マガジンのカバー画像

東京ノ頽廃地区

7
首都圏の暗黒街探訪。格差を敵視する者たちよ、これが下層社会の実相だ。「自然は貴族主義的であり、封建制やカースト制以上に貴族主義的なのだ」(ショーペンハウアー)(各記事は有料コンテ… もっと読む
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

池袋北口──徘徊する女衒と新華僑の街

筆者が初めて池袋を訪れたのは、就職活動で名古屋から上京したときのことであった。それ以来ずっと、何となく辺り一面に灰色の澱んだ空気が立ちこめる、陰鬱な街という印象を抱いていた。 池袋駅に降り立てば、誰でもその陰鬱さに気づくはずだ。改札を一歩出れば、目に付くのはたむろする浮浪者や周辺の俗めいた街並み。毎度不動産業界が吹聴する「住みたい街」のイメージとはほど遠い。 池袋で健全な施設といえばせいぜい淳久堂書店か東京芸術劇場くらい、あとはディスカウントストアや飲食店の他は、遊技場か

有料
300

『東京ノ頽廃地区』巻頭言

1396万の人口(2021年推計)を擁する東京都。 日本の事実上の首都として機能しているこの都市には、諸外国に見られるようなスラム街こそないものの、下層民が集住する地域というのは儼然として存在する。その界隈をつぶさに観察してみると、細民をして細民たらしめる要素が浮かび上がってくるものだ。この『東京ノ頽廃地区』は、そうした下層社会の実情を白日の下に晒すべく、東京各地にある貧民街や娼窟、犯罪多発地帯といった荒廃地区を筆者が実際に見聞してまとめたものである。 貧困というテーマに