【自家製サッカー概論】75 カウンター攻撃とFW ルヴァンカップ決勝から
アビスパ福岡、祝・ルヴァン杯優勝!
実にスゴイ試合でした。
スタジアムは興奮で高まり試合内容も素晴らしく、観戦した大多数の人が満足したのではないだろうか。
観戦した日本代表の森保一監督も絶賛だったという。
「めちゃくちゃいい試合。興奮した」。そんな感想を述べている。
……と言いつつ、この試合を盛上げた浦和サポーターが、天皇杯の名古屋戦で暴力事件を起こしたりしたのである。
サポーターの高い熱量は、極上の空間を作れば、最悪の事態も作り出す。
この二律背反。議論のテーマになると思うけど、どうだろうか。
さてさて閑話休題。今回のテーマはカウンター攻撃なんである。
福岡のカウンターが見事だった。
その攻撃の要は、フォワードの山岸祐也選手だった様に思う。
味方が跳ね返したボールを浦和に渡さなかった。これは見事だった。
このワンクッションがカウンター攻撃の肝だと思うのである。
「カウンター攻撃」と聞くと、「相手の背後のスペースを突く」と思いがち。
それは間違いじゃないけど、さらにポイントとなるのが「一回ワンクッション入れる」だと思う。
福岡の先制点の場面。
浦和のゴールキックを福岡DFが跳ね返し、山岸選手へ。
これを山岸選手が落として、前寛之選手が受けると、右サイドの紺野和也選手へ。
そこから紺野選手が仕掛け、先制点へ繋げた。
ポイントは、福岡の跳ね返しが直接紺野選手ではなく、山岸選手を経由したこと。
紺野選手に直接行ったならば、そこでつぶされていたかも知れない。
山岸選手が受けることで、一瞬時間を作り、浦和DFの意識を引き付けた。
これで、紺野選手が走り込むスペースを、前線で共有できたのである。
先制の場面では比較的フリーだったが、その後も、激しい圧力の中でも簡単にボールを失わなかった山岸選手。
こうしたプレーは「ポストプレー」と呼ばれるが、そこまで洗練されたものでもなかった様に思う。
それは、「相手に先に触らせない」という泥臭いプレーの連続だった様に感じた。
相手に触らせず、自分のボールにすることで、福岡の攻撃が連続する。
そんな印象を受けた。
これは、9月の日本対ドイツの試合の浅野琢磨選手のプレーでも感じたのである。
フォワードのこうしたプレーは、本当にチームを助ける。
守備陣が跳ね返したボール。それが相手に渡るか、自分たちでキープできるか。
これは大きな違いである。
山岸祐也選手は、守備陣が跳ね返したボールをことごとく収めて、味方につないでいたと思う。
ほんの少し前まで、日本人FWと言えば、“裏抜け”に特徴があった。
最近では、大迫勇也選手や上田綺世選手の様なポストプレーが再評価されている。
そこからさらに、守備陣が跳ね返したボールを泥臭く自分たちのボールにしてくれるFW、そんなFWが現れ始めて来たのだ。
日本人FWで、こうして前線で踏ん張れる選手が出てき始めたのである。
そして、そこからカウンターを繰り出せる様になってきている。
なでしこジャパンもその流れに乗っていると思う。
日本サッカーも順調に成長しているんじゃないか。
ルヴァン杯の決勝で、そんなことを思ったりもしたのである。