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【ブルアカ考察】SerinaArchive

はじめに


 この記事はほぼ全編セリナについてのまとめ・考察であり、セリナに関する様々な謎全てに対して答えを導くことが目的である。単一の生徒の考察としては非常に長大なものになってしまったが、本記事を読んだ先生がセリナをより理解し、そして好きになることを期待する。
 第一章はセリナについての情報と簡単な考察であり、全先生に読んで欲しいと思う。第二章は本格的な考察で、第一章を読んでいればそれぞれの節を単体で読んでもほぼ理解できるように努めた(前提と書かれた節は除く)。
 また、この考察にはメイン・イベント・絆ストーリーのネタバレが含まれる。また、セリナに関する絆、及び4編2章までのメインは全て読了している前提で進める。
 最後に、参考文献の量が多くなってしまったため、それらは記事の終わりにまとめて記載する。ただし、引用については都度出典を明記する。

(8月22日 加筆修正・サムネ変更)






終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!
私たちの、セリナの物語を!!



第一章 事実

 この章ではセリナについての様々な事実について解説して簡単に考察し、それ自体をセリナへの理解を深める一助とすることに加え、第二章の本格的な考察への足掛かりとする。


1 外見とプロフィール

・帽子、銃のストックのあたり、バッグに少し形の違う赤十字がついている。これはマルタ十字(救護騎士団のモチーフである、聖ヨハネ騎士団のマーク)と思われる。クリスマス版の場合、それはリボンと救急バッグについている。ナース版の場合、帽子と袖、靴についている。
・通常版の服に、フルール・ド・リスという紋章がついている。これらの意匠はヘイローにも見られる。
 フルール・ド・リスはユリの花と訳されるが、実際にはアヤメ科アヤメ属の花を指すとされる。
 フランスやその王家と関係が深い。宗教的には三位一体(トリニティ)の象徴であり、また大天使ガブリエルを象徴するものでもある。
・髪の一部が鷲の羽のような形を成している。

セリナの立ち絵

 ヘイローについて。
 左右に見えるのはマルタ十字、上下にはフルール・ド・リス。
 中央の意匠は不明。マルタ十字の一部が変形して円環を形作り、フルール・ド・リスが円に刺さっているように見える。
 余談だが、マルタ十字もフルール・ド・リスもミネやハナエのヘイローにはない。

立ち絵のヘイロー部分を拡大

 プロフィールについてだが、誕生日が1月6日、キリスト教の祭日である「顕現日」「神現祭」と同日である。
 顕現日は生まれたばかりのキリストが東方の三博士という人たちから訪問された日のこと。神現祭はキリストが洗礼者ヨハネという人から洗礼を受けたことを記念する祭り。

セリナのプロフィール


2 奇妙な点

 セリナにみられる奇妙な点を確認する。

・認識されないような方法で先生のもとに移動できる。具体的には、シャーレのセキュリティシステム、建物の監視カメラに認識されずに移動できる。しかし、移動時の物音や気配は、直接なら聞いたり感じることができる。
・先生の心を読む。先生以外の心は読めないようである。通常セリナの絆1時点でこの能力を使っている可能性がある。

 また、上記の点が指摘されると、言葉を濁したり話を逸らそうとする。

・AIであるアロナと接触する。

 それぞれ「テレポート説に対する否定」「セリナについて ―モチーフ」「生徒紹介とアロナ」節で考察する。


3 名前の由来

苗字、鷲見について

 鷲見の由来について、Wikipediaから引用する。

 藤原北家房前の家系より出た頼保を祖とする。伝承によると、美濃の山間に人々に危害を及ぼす大鷲が棲息することが順徳天皇の耳に達し、頼保は命により郡上郡雲ヶ嶽(現・鷲ヶ嶽)で大鷲2羽を退治して、朝廷から鷲見姓を許され、美濃国芥見荘鷲見郷を永代下賜されたという(鷲狩り伝説)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B7%B2%E8%A6%8B%E6%B0%8F

 伝承に即した設定なら、要約すれば「鷲を倒した人」を意味する。
 しかし、文字通り「鷲を見る人」「鷲を見守る人」等を意味する可能性もある。


名前、セリナについて

 中国語版では芹娜となっている。
 芹とは春の七草の一つでもある、セリ科セリ属の多年草。1月7日の誕生花であり、それはセリナの誕生日の1日後である。花言葉は「貧しくても高潔」「清廉で高潔」。
 娜はしなやか、たおやかという意味を持つ。
 芹の花言葉はセリナの人柄を表していると考えられる。


