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Marco Asensio 7年の旅路とこれから

今回noteを書くにあたって

マヨルカ島の天才が入団する時、僕は彼には今ほどの感情はなかった。入団会見で泣く姿を見てとても情熱的な選手という印象を受けた程度だ。それは今は天国にいる母親を思っての涙だったということを知ってからの話はまた後に。今回は、前回綴ったように戦術的な部分は置いておいて僕の私情MAXで書き綴ろうと思っているのでそれをご了承の上お付き合いいただきたい。

アセンシオ入団から

先ほども述べたように入団してすぐ彼に特別な感情を抱いていた訳ではなかった。彼の入団会見の涙をみて「あぁ、なんか応援したい感じがする選手だな」くらいのアバウトな感情でしかなかった。マヨルカ、エスパニョールにローンに出されていた間にも試合は追っていた訳ではないし、プレーがどんなものなのかも詳しくはよく知らない状態だった。その見方が変わったのはスーパーカップだった。セビージャ戦でのスーペルゴラッソ、あのゴールが僕を魅了した。まず、公式戦初出場であのシュートを放つ度胸に惚れ込んだし、見事に撃ち抜いてしまう技術にも惚れ惚れとした。背番号も28番から前年、ヘセロドリゲスの着用していた20番へと変更し、今後に期待感しか持てないような若手選手だったことを今でも覚えている。

16-17シーズン

このシーズンで僕の最も印象に残っているゴールを挙げるとするならばCLでのバイエルン戦2ndレグのゴールだろう。あのゴールは本当に素晴らしかった。エゴ満載のゴールだったとも感じる。カウンターで抜け出し、クリスティアーノがいるにも関わらず右サイドへと自分で持ち込み決め切ってしまった。あのゴールを決めた時点で僕は彼に心酔しきっていたし、次の時代を引っ張って行くのは彼なのだとも本気で思っていた。1人の選手が決めてあんなにも感情が昂ることはこれまでなかった。クリスティアーノはゴールを量産していたが、それはチームのゴールであり、チームの勝利につながるゴールだという意味で喜んでいたが(もちろんクリスティアーノ信者でもあるのでクリスティアーノのゴールを喜んでいないわけではないということを誤解のないようにしておく)、アセンシオが決めた時は違った。彼の活躍に心が躍り、1人の選手の活躍に喜んだ。個サポだからこそ現れる感情だと思う。ナチョとの熱愛報道も個人的にかなり熱かったりもした………。

17-18シーズン

このシーズンは多くの人の中でも彼の飛躍のシーズンだという印象が強いのではないのかと思う。このシーズンはインクレディブルなゴールが多かったからだと思う。特に多くのサポーターに印象付けたのはクラシコでのゴールだろう。彼はこのシーズン、バルセロナに対してゴラッソを突き刺し守護神テアシュテーゲンが動けないようなゴラッソにマドリディスタは興奮した。このシーズンは僕の中でのベストゴールが生まれたシーズンで、ラス・パルマス戦、こぼれをそのままダイレクトで撃ち込み見事なミドルシュートを叩き込んだ。威力、距離、シュートフォーム、全てが美しいミドルシュートだったと思う。おそらくアセンシオ自身の状態もかなり良かったのだろう。マルセロとの左サイドのコンビは絶妙だった。右に移ってカルバハルと組んでも良し、イスコとのスペインコンビも最高だった。あのシーズンはリーガはボロボロ……だったがCLを獲り、サブからのスタートが多かったものの出場すればある程度の活躍をし、次のステージへ進むための準備期間としては文句なしのシーズンだったように今は思う。

18-19シーズン

このシーズンは正直あまり語りたくない。クリスティアーノの退団、ジダンの電撃退任などクラブにもショッキングな出来事が多く、クラブ自体の成績も酷いの一言。暗黒期に直面したマドリーに救世主的な役割を求められたアセンシオ自身の成績もボロボロだった。ロペテギ政権時は先発起用されることも多かったものの、ソラーリに変わってからはサブ起用が徐々に増えていき、クラシコでもサブからのスタートだったりした。あの時は本当にしんどかった。nextクリスティアーノとして期待されていたこともあり、マドリディスタからのプレッシャー、3年目に入っても圧倒的な数字を残していないという焦りもアセンシオにはあったのかもしれない。とにかくこのシーズンはアセンシオ自身もチーム状態も酷かった。そんな中でもポジティブなゴールがあった。CLアヤックス戦の2ndレグでのゴールだ。あのゴールは本当に痺れた。CL3連覇王者としてのプライドがズタボロに裂かれるような試合だったのをはっきりと覚えている。その中で途中出場の彼が起死回生の一発になるかとも思えるゴールを決めた。試合結果はマドリディスタの皆さんは思い出したくもないであろうが……
チームがいいようにやられている中でもゴール後に見せた彼のパッションはマドリディスタを刺激したと思う。"Hasta el final" この言葉を体現するようなプレーだったと思うし、彼にはやはり何か奮わせられるものがあるようにも感じたのがこの試合でのゴールだった。それと、これに関しては全くの個人的な感想なのだが彼の前頭部にのみハイライトを入れる髪型が彼のビジュアルの中で1番好きである。。。

