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読めますか?──「憧憬」

先日公表された2019年度の「国語に関する世論調査」によると、55.4パーセントの人が、「憧憬」は「読みにくいので、振り仮名を付けるのが望ましい」と回答しました。

「憧憬」は、ドイツ語のSehnsucht(ゼーンズフト)の訳語で、当初はショウケイと読まれていました。旁の「童」に引きずられたためか、ドウケイという慣用読みを認めている国語辞典もあるようです。

ちなみに、「憧」をあこがれの意味で用いるのは日本語の用法です。古代漢語の語義では2通りの意味があり、字音によって区別されています。漢音でショウと読んだ場合は「心が定まらないさま」(『全訳漢辞海』第四版)を表し、呉音でドウ、若しくは漢音でトウと読んだ場合は「愚かなさま」(同)を表します。

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