【🏸スリランカ遠征🇱🇰③】〜試合当日〜

いよいよ試合当日を迎えました。今回は当日の様子をご紹介します！

対戦相手について

今回の対戦相手はインド🇮🇳のアンシュ・ビジャル・グプタ選手。世界ランクは最高533位の選手です。年齢は18歳と若く、これまではジュニアインターナショナルと呼ばれるU19(19歳未満)の選手のみが参加できる国際大会で活躍しているような選手です。事前に彼のプレースタイルなどの分析は必須です。YouTubeで検索するとインド国内の地区大会の動画が見つかりました。彼は「ザ・インド選手」と言えるような強いフィジカルを活かして常に先手先手を取ってくるようなプレースタイルでした。ドリブンクリアとドライブで相手をコート後方に張り付けて、パワーで押し込むようなイメージです。インド選手はこのプレースタイルの選手が多く、トップランカーのラクシャ・セン選手、スリカンス・キダンビ選手をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。この手のプレースタイルは常に短いラリーで先手必勝を目指す私のプレースタイルとの噛み合いが悪いことは知っていました。去年9月のタイISで対戦したアカシュ・シン🇮🇳選手もこのプレースタイルだったからです。このプレースタイルに対して戦いを挑む場合はコンスタントに丁寧なラリーを心がけることが必要です。
スリランカに滞在し始めてからここ数日間、インドネシアのロイさんの指導を受けてきて時間の使い方だったり配球の工夫について集中的に学びました。なるべく攻め急がずに丁寧にラリーを続けることを心がけて試合に臨みました。

試合開始予定時間の3時間前に会場入り。行われている試合を見ながらシャトルの飛び方を観察。その後1時間前のタイミングで練習コートへ移動。ここではシンガポール代表のコーイェーシン選手🇸🇬(女子シングルス)に基礎打ちをお願いした。

Ansh VISHAL GUPTA | Profile

ラリーの質の低さが露呈した試合内容

序盤(〜4点)こそ、コートの四隅をついたショットで相手と互角に渡り合ったものの、要所要所で相手が放つドライブで私の甘いリターンが誘発されてしまいました。返球が甘くなればすかさずオープンコートにスマッシュを叩き込まれます。ネット前で厳しいヘアピンを打たれることも避けたかったのでロングネット(ネットから少し離れたところへ落ちる緩やかなヘアピン)で機会があればアタックロブで攻めに展開することも試しました。しかしその状況でも相手がいつも先手を取り、押される展開が終始続きました。一方で相手にもところどころで荒削りなプレーがあり、貴重なチャンスはプッシュで沈めるなど一点でも多く取るために目の前のラリーに集中していました。1ゲーム目は🇮🇳21-9🇦🇺で取られ、セカンドゲームへ。

インターバル中にはロイさんの助言を受けた。

ゲーム間のインターバルではロイさんから「サーブの立ち位置を少し後ろに下げてみてはどうか。」と助言をもらいました。1ゲーム目の失点パターンとしては「サーブ後にコート奥にアタックロブで押し込まれ、甘いリターンを誘われた。」というものが多かったのです。その助言通りに若干サービス位置を後ろに下げると相手から見える私のコートが若干狭くなり、コート奥への押し込むようなショットが減りました。そして序盤はスムーズなスタートを切れたのですが、風上のコートになったことで後ろのアウトが増えていきました。結局最後まで風に順応することができず🇮🇳21-9🇦🇺で敗戦しました。

試合結果:
Ansh Vishal GUPTA(アンシュ•ビジャル•グプタ) [IND🇮🇳] vs Takeru KAI(甲斐尊丸) [AUS🇦🇺]
21-9 21-9

試合を終えて

今回の試合の良かった点と悪かった点は以下の通りです。

<良かった点>

・自分からのミスが去年の試合よりも減ったこと。
去年の国際大会の試合では、サービスレシーブで足が出なかったり、スマッシュを自分からネットにかけたりする初歩的なミスでほとんどラリーができずに敗戦することが多かったです。それに比べて、スリランカISではラリーをつなげて相手がミスをするまで我慢することができるようになりました。

