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間違いだらけの合気上げ

今は情報化の時代となり、昔は達人しか出来なかったような合気を、その気があれば、誰でも体験出来るようになり、また学べるようになりました。

しかしそれでも、難しい所はあるため、未だに出来ていないものも多くあり、また「これが正しい合気上げだ!」といった説明もよく見かけます。


合気の絶対的な定義がないため、その本人が、これが合気、これが正しいと言えば、それはそうなのかもしれませんが、秘密を隠すためにやっているのならまだしも、

今の時代で、少しどうかなと思うものもあるので、間違いだらけの合気上げについて説明します。



一番よくあるのが、腕や肘を引いての合気上げです。

もしこれが正しい合気上げになるのであれば、他のものや技でも力を使わずに倒したり、投げたり出来るはずですが、腕や肘を引いて上げている合気上げをやっている限り、まず出来ないと思います。

つまり本気で頑張った相手にはききません。


また腕や肘を引いたのであれば、その瞬間に押し込めば、簡単に倒すことが出来るため、それを当たり前にやっていることは、武道的にも問題があるのです。

合気道では合気上げは行わず、座りの呼吸法になりますが、その呼吸法も技ではなく、呼吸法ではあるものの、隙だらけとか、簡単に崩されるものであってはいけないのと同じです。


大東流合気柔術の合気上げにしても、合気上げは一つの訓練法になりますが、訓練法であるにしても、無駄に隙を作って、崩されるものであってはならず、

また合気上げはゴールではなく、合気上げの原理を利用し、技に合気を使えるようにしていくためのものです。

それが出来ていないのであれば、合気上げの為の合気上げで、本当の合気上げとは、言えないのではないかと思います。



次に、抑えられてからではなく、流体的、瞬間的にやるというものありますが、実践では当然、合気上げのような場面はなく、瞬間的なものになります。


ただ合気上げは、あくまで訓練法の一つです。

個体法的に抑えられた状態からでも、上げることが出来るのが合気上げで、またそこに秘密があり、その秘密、謎を解き明かすことが出来ないと、自分のやりやすい、自己解釈の道に行ってしまいます。



他に見た合気上げでは、物理ではなく脳科学、チャクラを開くものという説明をしていたものもありました。

詳しい説明が分からないため、具体的なことは分かりませんが、物理が関係ないのであれば、佐川幸義翁は、死ぬまで鍛錬など行わなかったでしょう。

また物理が間違っているとすれば、佐川幸義翁が間違っていることになり、少しおかしな話になります。


結果的に脳科学で説明出来るものもあるかもしれませんが、基本的には物理学がベースで、そこから発展させていった時に、他のものにもなっていったりもします。

それと腰の力が弱い人であれば、割りと上げることは出来ますが、大東流合気柔術など武道を、10年ぐらい稽古した人になると、腰の力も相当強くなっているため、素人を相手にするのとでは、全然違ってきます。

合気は、腰が強い人でも上げられるようになって、初めて合気が分かったとも言えるので、武道素人の人を相手に上げられたとしても、合気上げが出来たことにはなりません。



最後に、間違いというのとは少し違いますが、合気上げで、肘が伸び、つま先立ちになるのが、正しい合気上げ、という説明も見かけます。

しかしそれは方法の一つで、必ずしも肘を伸ばし、つま先立ちにさせる必要はありません。


たとえば合気道では、相手の肘を伸ばして、合気上げのようなことは余り行いませんが、随所に大東流合気柔術で言う、合気上げや合気下げを使っています。

塩田剛三翁にしても、当然そうした肘を伸ばした合気上げもやろうと思えば、出来たはずですが、あえてやらなかったのは、技のベースが合気道の技を使っていたためです。



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