4 メモロビについて

通常版

 背景には藤の花が見える。
 藤の花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」「恋に酔う」
 また、藤という名前は「不死」や「不治」を連想させる。
 優しさや決して離れないという言葉は、まさにセリナにピッタリだろう。

通常版のメモロビ


クリスマス版

 背景のクリスマスツリーの頂上には、ベツレヘムの星(キリストが誕生した際に輝いた星)が見える。
 また、頭のリボンの飾りをよく観察できる。通常版の帽子と同じく、救護騎士団のマーク。
 ベツレヘムの星は宗教的に重要な意味を持つため考察においても重要そうに見えるが、これ以外にベツレヘムの星が登場する場面があるので注意されたい。

クリスマス版のメモロビ


第二章 考察

 前半ではゲーム内外の情報からセリナについて考察する。後半では宗教的な視点を交え、より根本的な部分について考える。なお、いくつかの節では第一章の内容を前提とする。


1 テレポート説に対する否定

 絆ストーリーでの描写からセリナにテレポート能力があるとする意見があるが、これは以下の理由で否定でき、また多くの描写はストーカーで説明がつく。根拠を以下に示す。

・メインストーリーで先生が危機に陥った際、セリナが来ていない。具体的には3編でサオリに撃たれた際や最終編でPMCに拉致された場面などが該当する。このことは、セリナがテレポートできるという推論に矛盾する。
・絆3にて、「なんとかダッシュで間に合った」と言っている。詳しくは「絆ストーリーの分析」節を参照。

 しかし、これらをもってしても絆2でセリナがシャーレ内に忍び込めたことは説明できない。そこで、まずスケジュールのロケーション「シャーレオフィス」を確認する。

スケジュール画面

 右下に出入口があり、左上の部屋はストーリー中の背景から先生の執務室だと推測できる。
 執務室の出入り口は一つしかなく、それは廊下と繋がっていることがわかる。
 執務室までの経路を考えると、その途中でセキュリティシステムがあると考えられるのはシャーレオフィスの出入り口、廊下、執務室の3か所しかない。ここで、3rd PVのスチルが手掛かりになる。(もう少し3rd PVを考察すると執務室の位置に矛盾が生じる可能性があるが、あくまでセリナの考察が主目的なので省略する)

おそらくセキュリティシステムの1つ

 シロコがシャーレオフィスに入る場面。「入館が許可されました」の表示から、おそらく出入口に設置されている機械だろう。しかし、このシステムはセリナ以外にも突破されたことがある。

こわい

 メインストーリー4編2章14話「囚人のジレンマ」にて、FOX EATSと称してFOX小隊がドアの前まで来ていた。時間帯は夜なので、セキュリティシステムが作動していてもおかしくない。また、FOX小隊はシャーレに登録しているわけがないので(現時点で未実装であることから)、上記のシステムは突破する必要がある。次の場面で先生が扉を開けるか扉が爆破されるかするが、もし最初から扉が開いていたなら勝手に入ってくることもできるだろう。セリナ絆2では、先生はギリギリ死なない量の仕事を処理しながら寝落ちした。それほど忙しいなら、扉を閉めることを忘れていても不思議ではない。
 以上の根拠から、セリナは何らかの異常ではない方法でシロコが使っていたシステムを突破し、解放されていた扉から執務室に入ってきたのではないかと考えた。絆ストーリーに関してのこれ以上の考察は、「絆ストーリーの分析」節に譲る。

 以上より、セリナがテレポートしているような描写は全て別の理由で説明でき、同時にメインストーリーでの矛盾は解消される。


2 生徒紹介とアロナ

 公式twitterの生徒紹介を引用する。

 これは「セリナがAIであるアロナと接触できる」ということを示しており、そのことは全生徒の中で見てもイレギュラーなことである。
 しかし、同様にアロナと接触している可能性を示す生徒紹介が存在する。
 ここでハレ、アリスの生徒紹介を引用する。

【生徒紹介】
ミレニアムの中でも屈指の頭脳を持つ天才、ハレさん!
すごい成果を数多く発表してる人なのですが、私たちにも普通に接してくれる優しい人です!

https://twitter.com/Blue_ArchiveJP/status/1351363780291117058

【生徒紹介】
アリスさんは、色々と謎に包まれた生徒さんです。
ですがお話をしてみると、少なくともゲームが大好きな方だということは間違いなさそうです!

https://twitter.com/Blue_ArchiveJP/status/1373152339507380224

 全ての日本語版・英語版の生徒紹介から探したが、アロナと接触したような記述はこれしか見つからなかった
 セリナは物理的にアロナと接触しているのに対し、ハレとアリスは話をしただけである点は異なるが、どちらもイレギュラーだと言えるだろう。また、彼女らの英語版での紹介にはアロナに関わったような部分はなかった。ここでそれぞれの生徒紹介の投稿日、ブルアカのリリース日、および英語版twitterが運用開始された時期を確認する。

