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「ウエスト」か「ウェスト」か

音韻論上、日本語では拍(モーラ)が発音の最小単位となっています。例えば、「さくら」は[サ・ク・ラ]の3つに区切ることができます。この一つ一つの区切りが拍と呼ばれるものです。俳句や短歌にある五七調はこの拍を数えたものです。

おおむね仮名一文字が一つの拍に相当します。撥音「ん」、長音「ー」、促音「っ」もそれぞれ一拍で数えます。

例外は拗音となる場合です。促音「っ」以外の捨て仮名(「ぁ」「ゃ」など)は、その直前の仮名と一体となって一つの拍を構成します。例えば、「チョコレート」は[チョ・コ・レ・ー・ト]で5拍となります。

さて、英語のwest「西」をどう転写するかですが、原語では/wɛst/でwe-の部分は/wɛ-/と一体となって発音されますから、日本語でもこの部分は一拍とみなして「ウェ」とするのが適切です。したがって、westは「ウェスト」となります。

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