備忘録:風景写真撮影プロセス 1


風景写真は瞬間的なもの、それこそ1/8000秒や1/3200といった高速シャッターが必要な場面というものは多くはない。そのため瞬発性が求められる場面は少ないが、一方で丁寧なセッティングが大事になってくるジャンルだと考えている。適切な時間帯、適切な構図選びなど自身の選択によって作品の完成度が変わってくるため、ある意味シビアな世界とも言える。しかしその一枚を創るために入念な準備が必要になる分、撮影時の様子が今でも鮮明に残っているのが良いところだと言えよう。今回はこれまでを振り返って当時の撮影状況を記録としてここに書き残してみようという試みである。できればシリーズ化していきたいところだが、如何せん飽き性である点と壊滅的な文章能力で表現不可能になりかねない点に注意しつつ書き進めていく。


2021年11月の山梨県西桂町、富士山の景勝地としても知られる三つ峠へと続く登山道。道のすぐ脇には山からの湧水が流れる川がある。この日は山に色づく紅葉を撮影するために赴いたのだが残念なことにピークは過ぎ去ってしまい葉が落ち始めてしまっていた。陽の光に照らされた満開の紅葉を見ることは叶わなかったがそれではどうも悔しい。なんとかしてこの日は一枚を仕上げたかったため、目線を上から下へ、既に落ち切ってしまった落ち葉に目をつけることにした。 

森が秋から冬へと変化していく様を流れる水と絡められるのではないだろうか。そう思って水辺の縁ギリギリに寄って三脚を固定。次に周囲を見て何かモチーフになりそうなものを探してみる。なるほど眼前には丸くて大きな岩が一つ置かれていた。おそらく上流から角を削りながらここまで流れてきたものなのだろう。岩肌に張りついた苔がその時間を物語っている。大きな岩の不動たるイメージが流れ動いている水と良い対比を成していて面白い。画角を広く撮りそれぞれのモチーフがバランスよく配置されて見えるポイントを丁寧に探した。ここから撮影に入る。午後のやや夕暮れという時間帯だったがまだまだ明るい光条件のため少し強めに絞った。これによってシャッタースピードを稼ぐことができ、川の流れをより印象的なものにすることができるのだ。岩肌や濡れた落ち葉のディティールガ残る程度にに露出を下げつつ最後にシャッターボタンを押した。



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