 セリナ:2021年1月11日
 ハレ:2021年1月19日
 ブルアカリリース日:2021年2月4日
 アリス:2021年3月20日
 英語版twitter(EN_BlueArchive):2021年7月から

 ここから3人の紹介はいずれもかなり昔に投稿されたこと、セリナとハレの紹介はブルアカリリース前に投稿されたことがわかる。また、英語版の生徒紹介が投降されたのは当然アカウントの運用開始以後である。
 考察を完全にするためには宗教的な材料も必要となるが、ここで一旦結論を出す。

 また、最終編のアロナのセリフでも裏付けができる。

最終編4章1話「定められた運命」より。もしハレやセリナと接触したことがあるなら、この驚き方には違和感がある

 以上の事から、次の結論が導ける。

 セリナには本来、AIと接触する能力はない。にも関わらずこのような紹介がされているのは、当時アロナの設定が固まっていなかったからだったのではないか。
 それゆえセリナやハレの紹介にはアロナと直接関わったような記述があると考えられる。また、アリスの紹介は時期が離れているが、アロナが会話したのではなく先生が会話したことを聞いての推測であることが考えられる。

 「セリナについて ―モチーフ」節でも記述するが、セリナとアロナのモチーフには何の繋がりも確認できなかった。このことが最後の証拠となり、上記の結論を出した。


3 絆ストーリーの分析

 セリナの絆ストーリーから、その能力や先生への思いについて考察する。なお、本節は実際の絆ストーリーとモモトークを閲覧しながら読み進めることを前提とする。

  通常版

1:トリニティの天使

 最初の絆ストーリー。他の回にも言えることだが、照れなどを表すために三点リーダーが多様されている印象を受ける。
 モモトークにて「ちょっと待っててくださいね」とセリナが言った直後、絆ストーリーが始まる。
冒頭にて先生は「何となくリンゴジュースが飲みたい」と考えているが、なんとセリナがちょうどリンゴジュースを先生に差し出す場面がある。おそらくセリナは、あらかじめ仕事中の先生の思考を読んだのではないだろうか。また思考を読んだタイミングだが、モモトークの最中だと考えている。「ちょっと待っててくださいね」の直前に間があるためだ。このタイミングで思考を読み、リンゴジュースをあげることを思い立ったのではないか。これが真実なら、セリナはすでに先生の尾行を開始している(遠隔では読めないはずだから)。

この直後に絆ストーリーが始まる

 また、もう一つセリナが先生の思考を読んでいるかもしれない描写がある。「ちゃんと全部知ってるんですから。毎晩遅くまでお仕事をして、食事はてきとうなもので済ませて……。」これも上述のように、あらかじめ思考を読んでいないと、あるいはシャーレでの様子を覗いてでもいないと知りえないのではないか。ただ、シャーレの当番になった際に見たり聞いたことや、他の生徒から教えてもらったことも考えられる。


2:深夜に舞い降りた天使

 セリナの能力に先生が気付き始める回。シャーレのセキュリティシステムに感知されず出入りした描写がある。

 この回でも先生の心を読む描写があるように見えるが、それは間違いと考えられる。

>……はい?セリナの手つきがあまりにも優しいから目が覚めなかったのかも……?
>も、もう!ですから今はそんなことを言ってる場合ではないんです!
>それはだって……先生ですし、優しくするのは当然と言いますか……。
>な、何でもありません!ひとり言ですので気にしないでください。
>もしかして先生、そうやって怒りの矛先を逸らそうとしてませんか……?

セリナに怒られたい

 「な、何でもありません!ひとり言ですので気にしないでください。」は先生の心の声に思わず反応してしまったことを取り繕っているように見えるが、直後に「もしかして先生、そうやって怒りの矛先を逸らそうとしてませんか……?」と言っているため、先生が何か言ったと考えるのが自然である。どうしてそんなに優しくしてくれるの?とか聞いたのだろう。

 またもう一つ、なぜ深夜のシャーレにセリナが来たのかという疑問がある。これについてはあらすじからメタ的に考察できる。

>シャーレで遅くまで仕事をしている先生のもとへセリナが訪れ、先生の手伝いをしてくれることに。

 とあるが、これは実際のストーリーの内容と乖離している。おそらく、最初はその筋書きでストーリーを展開していたのではないだろうか。その場合では、セリナは先生が遅くまで仕事をしていることを知ってシャーレに来たと考えられる。なぜ知ったのか?という疑問が湧くかもしれないが、この時点で先生のストーカーを開始しているなら辻褄が合う。クリスマス版絆2やバレンタインで当たり前のようにシャーレに侵入しているように、今回もシャーレに忍び込んでいたと考えられる。

