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発足、日曜お出かけクラブ!

シェアハウスで暮らす壮さんは、ヘルパー事業所ULTRAのサービスを使って、毎週日曜日に遠出を楽しんでいる。

野外ライブに参戦したり、海岸に行って展望台に登ったり、エアーパークや浜名湖周辺といった観光スポットを歩き回ったり……ヘルパーが変われば行先も変わる。そこに「お客さん」が加わると、流れる時間や関係性も揺れ動く。日曜のお出かけは、人を巻き込めば巻き込むほど、誰にとっても豊かなものになっていくのだ!

ということで、同行者を募るべく名付けられました「日曜お出かけクラブ」。モニターとして同行した、スタッフ塚本のレポートをお届けします。


他県から移住してきて2年目のわたしにとって、浜松はまだまだ未開拓の土地である。行きたいところも見たいものもたくさんある。しかし、遠州エリアは本当に車社会なので、車を持たない人間が自力で遠出するには気力がいる。(かくいうわたしも運転ができない)。壮さんとの外出は、まず、その最初のステップを乗り越えるのに便利だ。

それに、壮さんと一緒に行く、という約束がある。つい家でゴロゴロしたくなってしまう日曜日でも、約束をしているのでちゃんと動き出すことができる。これも、わたしのような出不精な人間には有難いポイントである。

日曜日は快晴だった。お昼過ぎ、たけし文化センターでヘルパーの鮫島さん、宮本さんと合流し、車で壮さんの実家へお迎えに行く。着くと、彼は庭遊びにいそしんでいた。壮さんの実家の庭は広く、縁側の下にもぐったり、泥だらけになって石をいじったりと、壮さんお気に入りのスポットとなっている。

ちょうどこの日はエアフェスタで、ブルーインパルスの飛行テストをやっていた。雲一つない空に青い機体が舞うのが、壮さんの家からよく見えた。華やかな空を鑑賞しながら、壮さんの気持ちが変わるのを待つ。何だかとっても得した気分。

ヘルパー2人の声掛けで、遂に車に乗り込む壮さん。今日は森林公園でイベントをやっているというので、それを目指して出発!車内ではスピーカーから流れるBGMと共に、壮さんがお茶碗に石を入れてカチャカチャさせる音がずっと響いていた。

今日のイベントは、森林公園の敷地内に点在している施設を拠点に、ワークショップだったりマルシェ的な出店ブースが出現しているということだった。が、出発がゆっくりだったので、メイン会場のバードピアに到着すると、すでに撤収ムードが漂っていた。雰囲気だけでも見ておきたい……とわたしが目を離しているスキに、壮さんとヘルパーさんたちは別な方向へどんどん歩いて行ってしまった。動き続ける壮さんを見失うのは簡単である。まあいいや。わたしはあくまでお客さんなので、そのまま気楽に会場を見て回った。が、ほどなくして、本格的に撤収が始まってしまった。もう見るものも無さそうなので、公園の散策がてら、壮さんを探すことにした。

森林公園は、広い。まずは、耳を澄ましてみる。壮さんのお茶碗と石がカチャカチャいう音が聞こえたら、そこに彼がいるのだ。「ピーチチチチ…ケラケラケラ…」聞えてきたのは、様々な鳥の鳴き声。なるほど、ここはバードピアであった。

それから、何人か壮さんの知り合いに遭遇する。「壮くん、木工館のほうにいたらしいよ」と、有力な目撃情報を入手。お礼を述べて、木工館へ。

道中の森の中でアスレチックを発見。ちょっと遊んでしまう。当然、目的地に着いた頃には、壮さんたちはいなかった。急いでいるわけでもないし、車の前で待っていればいずれ合流できるだろうと、駐車場に戻ってみることにする。せっかくなので、往路とは違うルートを歩く。

ドングリや松ぼっくり、落ち葉、土の匂い、秋の花、蜘蛛の巣、鳥の声……。秋を感じながら歩いていると、さっき情報をくれた御仁が、木漏れ日の中でボーっと佇んでいるのを見つけた。向こうも気がついて手を振ってくれる。「壮くん、会えた―?」「いないんですよー、そちらは?」「いやあ、僕もまだ会えてないんだよー」なんだか、壮くん探しのスタンプラリーをやってるみたいだね、と彼は笑った。なるほど、森林公園に生息するという幻の存在、クボタタケシ。遭遇出来たら超ラッキー。

穏やかな時間は唐突に終わる。駐車場へ近づくと、石の音が聞えたのである。はい、正解!!早足で音のするほうへ向かう。いた!彼は、ヘルパー鮫島さんの手を引いて、知らない人の車にずんずん近づいていくところだった。鮫島さんは叫ぶ。「タケさん、もう帰りたいのは分かるけど、それじゃないだよ!俺らの車はあっちだよォ!!」なんと壮さん、勘違いをして知らん人の車に乗り込もうとしている。初めて行った道を一発で覚えたり、来たことない場所でもスーパーを探知できる、あの壮さんが!わたしがびっくりしていると、「けっこうよくあることなんだよぉ~」と困り笑いの鮫島さん。壮さんがもう全然その場から離れないので、わたしはトイレに行っていたヘルパー宮本さんと合流。事情を説明して、正しい「俺らの車」を運転してもらい、壮さんを迎えに行った。

現場に到着すると、壮さんと鮫島さんが一生懸命、組み合っていた。何としても乗るんだ!!と知らんひとの車に手をかけようとする壮さん。「ちがう!違うんだ、たけしィ!!」と己の身を犠牲にガードする鮫島さん。しかし、本当の「俺らの車」が現れたのを見ると、壮さんは「あっ……」という表情で動きを止めた。そして何事もなかったかのように、しずしずと車に乗り込み、車内に落ち着いて「なにか?」みたいな顔で石をカチャカチャ。さっきまでの激しさが嘘のようだ。対して、ボロボロの鮫島さん。「だから言ったじゃないのぉ~……」とボヤいている。かくして我々は、森林公園を後にした。1時間弱の滞在だった。

このあとも、公園をハシゴしたり、たまたま出くわしたテニス大会の閉会式に乱入しかけたり、なんやかんやして17時にはシェアハウスに到着し、外出は終了。壮さんは今夜からまた一週間、シェアハウスでの日々を過ごすのだった。

わたしはすでにレッツスタッフなので、それなりに浜松やら壮さんやらヘルパーさんたちのことを知っているつもりだったけど、それでもこんなにたくさんの発見があるのだから、全然知らないひとが同行したときの、お互いへの刺激は格別だろうなと思う。日曜おでかけクラブの門は、いつでも、誰にでも開かれている。少しでも興味を持ってくれたなら、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。心からお待ちしています。

《お問い合わせ》
認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ
ヘルパー事業所アルス・ノヴァULTRA
〒430-0939 浜松市中区連尺町314-30 たけし文化センター連尺町
TEL|080-6993-4214/053-451-1355 FAX|053-451-1356
MAIL|arsnova@mbr.nifty.com
HP|http://cslets.net

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