19-20シーズン(1)

このシーズンはアセンシオのターニングポイントだと思う。様々な意見をTwitterで見たがやはりこのシーズンでの怪我がなければまた今とは違う結果になっていたことは確実だと感じる。
このシーズンはアセンシオがPSMのアーセナル戦、芝に足を取られて前十字靭帯の断裂という大怪我を負ったシーズンである。あの時の悔しさは忘れることはない。アセンシオが自身の怪我の重さを悟り、芝に手を叩きつけて悔しがっていた姿は今でも鮮明に脳裏に焼き付いているし、誰よりも昨季の不調から抜け出そうと気持ちが入っていたのだろう。今でもあの時を思い出す度に心が苦しくなる。シーズン開始前のマドリーでの練習においてアセンシオが12分間走をチーム内で行い、その練習においてチーム内1位を取ったという記事を見た時、期待感でいっぱいだった。実際PSMでもアーセナル相手に好パフォーマンスを見せ、1ゴール記録した。その試合においてオーバメヤンと競った時に芝に足を取られて靭帯を断裂。あの時は本当に悔しかったし、後に車椅子に乗ったアセンシオの写真を見た時は絶望もした。(当初はシーズンも絶望とも言われていた気もするが)明らかに簡単に治るような怪我のようには見えなかったし、本人の芝を叩いて悔しがるという行為がそれを表しているかのようにも感じた。サポーターの僕がこれだけ悔しいのだから本人の悔しさは計り知れないものだったのだろうと思う。


19-20シーズン(2)

怪我以降は本人のインスタグラムやTwitterなどで情報を追っていたが、毎日リハビリに励む姿からは挫けることはないという気概を感じるものがあった。だが、やはり好きな選手のプレーが怪我によって見れないというものはやはり辛いものでやりきれない気持ちが常に心の奥底にはあった。だからこそアセンシオがボールを蹴れるまでに回復をした動画を見た時は泣きそうになったし復帰が近いという期待感でいっぱいになった。アセンシオの復帰戦については試合を見ていたマドリディスタなら説明する必要もないだろう。2020年6月19日バレンシア戦、アセンシオは74分から交代で復帰を果たし、約11ヶ月ぶりの出場となった。アセンシオが入った直後、コーナーからのこぼれを拾った左サイドのメンディがクロスを上げ、それをボレーで叩き込んだアセンシオは復帰戦をセンセーショナルなゴールで飾った。あの時はもう言葉にならない感情でいっぱいだった。絶望の怪我からの華やかな帰還。今後もあの瞬間を忘れることは絶対にない。チームはCLは敗退したもののリーグタイトルの獲得でシーズンを終えた。苦難の一年を乗り越えたアセンシオの次のシーズンがまた始まる。


20-21シーズン

このシーズンは正直言って本当に微妙だった。昨季加入したロドリゴの調子が上がりきらないので必然的にアセンシオはスタメン起用される試合が多かった。そもそも攻撃陣がベンゼマ以外不甲斐ない結果で終わり、チーム内得点ランキングの2位にはカゼミーロが入ってくる事態となった。アセンシオ自身も通算ゴールで7ゴールにとどまりカゼミロと得点ランキング2位タイとなるもののシーズン全体の貢献度を考えるとカゼミロと同等の働きをしたとは到底言い難いような内容だった。得意のゴラッソもこのシーズンはあまり見られることはなくこの頃からアセンシオに対して諦めの意見が散見することが多くなったようにに感じる。このシーズンはウイング起用されることが多く、個人的にもスピードや足元のテクニックをメイン武器に戦っていないアセンシオには厳しいポジションであると感じていたし、昨年の怪我の影響によって17-18シーズンに見られたスピード感が感じられなかったし、沈黙する試合が非常に多かった。また、アセンシオの最適ポジションはトップ下だと思っているが、その当時の監督であるジダンはトップ下を置かずチーム内で生き残るためにはウイングというポジションに適応する他なかった。僕自身もこのシーズンから今後アセンシオが生き残っていくには今までのやり方を変えなければいけないと感じていたし、マドリディスタから不満が出るのも当然だと思った。そうして前シーズンからの期待を背負ったまま、微妙なパフォーマンスで20-21シーズンを終えることになる。

