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議員と特別職のボーナス引き下げに賛成、市職員の引き下げに反対。その理由は。

 前回のNoteで議案質疑の要旨について報告させていただきました。紹介した議案のうち、152号(議員)・153号(市長・副市長等の特別職)・154号(さいたま市職員)それぞれの期末手当の引き下げ議案が先駆けて11月28日に本会議にて採決されました。
 党市議団の採決態度は152号・153号に賛成、154号反対。今回は154号を反対した主な理由を3点報告します。

期末手当引き下げ○×

(議案内容)
 154号議案は、人事委員会勧告に基づいて、さいたま市職員の期末手当の年間支給月数を0.15月分引き下げ、再任用職員・特定任期付職員の期末手当の年間支給月数を0.10月分引き下げる。(影響総額は約5億6000万円)

理由①安易な賃金引き下げは民間の賃下げにつながる

 市職員の給与は議員・特別職の報酬とは異なり、労働の対価として支払われる賃金で、生活を営むために必要な生活給です。
 日本の経済状況は先進国の中で唯一所得が減少しており、消費税増税や物価の上昇により経済負担が増加しています。加えてコロナ不況で悪化している日本経済の景気回復を図るためには、すべての労働者の賃上げを実施し内需を拡大していく必要性があります。
 岸田首相も民間企業などの賃上げを支援する方針を掲げている中、社会的影響力を持つ公務員賃金の引き下げは民間給与にも影響し、「賃下げスパイラル」をいっそう強める危険性があります。


理由②国の方針にも逆行、市内経済への影響も

 11月12日に開催された第2回給与関係閣僚会議において、国家公務員制度担当大臣は、「国家公務員のボーナス引下げはコロナから回復途上にある我が国経済にマイナスの影響を与える」とし、「人事院勧告の実施に当たっては、本年度の引き下げ相当分を、来年6月の期末手当から減額することで調整する」と発言しています。
 その上で政府においても、本来人事院勧告に沿って国家公務員賃金の引き上げ・引き下げの措置を取るのが通例であるところを、「消費の再拡大が期待される中、期末手当引き下げがその勢いをそぐことになりかねない」と引き下げの実施を延期し、今回の期末手当には反映させず、22年夏のボーナスで事後的に差額分を差し引くという異例の措置を講じました。

 総務省は24日、全国の自治体に対し、地方公務員についても国と同様の対応を基本とするよう求める通知を出しています。
こうした経過があるにも関わらず、さいたま市は来年の6月の期末手当からの減額を実施せず、本年12月の期末手当の削減を求めることは、国が懸念しているコロナから回復途上にある日本経済にマイナス影響を与えるトリガーになる可能性は否定できず、もっとも影響を受けるのはさいたま市内の経済です。

理由③格差是正に逆行し、市民サービス悪化も懸念

 本議案は、一般職員の期末手当削減と連動して格差是正が求められている再任用職員や特定任期付職員の期末手当まで引き下げるものであり、この点も認められません。
 さらに、長期にわたる新型コロナウイルスの感染まん延の中、市民のいのちと安全を守るため昼夜を分かたず奮闘した職員の実態を顧みず、冷や水を浴びせるような今回の措置は職員のモチベーション低下にもつながり、提供される市民サービスの悪化も懸念されます。

以上3点の理由から議案154号には党市議団は反対しました。


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