不自然なあらすじ

 その後のモモトークでセリナがシャーレに来ていたか聞く選択肢があるが、聞いても誤魔化される。


3:いつでもどこでもセリナも

 選択肢によって、少しだけ文章が変わる。
 「どうしてここが分かったの」という質問に対し、露骨に話を逸らす。
 「なんとかダッシュで間に合った」と言っていることから、停電時点で先生からある程度離れており、かつ停電がわかる位置にいたと考えられる。
 セリナが先生をストーカーしていたが、建物内に遮蔽物が少なく、近くにいれなかったということだろうか。実際、絆4では茂みという遮蔽の中から登場している。
 なお、先生を救護するときにセリナは、本来必要なはずの意識確認をほぼ行わなかった。これは先生の心を読める能力ゆえだと推測できる。
 最後の部分に、セリナの姿が監視カメラに映っていなかったという描写がある。
 確認したのは停電前後の映像だろうか。だとすれば、建物に入るセリナが見えなかったのはもっと前から(先生について来ながら)入っていたからで、出るときは停電中だったために記録できなかったと考えられる。

セリナが去ってから電気の復旧まで、しばらく時間がある

 また、このタイトルはセリナが先生をストーカーしていることを示唆しているように感じられる。

 直後のモモトークで、

>変だな、とか思ってたりしないですよね……?

 と不安そうに聞いている。絆2でも見られたように建物に忍び込んだりすることには遠慮がないが、それが先生にどう思われるのかは気になるようである。

♪( ´ ▽ ` )

4:その手のひらに

 ここまでセリナが先生の心を読める前提で考察してきたが、この回では先生の「仮病を装ってセリナを呼ぶ」作戦に引っかかっている。これは心を読めることに矛盾するが、このとき先生が意図的に何も考えないようにしていたという可能性が考えられる。
 この回の冒頭では、プレイヤーすら先生が何を企んでいるのかわからないような地の文が展開されている。この地の文は先生の一人称であるため、それに書いてある内容だけを考えているとしたら、セリナが先生の企みを読み取れなかったのは自然である。

 最初、セリナは先生の行動に困惑するが、途中で笑い出してしまう。セリナはいつも見返りを求めずに奉仕している姿が見られるが、セリナ自身もそれが当たり前だと思っており、奇妙なやり方で感謝を伝えようとする先生が可笑しく感じたのかもしれない。

 その後メモロビが流れるが、明らかに強調しているセリフがある。

>……先生のおかげです。
>……先生のおかげなんです、この気持ちは。

 同じ文を2回繰り返すだけでなく、倒置まで用いている。文脈から「この気持ち」は嬉しさであることが容易に読み取れるが、どのような意図があってこれを強調しているのだろうか。確信はないが、これらはセリナが自分に言い聞かせるセリフであり、自分の中の先生を守るという決意をより固めるために強調したのではないだろうか。
 証拠として、最後の最後に「セリナはこれからも、いつでもどこにでも現れますよ!」と満面の笑みで言っている。先生を守る決意がより固まったからこそ、改めてそう伝えているのだと感じられる。

直前のセリフと表情の破壊力ゆえ、この言い方が気にならなかった先生もいるだろう。
筆者もその1人だ

 タイトルについては、意図がわからなかった。「手のひら」から手を合わせて祈ることを連想したが、内容との関連性は見いだせなかった。


  クリスマス版

1:サンタのセリナ

 マフラーをもらったことに対しセリナは驚いているため、もともとセリナにあげるために持っていたわけではないだろう。(それとも忘れていた?)そうでなければ先生の考えからマフラーのことがわかるはずだからだ。ただ通常版絆4と同じように、マフラーのことを意図的に考えていなかったのかもしれない。セリナへのサプライズをする際の方法を、先生は確立したのだろうか。

驚くセリナ

 最後に、セリナはとんでもない発言をしている。

>せっかくなので、今夜は……。

 今夜は……?