夏季オリンピック

伝説の21-22シーズンへと入る前にアセンシオに関してはこのオリンピックについて話しておきたい。東京で行われたオリンピックにおいてアセンシオはオーバーエイジ枠として招集された。結果としては決勝でブラジルに敗れ、2位となるのだがおそらく日本人が鮮明に覚えているのは準決勝、日本対スペイン戦だろう。この試合は僕はなんとも言えない感情で見ていた。日本には勝ってほしいがアセンシオ(セバージョスもいたが途中で負傷離脱)にもオリンピックといえど出るならば頂点へと上り詰めてほしいという複雑な心境でこの試合を見ていたのを覚えている。いざオリンピックが始まってみると、アセンシオは低調なパフォーマンスで準決勝ではスタメンを外れる事態となった。準決勝ではアセンシオは途中出場となったが、これが日本からすれば悲劇の始まりとなる。試合は延長へともつれ込み、延長後半10分、アセンシオがペナルティエリア内でボールを受け得意のコースからゴールを決めた。日本人からすれば絶望のゴールであり、地面に膝をつきたくなるようなゴールだったと思う。申し訳ないが僕は発狂も発狂。部屋からアセンシオのスペイン代表ユニフォームを引っ張り出し日本を応援していた両親を煽り散らかしたあと、「うるさい」と一蹴されて熱は収まった。あのゴールはほんっとうに嬉しかった……
非国民と言われようがアセンシオへの熱量がそれを圧倒的に上回っていた。


21-22シーズン

このシーズンはレアル・マドリードがサッカー史に残り続けるであろう伝説を残したシーズンなのは記憶に新しい事と思う。このシーズンではヴィニシウスの覚醒、そしてジダンからカルロへの監督交代などアセンシオの起用へ直接的に関わる出来事が多かったと思う。その中でもカルロはアセンシオにしっかりと信頼を寄せてくれていたと個人的には思う。このシーズンはゴラッソも多くいくつかセンセーショナルなゴールもあるのだが、とりあえずその中の一つとしてマジョルカ戦でのハットトリックを挙げたい。この試合はまあ爆発していた。1点目はロドリゴのクロスが弾かれたところを押し込んで得点、2点目はベンゼマとのコンビネーションで見事な抜け出しを見せ、あえてバウンドさせる技アリゴール、3点目はお得意のPA外からのミドルシュートと完璧なハットトリックだった。在籍6年目にして初のハットトリックには感動した。次にリーガ23節、グラナダ戦のゴールを挙げたい。この試合はアセンシオが最優秀選手に選ばれた試合でもあり、アセンシオがチームを救った試合でもある。後半74分まで攻めきれなかったチームは手詰まり状態になりかけていたがボール奪取後にすぐさま自分の左側にボールを持って行き鮮やかにゴールを沈めた。あのゴールは興奮もしたが、何より美しかった。トラップからシュートまでの流れるような動きが本当に素晴らしく個人的には2.3位を争うくらい好きなゴールだった。アセンシオの一点が明確にチームの勝利につながったということが嬉しかったのを今でも覚えている。このシーズンはアセンシオのキャリアハイとなる12得点を決めたシーズンとなっておりその活躍の裏にはフェデバルベルデの存在が大きかったと思う。これは次の22-23シーズンにバルベルデがコンディションをさらに上げてきたことにより、表面化してくることになる。
何はともあれ相変わらずの批判はありつつもキャリアハイを更新できたというポジティブなポイントもあったため悪くはないシーズンだった。
ただ、CLなどのビッグマッチにおいて全くの存在感を示せず、信頼を勝ち取りきれなかったということもあったと考えると残念なシーンも多かったと感じる。


22-23シーズン


さあ、アセンシオのラストシーズンとなってしまった今季だったが最初に言っておくとアセンシオはなかなか良いシーズンだったのではないかと思う。今季もキャリアハイの得点記録を残し、リーガでは9ゴール6アシスト、CLにおいては3ゴール1アシストを記録した。このシーズンの彼の特徴としてスタメンでの活躍ではなくスーパーサブとしての活躍が大きかったということだろう。途中出場でチームを救うことも終わらせることもできる役割。また、彼の場合、前方にスペースがあると活きる選手なので後半オープンな展開になった時にカウンターを刺したり、寄せが甘くなったところをミドルシュートを狙ったりなど彼の得意な分野で存分に戦えたからこそ今季の成績があると感じる。ただその役割で彼は満足はしなかったのだろう。すぐに退団を決断しなかったことを考えるとやはり彼もレアルマドリードでの生活を続けたかっただろうし、7年過ごしたクラブを離れるというのは簡単な決断ではなかったと思う。契約更新の権利は彼が好パフォーマンスを披露し勝ち取った権利であるし、彼がどんな決断を下そうともそれを尊重したい。彼の今までの貢献に感謝してレアルマドリードから次のキャリアへと進む彼を送り出したい。


