日本人の人名表記
現在の日本人の人名は、家族集団を表す氏(名字)と個人を表す名とからなっています。氏は、血族を表す姓とは別の性格のものです。
口語体においては、当用漢字が制定された1946年以前の人名は、原則として一律新字体で表記します。それ以後の人名は、字体の新旧を含め忠実に記述します。
歴史的に日本の人名は、名字、通称、氏、姓、諱から構成されています。例えば、徳川家康の場合「徳川次郎三郎源朝臣家康」が正式な名前で、「徳川」が名字、「次郎三郎」が通称、「源」が氏、「朝臣」が姓、「家康」が諱です。
名字は家族集団を識別するためのもので、地名などから採られます。漢字の語義における「氏」に相当します。
通称は日常的に用いられる呼び名。
氏は血縁集団を表します。氏の後には格助詞「の」が付きます。なお、漢字の語義における「氏」とは別のもので、「姓」がこれに該当します。氏は広まりすぎたため、後に名字が発生することとなります。
姓は官職や朝廷との関係を表すもの。漢字の語義における「姓」とは別のものです。先述のとおり、「姓」に当たるのは氏です。
諱は個人を表す名前です。「忌み名」の名のとおり、これで直接呼ぶことは憚られたため、代わりに通称が使われました。
かつて、朝廷などの公式な場面では、氏、姓及び諱を組み合わせて記すのが習わしでした。徳川家康を例にとると「源朝臣家康」となります。
現在、歴史上の人物を挙げるときは、氏または名字と諱を組み合わせるのが通例です。
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