、「失敗しても大丈夫」、「困難の先には、きっと希望がある」など、その人に刺さる言葉は無限にあるじゃないですか。
人それぞれ、全く違うのです。
自分にとって刺さる言葉をアファメーションとして、毎日寝る前に唱えるとか、日記的な感じで書いてみるとか、そのようなやり方もあります。
あるいは、“自分の出来たこと探し”と言って、「今日、あんなに上司に叱られて最悪な一日だったけど、何が出来ただろう?」と考えて、そんな中でも会社に行けたと思ったら、「会社に行けた」と書く。
今日一日つらくて食欲がなかったけど、「3食、食べた」と書く。
別に私、何も出来ていませんという人は、「今日、生き延びた」ということに注目していく。
とにかく、自己否定の塊になっちゃっているので、自分の少しでも良いところ、自己肯定できるところがなかったとしたら、形でいいので、アファメーションとして唱えていく。
そのようにして、徐々に自分を許す、自分を肯定していく、そういった作業をやっていくというのも大事かなという風に思います。
>アシスタント:話を聞いていて思ったのですが、「マスクを外さなきゃ、外さなきゃ」と思わない方がいいんですよね? そのようなワークというか、色々とやっているうちに、自然と、マスクが外せる自分になると思うんですけど・・・。 「マスクを外さなきゃ、外さなきゃ」と思っていると、逆にマスクが外せなくなるのかなと思ったのですが、どうなのでしょうか?
>佐藤:それはあるかもしれませんね。
いつか外す必要があるがあるのだろうけれど、「マスクを外さなきゃ、外さなきゃ」という思考になったとき、外せない自分を許せなくなるじゃないですか。
また自己肯定感が下がりますよね。
それは確かにそうかもしれませんね。
>アシスタント:だから、そういう風に自己肯定感のワークをやっている最中は、別に外せなくてもいいよ、という感じでやった方がいいんでしょうかね?
>佐藤:ありだと思います。
それも自分への許しだと思うんですよ。
それで思い出したんですけど、高校2年生の子が相談に来られたことがあって、会った瞬間に面食らったんですが、世の中にこんなマスクあるのか、と思ったんです。
目の下から顎の下まであるような非常に大きなマスクをしていました。
その人は、視線恐怖で、自分の視線が相手を攻撃しているんじゃないかと思って、苦痛を感じているタイプだったんです。
話を聞いていったら、信頼できる、ある一人の学校の先生の前でしかマスクを外したことがないんですと言っていたんです。
「そっか」とあれこれ聞いていったら、初回面談なのに、いきなり「外していいですか」と言ってきて、えーって思いつつ「はい」と言ったら、マスクを外しました。
恐らく、客観的に考えるなら、何か会話の中で分かってくれる感というか、この人の前だったら大丈夫だという感じがあったから、マスクを外したんだと思うんですよね。
いつかどこかで、マスクを外せる瞬間は来るんですよね。
そんなことを思い出しました。
今日は、マスク依存症について話をしました。
マスクを外せなくて悩んでいる方は非常に多いです。
日本ではマスクは自然な文化になっていますけれども、ここでマスク云々ではなくて、他者との関わりをより良くしていくこと、自分を大事にしていくことによって、マスクがいつか取れる日が来るのではないでしょうか、というお話をしました。
今日は以上になります。
ありがとうございました。
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