 なお、Part1でも説明したように、背景のクリスマスツリーの頂上でベツレヘムの星が輝いている。これについて、考察上重要か否かについてここで考える。
 まず、ブルアカ内でベツレヘムの星が見られるのはこのタイミングだけではない。

ヘイローのちょっと上にベツレヘムの星が見える

 これは絆ストーリー中の背景だが、クリスマスツリーにベツレヘムの星が飾られているのが見える。
 この背景はセリナのストーリーだけでなく、クリスマスハナエの絆やクリスマスのイベントストーリーでも使われている。
 そもそもベツレヘムの星をクリスマスツリーに飾るのは(一般的ではないが)正当なことであり、決して不思議なことではない。
 ここでもう一度、背景とメモロビを見てみよう。

 上画像の直後にメモロビが始まる。また、それぞれの背景は少し似ている。もしメモロビの星がベツレヘムの星ではなく五芒星だったならば、不自然に感じられるだろう。これがメモロビでベツレヘムの星が輝いている理由ではないか。
 なお上ではビルの電光掲示板が煌々と光っているが、それらがメモロビに見られないのはクリスマスらしさを演出するための配慮だと考えられる。

 上記の理由から、ベツレヘムの星は考察上重要ではないと言える。


2:マフラーのお礼

 セリナがシャーレで隠れている描写がされている。(がさごそ)という物音が鳴っており、先生はそれに気づく。また、セリナの気配がしたことも書かれている。
 先生の声に対して「い、いえ違います!」と答えてしまっていることから、その能力を先生の尾行以外で使うことはないことが推測できる。もし使っていたなら、すぐバレてしまうのではないか。
 また、その能力には気合が関係するようである。気合を入れたらバレづらいのだろうか?

 モモトークでは、セリナの先生に対する心配が伺える。

>忙しいのはわかりますが、ダメですよ
>それが続くと、そのうち
>……
>あの
>今日、お時間大丈夫ですか?

 そのうち……の先を想像してしまったのだろうか。
 気合を入れて来たのは、先生の身に何かあってはいけないと強く思ったからだろう。

セリナに心配されたい


3:1日救護騎士団体験

 珍しく奇妙な点がない絆ストーリー。
 先生がつつがなく暮らせ、その上先生と二人で仲良くできるのはセリナにとって何よりのことだろう。
 最後に次のセリフがある。

>……先生。
>先生がこうしていてくれて……私、本当に嬉しいんです。

 通常版メモロビの最後でもセリナが確認した、先生から貰える嬉しさ。クリスマス版絆の最後でそれを再確認するというのは、何とも美しい繋がりだろう。
 「こうしていてくれて」の意味だが、先生がセリナのことをもっと知ろうと思ったり、セリナのことを気に掛けることではないだろう。言い方からして元々思っていたことを確認しているのだと推測できるからだ。通常版の絆とは違い先生が怪我したりすることがないため、「ただ健康でいること」だと考えるのが自然だろう。

脈絡のない発言なので、解釈が少し難しい


4 宗教用語の解説

 本記事でこれまで出てきた単語について再度解説する。本節をすべて読まなくても理解できるような説明をするつもりだが、読んでおいたほうが理解が深まるだろう。

・キリスト
 キリスト教の開祖、イエス・キリストのこと。本来はイエスと呼ぶべきだが、本考察ではわかりやすさのためにキリストと呼ぶことにする。

・聖ヨハネ騎士団
 救護騎士団のモチーフと思われる。
 11世紀に設立。最初は騎士としての役割は持たず、医療奉仕をしていた。
 ホスピタル騎士団、マルタ騎士団とも呼ぶ。
 マルタ十字は聖ヨハネ騎士団のマークであり、その意匠は救護騎士団員の帽子やマークに見られる。
 昔、騎士団が本拠地をなくした際、シチリア王からマルタ島を借りることとなった。この際賃貸料として求められたのは年1羽の鷹だった。鷹と鷲は大きさにより区別されているが、生物学的に同一であることに注意されたい。
 なお、マルタ騎士団は現存している。

 聖ヨハネとは洗礼者ヨハネのこと。イエス・キリストに洗礼を施した。
 ちなみに、ミネはヨハネ分派という派閥のリーダーである。

・ベツレヘムの星
 キリストがベツレヘムで誕生した際、夜空に見えた八芒星。それを見て、東方の三博士がキリストへ礼拝に向かった。
 現代のクリスマスツリーなどに飾られる星は一般に五芒星だが、本来はベツレヘムの星を模している。ブルアカにおいては、クリスマス系ストーリーの背景やクリスマスセリナメモロビの背景に見られるが、カフェの家具、EXスキルのカットインなど、多くの場面では五芒星が飾られているのがわかる。

