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§213.04 帰属の判定の方法と誤りの効果


1.事件のその後

(略)

2.事案の検討

⑴ 本件判決の一般論の部分を指摘せよ。

(ケースブック租税法〔第6版〕153頁)

 「当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である。」

⑵ 本件判決は、どのような事実を挙げて、自らが示した一般論に当てはめているか整理せよ。

(ケースブック租税法〔第6版〕153頁)

 「内容上の過誤が課税要件の根幹」についてのものであるとの要件については、「Xらは、前記のように、(一)(二)土地および(三)建物のいずれをも所有したことがなく、その真の譲渡人はCであり、したがって、譲渡所得はほんらい同人に帰属し、Xらについては全く発生していないのであるから、本件課税処分は、譲渡所得の全くないところにこれがあるものとしてなされた」という事実を挙げて、該当性を肯定した。
 「著しく不当と認められるような例外的な事情」としては、「たとえば、Xらが上記のような各登記の経由過程について完全に無関係とはいえず、事後において明示または黙示的にこれを容認していたとか、または右の表見的権利関係に基づいてなんらかの特別の利益を享受していた等の、特段の事情がないかぎり、Xらに対して著しく酷であると言わなければならない」として、特段の事情の認定を行うために原判決を破棄し、差し戻した。

3.関連裁判例

(略)

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