読めますか____固執_

読めますか?──「固執」

NHKは「こしつ」とか言っていますが、昨日の記事をお読みいただいた方はもうご存じでしょう。「執」は字音仮名遣いでシフですから、これは「こしゅう」と読みます。

シフの-フは入声(にっしょう)韻尾で、後にカ行、サ行、タ行、パ行が続くときに促音化します。「執権」をシッケンと読むのはそのためです。

ところが、シフの発音が日本語に馴染まないためか、促音の-ッがいつの間にか-ツに変わってしまい、今では常用漢字表でシツが代表音と看做されるまでに定着してしまいました。「執事(しつじ)」、「執務(しつむ)」、「執拗(しつよう)」など、シツとしか読まない熟語もあります。

とはいえ、前熟語ならまだしも、後熟語にまでシツを認めているのが不合理である感は否めません。「確執」も常用漢字表では「かくしつ」と読ませていますが、音韻論からいえば「かくしゅう」が正しい読み方です。コシツもカクシツも、近世末までは存在しませんでした。

言葉に関する質問募集中

用語や文章のマークアップについて、日常ふと思った疑問を是非お寄せください。いただいたご質問は、マガジン『言葉の覚え書き』の中で回答いたします。

個人情報は一切収集していませんので、ご安心ください。皆さんからのご質問をお待ちしています。

皆様からの尊いご寄付は、今後の執筆活動に活用させていただきます。なにとぞご支援を賜りますようお願い申し上げます。