クリスマスセリナのカットイン。五芒星が映っている

・顕現日
 上述した東方の三博士が、ベツレヘムで誕生したキリストを訪問した日。セリナの誕生日と同日。


5 前提:先生と連邦生徒会長のモチーフ


 結論から示すならば、先生のモチーフはイエス・キリストである。これが受け入れられるならば、この節は読み飛ばしても構わない。

 セリナについて考察するにあたって、彼女とキリストの間に切っても切れない関係があることがわかった。当初は先生がキリストモチーフで間違いないと考えたが、別の人物がモチーフである可能性も浮上した。その人物とはモーセである。
 モーセは古代イスラエル民族とその宗教を基礎づけたと伝えられる指導者で、神から啓示を授かり、様々な奇跡を起こしてイスラエル人を導いた。中でも、エジプトの軍から逃げるために海を切り開いた奇跡は有名である。
 先生はシッテムの箱を用いて様々な奇跡を起こしている。もちろん、そのメインOSであるアロナ(A.R.O.N.A.)も重要な役割を果たしている。ここで金管楽器先生による考察を基に、シッテムの箱とアロナの元ネタを解説する。(ただし、本節の結論は金管楽器先生によるものと異なる)

 聖書において、シッテムとはアカシアのことである。つまりシッテムの箱はアカシアの箱ということになるが、それは契約の箱を意味する。契約の箱とは、神の啓示を受けたモーセがベツァルエルに作らせた箱で、そこにはアロンの杖(Aaron’s rod)などが入っていた。
 アロンの杖はモーセが奇跡を起こす際に使った杖である。また、Aaronを少し並び替えるとAronaになる。このことから、先生とモーセの関係の重要性が見えてくる。ここまでは金管楽器先生による考察を支持する。

 なら先生のモチーフはモーセなのでは?と感じるかもしれないが、筆者はモーセを元ネタとしているのは連邦生徒会長先生がキリストだと考える。これは、次の根拠による。

  • モーセはキリストより昔の人物である。

  • モーセはキリスト教にて最重要な預言者の一人とされている。(チュートリアルでも、連邦生徒会長が先生を呼んだとされている)

  • モーセもキリストも様々な奇跡を起こしているが、より広く崇められたのはキリストである。

 また、先生がキリストであることにも根拠がある。

 キリストは十字架に磔にされて最期を迎えたが、これは「私たちの罪を引き受けられた」と解釈される。先生は「責任は大人が負うもの」と言って生徒たちの責任や困難を引き受けているが、このことは磔の解釈と関連性が感じられる。

 次に、最終編第4章7話「同じ状況、同じ選択」にて先生が脱出する際の描写を見てみよう。ここで、Twitterで見つけた考察を引用する。ただし星に関しては、これと別の解釈をする。

 この考察を基に考えてみる。実際にストーリーを見ると、ツイートの内容通り1度朝になってから3回夜に、3回朝になる描写がある。キリストもまた、処刑されてから3日後に復活している。また、同ストーリーの冒頭、ベツレヘムの星、つまりキリストの誕生を示すもののようなものが映る。(八芒星に見立てるのは少し強引かもしれないが……)

「脱出シーケンス」:残り0回はとても思い出深い

 最終編を読了済みの先生なら、これはシロコ*テラー(クロコ)が脱出するときの光であることがわかるだろう。それに対して、先生が脱出するときの光はこのような形をしていない。

何度見ても感動するエンディング

 こちらがその光で、青い十字に見える。一見上述の説を否定する要素に感じられるかもしれないが、これはむしろそれを肯定するものである。

 そもそもベツレヘムの星はキリストの誕生を伝えるもので、キリストそのものを表してはいない。

 また、「地上に無事に降り立った先生は全裸だが、それはキリストの誕生を示唆している」という解釈は興味深い。

 余談だが、連邦生徒会の幹部は会長を除けば12人であり、キリストの使徒(弟子)の数と一致する。

 さらなる余談だが、キリストは異教徒により磔刑に処された。ここで、プレナパテスの見た目を確認したい。

プレナパテスの立ち絵

 髪のように見える部分は、絵画などに描かれるキリストのそれと似ている
 また、頭には金属質の何かがついており、茨の冠のようにも感じられる。
 さらに、彼は異常に肩幅が広いことで知られるが、立ち絵と磔刑の絵を見比べてみると関連性を感じる。

磔刑のイメージ。これをプレナパテスの立ち絵と合わせると……
これなら異常な肩幅に説明がつく

 これでどうやって手を使うのか?と考えるかもしれないが、そもそもプレナパテスは死んでいるし、手の形も不自然である。そのため、義手だと考えられる。
 先生がキリスト、無名の司祭が異教徒だと見立てれば、プレナパテスが磔刑に処されたキリストをイメージしているように感じられる。


