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グリーンヒルうらわの廃止条例が可決住民の終の住処を奪う議案審議は異様な光景に

 さいたま市は6月議会で、市が公設民営方式で運営する高齢者福祉施設のうち、デイサービスセンター4カ所と、介護老人保健施設などの複合施設「グリーンヒルうらわ」を来年3月に廃止する議案を提出しました。
 市の説明によると廃止方針は昨年11月に市内部で決め、その理由は介護保険事業への民間参入が進んだことや、老朽化したグリーンヒルうらわの本格的な修繕に巨額の費用が必要のためとしています。6月議会で、この議案について質疑しました。

○竹腰連 グリーンヒルうらわの廃止に関わる議案だが、利用者にとっては終の住みかを奪われる大変重大な議案だ。廃止を発表してからの説明会や懇談をしたとの答弁があったが、それ以前に説明や打診をしたか確認したい。

○福祉局長 利用者への説明は、令和6年2月16日の保健福祉委員会での施設廃止方針の報告後、同日及び翌日にグリーンヒルうらわ職員への説明会を行った。事前の説明については行っていない。

○竹腰連 多くの利用者や従業員などの関係者がいる中で、事前に説明しなかったことが明らかになった。(廃止の)検討自体は平成29年の中規模修繕の時点からあったそうだが、少なくともニーズ調査等は必要だったのでは、なぜできなかったのか。

福祉局長 方向性がまだ定まっていない状況で、利用者に伝えると、逆に長い期間利用者に不安を与えると考え、今回方針が決定した後に、速やかに説明した。

○竹腰連 不安を煽るので、事前説明をしなかったとのことだが、意向や考え方などの調査もしなかったのか。例えばアンケートなどで利用者が今どう考えているのか、そういった何の調査もせずに急に決めたのかどうか確認したい。

○福祉局長 アンケート等も行なっていない。


 こうした市の一方的な廃止方針に利用者は存続を求める署名活動や議員への直接交渉を行い、施設職員は団体交渉のための労働組合を結成して、抗議してきました。
 この動きを受けて、与党系議員からも「さすがに、このまま廃止はマズい」と議案に対し「利用者への精神面や費用面で寄り添った措置と職員への再就職支援」を盛り込む付帯決議を提案してきました。
 そして、6月21日の保健福祉委員会で議案の採決が行われ、立民・自民・公明・維新・無所属みらいが廃止に賛成し、反対は共産のみで議案は可決されてしまいました。
 しかし、採決や討論では各会派がグリーンヒルうらわの歴史やその役割に触れながら、結果的に廃止に賛成するなど主張と結論が乖離する討論が多数、見受けられました。さらに衝撃だったのは、採決時に賛成した議員が涙を流していたことです。
 「心は反対だけど、議案には賛成」として、議案を共産党以外が賛成して通していく様は異様そのものでした。
ここ何年かはそうした行動をする議員が増えてきたと感じます。沼影市民プールの廃止撤回や与野中央公園のアリーナに関連する請願、ガザへの戦争行為をやめるよう求める意見書の提出など、およそ賛成の意見を討論で話しながら、採決時は反対し、否決していく。あまりに異様な光景です。
 こうした態度をとる理由を聞くと「市長との関係があるから…」「中身は賛成できるけど、紹介議員が野党だから」などと話します。
 一体、誰を守り、誰のために仕事をしているのでしょうか。私たち60人の市議会議員は市長や市執行部を守るために仕事している訳ではありません。行政をチェックし、選んでくれた市民の利益のために働いているのです。
 今、清水市長は次々と市民サービスを解体し、都市開発への投資予算を増やしています。そこで涙する市民を踏み倒しながら…
 この市長を支えているのが与党系会派と呼ばれる共産党以外の会派の議員たちです。地方議会は「オール与党が当たり前」そんな認識も広まっておらずもどかしい気持ちになることもあります。国政ベースの政党関係で地方議会を見るとそのギャップに驚かれる市民の方も増えています。今回、採決されたグリーンヒルうらわの議案がそれをまさに象徴していると感じます。

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