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イップスを知る人へ。

こんにちは。木佐貫健です。二回目のnote更新。今日は僕が高校時代に経験した「イップス」についてです。僕が、大学で研究し、たどり着いた一つの仮説をここに書こうと思います。あくまで個人的な意見ですので、こういう可能性もあるのか…くらいで見ていただけるといいかなと!

まずイップスとは何ぞや?日本イップス協会によると、「イップス」とは『心の葛藤(意識、無意識)により、筋肉や神経細胞、脳細胞にまで影響を及ぼす心理的症状です。スポーツ(野球、ゴルフ、卓球、テニス、サッカー、ダーツ、楽器等)の集中すべき場面で、プレッシャーにより極度に緊張を生じ、無意識に筋肉の硬化を起こし、思い通りのパフォーマンスを発揮できない症状』と定義されています。投球恐怖症とかの呼び名も耳にしたこともあるかもしれません。

僕(ポジションは投手)は高校2年の秋ごろからこの症状が現れ始めました。僕の症状は、塁間ほど距離&マウンドからの投球になると体が思い通り動かない投球動作中にボールが無意識に手から落ちる腕が強張りフォームがおかしくなる全身虚脱感競技意欲の低下などでした。この症状の不思議なところは、の状況以外の時は普通に投げれるんです。守備練習の送球とかは何の問題も起こらないんです。でもピッチングとかになると投げられない…なんてもどかしいんだろうと。


今思い出しても気持ちが沈みます。思い出すのも正直嫌なくらいです。


しかし、大学進学後、僕はこのイップスと研究を通して向き合うことを決めました。そのきっかけはまた後日……。

研究を進める中で、僕のイップスはどこに原因があったのか考えてみました。

僕はイップスになる前、けがで長期離脱をしていました。やっと復帰したのは、夏の大会後。秋の県予選はすぐ目の前に迫っていました。しかしブランクが大きく、秋の大会でのベンチ入りは叶いませんでした。そして秋の大会でチームは初戦敗退。そのままオフシーズンへ突入です。僕はこの期間で今までの遅れを取り戻し、春、夏のベンチ入りを目指してフォームの改良に取り組み始めました。ここで僕のイップスの沼に片足を踏み入れたのです。フォーム改良のため、ピッチング、シャドーを繰り返し、全体練習の後もあれも違う、これも違うとずっと新しいフォームについてばかり考えていました。

そんなことを繰り返すうちに、自分に合ったフォームを見失い、ネガティブな思考に走ることが多くなりました。うまくいかない、このままだとベンチ入りは叶わない、何とかしないといけない。焦りや不安が募ります。

しかし、知識も何もなかった当時の僕はこう考えました。『たくさん投げないと、絶対に良くならないからもっと投げないといけない』一種の強迫観念みたいな感じです。

ここからイップスはさらに加速します。フォームを見失っているのに投げるからさらにフォームが崩れる。負のスパイラルです。こうして見事なイップス状態が完成しました。こうなってくると、失敗経験が積み重なりすぎて自分に自信がなくなり、さらには軽い抑うつ状態のような感じにもなってきました。ただただ、無気力になり、野球に向かうのもしんどい、どうせ投げれないなら行かなくてもいいんじゃ…なんて考え出すんです。身体も重いし、ご飯もそんなに食べたくない。もう完全に泥沼です。

僕はイップスの時、以上のような経験をしました。ここから読者の皆さんに伝えたいのは、『ストレスになっている練習を無理して続けることはいずれ身体、心に異常をきたす』ということです。当時の僕は、ストレスを感じながらでも、耐えて続けていればうまくなると思っていました。これは、いいことのように聞こえますし、野球に限らず、いろんなスポーツでいい結果を残した方のなかにも、これを続けてうまくなった方もいると思います。でも、振り返ってみたとき、僕は自身のイップスはこれが原因だと強く実感しました。


ここからは僕の立てた仮説を書いていきます。少し専門的な用語も登場します。

僕の立てた仮説は『ストレスにより脳が過剰に働いた結果起こるものがイップスである』です。(すでに存在するかもしれませんが。笑)

特に脳の視床下部という部分が過剰に働き過ぎた結果だと思っています。この視床下部という部分、ストレスに対応するホルモンの放出を促進するためのホルモンを分泌します。そのホルモンが作用し脳下垂体→副腎皮質、あるいは交感神経が賦活し副腎髄質からそれぞれコルチゾール、アドレナリンといったホルモンが分泌され、身体はストレスに立ち向かいます。この反応は日常的に起こります。しかし、ストレスが過大、慢性的になるとこの機能がうまく働かなくなるのです。その結果、上記ののような症状が起きたと僕は考えています。イップスとは別に、「オーバートレーニング症候群」という病気がありますが、これと通じる部分もあると思われます。さらにひどくなれば「鬱」にもつながるのです。怖いですよねストレスって…

そしてもう一つ、イップスに深く関わると考えているのは、一次運動野という部分です。この部分には、体部位局在性というものがあります。

なんじゃそりゃとなる方もいるかと思いますので少し補足を…!

脳は手足の動き、表情、発声などをコントロールしていますが、コントロールしている脳の部分はそれぞれ決まっています。手なら手の脳の領域、足なら足の領域が脳の中に配置されているのです。これが体部位局在性です。

実は、この体部位局在性、運動パターンによってアップデートされるんです!ということは、誤った動作を何度も繰り返すと、その通りにアップデートされてしまうんです。僕がイップスの沼から長い間抜け出せなかったのは、イップスになってからもずっと投げ続けていたからだと思います。間違った動きを、間違った努力で、脳に覚えさせてしまったのです。

以上が僕のイップスの原因だったと研究を進める中で判明ました。今、イップスになって悩んでいる方、イップスかもしれないと思っている方、一度、『勇気を出して練習をしない』ようにしてみるのもいいかもしれません!ストレスも一度練習を離れることで軽減されるかもしれませんし、入力続ける誤った動作情報、体部位局在性もそれ以上のアップデートを食い止めることができます。

イップスになりやすい人には、練習熱心、真面目、責任感が強いという性格の特徴があるのだと治療家の先生に聞いたことがあります。もし、イップスに片足突っ込んでるなって方、イップスになってどうしたらいいか分からず嫌だけど練習してるって方、そしてイップスじゃなくてもなんだか最近実力が伸び悩んでる、スランプに陥ってる方、一度休む勇気も持ってみてください。

この記事を読んでいただいた方のお役に少しでも立てていればうれしいです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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