6 セリナについて -救護騎士団員として

 セリナについて、救護騎士団員としての側面から考察する。
 ここで、救護騎士団やセリナについて必要な情報を整理する。

救護騎士団の元ネタは聖ヨハネ騎士団である。これは、救護騎士団のマークがマルタ十字であることからわかる。聖ヨハネ騎士団にはこのようなエピソードがある―昔騎士団が本拠地をなくした際、シチリア王からマルタ島を借りることとなった。この際賃貸料として求められたのは年1羽の鷹だった。(鷹と鷲は大きさで区別されるだけで、生物学的には同じである)
・鷲見という苗字は、「鷲を倒した人」を意味する。ただし、セリナの苗字が必ずしもこの意味だとは限らない。
・セリナのヘイローにはマルタ十字とフルール・ド・リスが見られる。マルタ十字は上記の通り、聖ヨハネ騎士団のマーク。フルール・ド・リスは、フランスやその王家と関係が深い。宗教的には三位一体(トリニティ)の象徴であり、また大天使ガブリエルを象徴するものでもある。

 これらの点を総合した結果、セリナは本来救護騎士団のトップを務める生徒として作られていたという結論に至った。以下にその根拠を示す。

 まず、救護騎士団そのものを表すマルタ十字や高潔なマークであるフルール・ド・リスがミネやハナエのヘイローに見られない。
 本来ならそのような模様は、トップであるミネのヘイローにこそ現れるはずである。

ミネ、ハナエ、セリナのヘイロー

 さらに、鷲見姓の伝承と騎士団のトップであることには繋がりを見いだせる。聖ヨハネ騎士団が本拠地を失った際に鷹を求められた、つまり鷲を求められたという歴史があるが、鷲見姓は鷲を倒した人を意味する。ここで、鷲を倒す=騎士団のために賃料を払う人という連想ができる。これらを踏まえると、セリナが騎士団を存続させる存在であるという示唆が読み取れる。また、聖ヨハネ騎士団は当初は医療奉仕活動のみを行っていた。トリニティは全体的に歴史や伝統を重んじている傾向にあるが、現救護騎士団のトップであるミネには医療活動をしている描写があまりなく、むしろ戦いに身を投じていることが非常に多い。このことから、より本来の騎士団の目的に沿ったメンバーは誰かと考えた場合、それはセリナだといえるだろう。

 ちなみに、聖ヨハネ騎士団の名前に「ハネ」とあるが、これがセリナの髪に鷲の羽のような部分があることの由来かもしれない。
 もう1つの可能性として、騎士団に献身する心の表れとも考えられる。

プロフィールの一部

 鷲の羽がついている=鷲だと考えると、自分を捧げることで騎士団を支える―つまり献身を意味している、と言えるのではないか。

 以上の点から、セリナは本来救護騎士団のトップを務める生徒として作られていたと考察した。


7 セリナについて -モチーフ

 ゲマトリアの顧問先生による先行研究にて、トリニティの生徒のモチーフは天使であることが示されている。本節ではそれを踏まえて考察を進める。

 結論から述べると、セリナの元ネタは大天使ラファエルと洗礼者ヨハネだと考えている。これは上記の先行研究の結論(ミネのモチーフがラファエルであること)に反するものだが、前節の結果を踏まえると、新しい視点が見えてくる。

 まずラファエルとは、キリスト教でミカエル、ガブリエルと共に三大天使の一人と考えられる天使である。薬剤師、盲人、病人、精神障害、旅人の守護者とされている。また、ラファエルという名はヘブライ語で「神は癒される」という意味を持つ。
 ここで、セリナとラファエルに一致する点がある。先生はシャーレ顧問としてキヴォトスの津々浦々を訪れ事件を解決したりしているが、その行動は旅人のものと言って差し支えないだろう。それを見守り癒すセリナは、旅人の守護者と言えるのではないか。
 なお、通常版のメモロビの背景に映っている藤の花には、「決して離れない」という花言葉がある。ラファエルにはトピアスという人の旅に同伴して守ったという話があるが、決して旅人=先生から離れず(ストーカーして)守るということを示唆しているのかもしれない。

絆3のタイトル。
「いつでもどこでも」という言葉は、旅人の守護者にこそふさわしいのではないか

 また、上述の先行研究によれば、ナギサやミカなどトリニティのトップにあたる生徒の元ネタは大天使であるとされている。ラファエルも大天使の一人でありセリナのモチーフがそれであることは不自然なように思えるが、前節の結論(セリナは本来トップとして設定されていたこと)を踏まえると納得できる。