アセンシオ退団について


ここまで彼のレアル・マドリードでのキャリアについてワンシーズンごとに大まかだが自分の思うことを綴らせていただいた。僕はラ・デシマからマドリディスタになったが、それまで贔屓の選手はいなかった。チームが1番であり、選手の誰かに強烈に好意を持つことはなかった。贔屓の選手がいなくてもマドリディスタとして楽しかったし、あの頃の方が純粋に試合を楽しんでいたかもしれない。アセンシオが入団してからはかなり見方が変わったと思う。アセンシオが得点した時は自分のことのように喜んだし、アセンシオが批判を受けてる時は本当にしんどかった。。。
個サポの僕が今はっきりと言うが、個サポはキモいと思う。1人のサッカー選手に対して異常な程の愛情を注いでるし、死ぬほど写真を保存している。側から見たら結構キモいだろう。だが、それが楽しくてたまらない。選手の活躍が嬉しくてたまらない。自分が本気で応援できる選手がいると言うのは素晴らしいことだと思う。個サポはとても楽しいのだ。
だからこそ退団については僕は肯定派だった。正直言って、これ以上アセンシオがボロクソに言われるのは見たくなかったし、好きな選手が強い批判にさらされているという状況は本当に心に刺さる。
だから僕はレアル・マドリードを出て行って新しい挑戦をしてほしいとも思っていた。特に彼は使い所によって評価が大きく変わる選手だと思うので彼が活き活きとサッカーができるチームに行ってほしいと考えていた。なので別にレアルマドリードを出て行ってもそんなにダメージはないと考えていたのだが。
実際退団報道が出てみたらどうだろう。
すっっっっっっっっっっっっげえ辛かった。
7年間常に彼を見続けていた、常に自分の好きチームで見続けていた。好きなチームから好きな選手が出ていくのがこんなにも辛いものだとは思いもしていなかった。退団確定したその日はずっと俯いていた気がする。まじで。
だが、嬉しいこともあった。それはマドリディスタからの愛のあるメッセージで溢れていたことだ。散々批判されていようともやはりアセンシオはマドリディスタから愛されていたということを確認できたことがとても嬉しかった。
キャリアハイの記録でおそらくキャリアで最もコンディションが良い状態で次のステップへと送り出すことができる。おそらく多くのマドリディスタがアセンシオの次のステージを素直に応援できるのではないだろうか。
アセンシオ、本当に今までありがとう。


あとがき

かなりの長文になってしまいましたがここまで読んでくださった方々本当にありがとうございます。
アセンシオについては正直まだまだ語りたいです。彼が入団会見で泣いていた姿をいまだにハッキリと覚えていて、今だにアセンシオがこのクラブを去るという実感が湧きません。
今現在(2023/6/8)、彼の行き先として有力なのはPSGと言われていますね。どこに行こうと応援するのは変わりないんですが、PSGは個人的にはやめてほしいかなって思います。PSGははっきり言ってスター選手が多く確実にスタメンが保証されるようなチームじゃないし、今までサブ要員としてプレーしてきたアセンシオには圧倒的なエースとして扱ってくれるようなチームに移籍してほしいかなと個人的には思っています。まぁどこに行こうとユニフォームは買い続けるし、死ぬほど応援するんですが。ただ、やはり活躍してほしいですね。どこのポジション問わずアセンシオが爆発してる姿を見たいです。あと、よく言われるのですがアセンシオが移籍しても別に僕はマドリディスタに変わりないし、マドリーは僕の心のクラブなことに変わりはないです。
ただ、アセンシオがいないマドリーは少し寂しいし、あのゴラッソをもうマドリーで見れないというのはかなりしんどいですね。
さっきも言ったようにアセンシオがマドリディスタに愛されていたということを再確認できたし、たとえ彼がどこのクラブに(バルサはちょっと別かも)行こうとも彼のキャリアを応援してあげてほしいです。
長くなりましたが以上が僕のアセンシオに対する思い、一方的な愛を語らせていただきました。
アセンシオのこれからのキャリアの成功を僕は願い続けています。

Vamos!!! Marco Asensio!!!!!

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