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「二、三百人」は算用数字で書けるか

数字、とりわけ大きな数字を記述するとき、算用数字はとても便利です。例えば、「二万六千三百四十五」は、「26,345」と書けば大幅に字数を節減できます。これは、万、千、百などの位を示す語を省略できるという特性を算用数字が具えているからです。

しかしながら、位の語を書く必要がない代わりに、各々の位の数字は一つしか記すことができません。したがって、算用数字で表現できるのは、全ての位において数字が定まった一意の値ということになります。

そのため、「十数年」や「二、三百人」といった、ある位の数字が定まっていない概数を算用数字で書こうとすると、必ず無理が生じます。「二、三百人」を、「2、300人」と書くと「二千三百(2,300)人」ととられかねませんし、「200、300人」とすると「二十万三百(200,300)人」と誤解されるおそれがあります(特に縦書きの場合はそうです)。かといって、「200〜300人」では300より大きい値は除外されるので、意味が若干ずれてしまいます。

数詞の記述にあたっては、一意の値ならば算用数字、概数ならば漢数字というふうに、それぞれの特徴を踏まえて、適切な表記法を選ぶ必要があるのです。

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