 次に、洗礼者ヨハネはキリストに洗礼を授けた人物である。また、聖ヨハネ騎士団のヨハネは洗礼者ヨハネを意味する。
 彼はキリストが現れる前に多くの人に救世主と崇められたが、民衆に対し「わたしよりも優れた方が後から来られる」と言っている。そしてキリストが現れ、洗礼者ヨハネから洗礼を受けようとするが、彼は「わたしこそ、あなたから洗礼を受けるべき」と言う。だがキリストは最終的に洗礼を受ける。要するに、洗礼者ヨハネが必要ではないと言うにも関わらずキリストはあえて洗礼を受けたということだ。
 この話とクリスマス版の絆ストーリーに繋がりが感じられる。先生は「セリナと救護騎士団についてもっと知りたいから」とセリナの仕事を体験するが、セリナは「何だかわざわざすみません。」と言っている。これはキリストに授けられた洗礼とは全く異なるが、構図は似ているように感じる。

筆者もセリナと一緒にボランティアがしたい

 また、セリナの誕生日は1月6日で顕現日と同日だが、その日は神現祭という祭日とも同じである。神現祭とはキリストが洗礼者ヨハネに洗礼を受けたことを記念する祭りであり、セリナと洗礼者ヨハネの関連性から誕生日が設定されている可能性がある。

 セリナが先生の心を読めることはストーリーから明らかだが、上記を踏まえると由来が考察できる。まず、洗礼者ヨハネはキリスト教で預言者とされている。預言者とは霊感により啓示された神意を伝達あるいは解釈する者とされているが、キリストの意思を伝える者ではない。しかしキリストは神とされているため、預言者をキリストの意思を伝える者と曲解すれば、洗礼者ヨハネはキリストの意思を伝えるということになる。先生とセリナに当てはめてみると、セリナは先生の意思を伝える者、つまり先生の意思がわかる者と言うことができる。

 以上の理由から、セリナのモチーフはラファエルと洗礼者ヨハネであると考えた。

 なお、ラファエルや洗礼者ヨハネについて、アロナの元ネタであるアロンの杖とのつながりは一切確認できなかった。これが「生徒紹介とアロナ」節での主張の理由である。


第三章 最後に

 あとがきと用いた資料、参考文献を掲載する。


あとがき

 最初はセリナについて軽く考察するつもりだったのが、だんだんと膨れ上がってここまで長い記事になってしまった。文字数は約1万4千字と、どれだけセリナが奥深い生徒であるかを思い知らされる。もしあなたが飛ばし飛ばしでもここまで読んでくれたなら、きっとセリナ度が大いに高まったことだろう。もちろん、この記事の内容が全て正しいとは限らない。実際筆者は神学を学んだことがあるわけではないし、見落としている点もあるだろう。もし時間があれば、それぞれの手で考察をしてみてほしい。
 「理解できぬ」「つまり―何を意味する?」となった先生もいるかもしれない。しかし、雰囲気だけでもいい―少しでもセリナの解像度が高まったなら、この記事を執筆した甲斐があったというものである。セリナについて語りたい時、絵を描きたい時、ストーリーを読んで怖くなった時……何か疑問が生まれたなら、いつでもこの記事に戻ってきてほしい。もしかしたら、求める答えがあるかもしれない。
 また、今回の考察にあたって数多くの先生による先行研究、沢山のウェブサイトを参考にさせていただいた。それらの著者・作成者の皆様に心から感謝を申し上げる。また、アロナが2.5周年ガチャでクリスマスセリナとミネを引かせてくれなかったら、この考察は完成しなかったかもしれない。筆者を支えてくれたスーパーアロナにも感謝したいと思う。


公式生徒紹介(JP/EN)

訳:セリナさんは救護騎士団に所属する心の優しい生徒さんです。
いつも友達に対して面倒見が良いので、たまに「お母さんみたい」と呼ばれることもありますよ!

訳:先生、サンタのセリナさんのボランティア活動を手伝ってあげてください!
必ずや心が暖まりますよ!


参考文献

ブルーアーカイブ攻略wiki

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花言葉-由来


参考文献 -Wikipedia





















てんてろてんてんてん。
てんてろてんてんてん。
先生!SRN値チェックのお時間です!


ここまで全部飛ばしてきた先生は……SRN値0です!
大変です!早くセリナさんを摂取してください!!

ランダムに読んでここを偶然見つけた先生は……SRN値20です!
もうちょっとでセリナさん欠乏症になっちゃいますよ!

参考文献が気になってここまで来た先生は……SRN値50です!
セリナさんが足りてそうですね!

最初から全て読んでここに来た先生は……おめでとうございます!SRN値100です!
セリナさんの過剰摂取には気を付けてくださいね!


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