・要所でスマッシュやプッシュを狙いにいけたこと。
去年はスマッシュやプッシュなどを打てる機会が回ってきても「返球されたらどうしよう」とばかり考えてクリアやドロップで繋いでしまい消極的なプレーが目立ちました。しかし、スリランカISでは相手のネット前のリターンが甘くなった際、ネット前に詰めてプッシュで決め切ることや、相手の甘いクロスリターンに対してシャトルの落下地点にいち早く回り込みスマッシュでノータッチエースを決めることができました。

・暑い気候に順応することができたこと。
これまでに今回のような暑い体育館でプレーしたことはありませんでした。その中でも数日間の調整で暑さ耐性をある程度付けることができました。試合中は暑さをほとんど気にすることなく目の前のラリーに集中することができた点は評価できると考えています。

<悪かった点>

・根本的なフットワークの癖が抜けきれなかったこと。
私のフットワークはリアクションステップが大きくなってしまう癖があり、相手のフェイントに対して一歩も動けない場面が多いことが課題でした。この点に関しては、渡航前にJTEKTの市川選手からもご指摘いただきアドバイスをいただいておりました。スリランカでの練習を開始してからもロイさんからフットワークについて指導を受け、「シャトルが相手のラケットから離れるまで基本的には動き出さない。それまではシャトルをよく見て、シャトルが放たれてから動き出す。」ということを言われました。試合中はこれを最も意識して臨んだものの、かえってフットワークが以前よりも遅くなってしまいクロスの球へ追いつくことができない場面が増えてしまいました。

・風への順応ができなかったこと。
これは去年からの継続的な課題で、コートチェンジ後にアウトが続き負の連鎖になってしまうことが多いです。今回もその例外ではなく、2ゲーム目で後ろへアウトしてしまった場面が7回ありました。状況に応じて配球に変化をつけなければいけないことは頭で分かっていても実践できないことが課題です。低い球でコート四隅を突いて揺さぶるやり方を学ぶ必要があります。

・全体的にトップ選手の配球に対する知識が不足していること。
練習環境の話になりますが、国際大会で勝っている選手と自分の何が違うのかを考えました。彼らは平均週5〜6のトレーニングを国際大会レベルの仲間と行っています。日常的に受ける球のスピードやコース、フェイントの数々で膨大な量の経験を毎日積んでいます。一方で私は、ごく普通の中学・高校・大学とバドミントンをやってきました。今回の遠征中にこのことをロイさんから改めて指摘されました。それまでは「環境のせいにしてはいけない。」と自分に言い聞かせてはいましたが、言われてみれば環境面の差は確実に存在していると再認識しました。しかし、現実的なことを言えば今から強豪チーム(NTT東日本やトナミ運輸などの実業団)の練習に参加させてもらうことや強豪大学(リーグ1〜2部の大学)の練習に参加させてもらうことは叶わないと思います。だからこそ、現時点で使うことのできる練習環境を使って練習メニューをいかに最大化できるかに重きを置いていきたいです。例えばこれまで2vs1の練習で1人の方がレシーブするメニューをやる際、2人の方はスマッシュ/ドロップ/カット/ヘアピンだけに絞っていたものをクリアやロブを追加することで背筋にかかる負荷を増やすなど工夫する余地は多くあります。

今後取り組むこと

今後直近で取り組むことをリストアップしました。

• 試合の録画を元にラリー数、ミスの原因を追求して具体的な練習メニューを立てる。
  

• 時間の使い方を学ぶ。
  オールショートを中心としてギアを上げるタイミング、下げるタイミングにメリハリをつけて自分のスタミナを効率的に使うラリーを組み立てられるようにする。
  

• 相手の動きを見るというよりもシャトルの動きを追うことを意識する。
  ロイさんがずっと口ずさんでいたのは”Shuttlecockes never lies.(シャトルは嘘をつかない。)”相手がどれだけフェイントをかけてこようが、一度放たれたシャトルは急に軌道を変えることはない。よってシャトルをよく見てしっかり動くことができればスムーズにコートを動くことができるというもの。

Rはラリー回数。Kは私、Iは相手選手の得点を表す。WHはWhat Happnedの略で「何が起こったか」。WTTはWhat To Trainの略で「課題の解決に向けて何を練習すべきか」を表す。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます！次回は帰国までの様子をご紹介します！

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