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おめでとう。そしてさようなら僕とエヴァの25年。そしてこれから…《シン・エヴァンゲリオン劇場版:||の感想》

3月8日(月)ついにシン・エヴァンゲリオン劇場版:||初日をむかえた。映画の、しかも僕にとって重要な作品の初日が月曜というのは月曜定休の僕にとって奇跡だし、エンタメ業界において月曜日に話題作の初日というのはおそらく二度とない。

加えてゲンロンカフェで真昼間からこのようなイベントが開催されるということもあり。

※このイベントはエヴァ好きの哲学者、批評家、漫画家が初日初回を鑑賞後、ネタバレMAXハイテンションに語り尽くす番組。日本屈指の頭脳が、ただのファンとして9時間にわたって話しまくるカオスなイベントです!

元々、落ち着いた時期に観に行くのでも良いかなと思っていたんだけど、月曜日が初日という奇跡を逃すわけにはいかない。発売日、水曜深夜、映画館のサーバーが落ちまくる中度重なるリロードの末なんとかユナイテッド・シネマとしまえん17:00の回を確保した。初日初回で観るのも良いと思ったのだが、妻も同行したいというのでスケジュールを合わせた。

結論から言えば、僕の人生史上最高の映画作品だった。ネタバレを含む感想は後にするとして、映画として、アニメーションとして、ビジネスとして、そしてエヴァンゲリオンとして、パーフェクトに誠実に作られた作品だった。

そもそも新劇場版シリーズが始まった当初から、(というより旧劇場版もそうだったのだが)僕の見方は「庵野秀明が広げた風呂敷をどのように畳むのか」だった。

新劇場版が始まったのは2007年。僕は旧劇場版「THE END OF EVANGELION」(以下 EOE)で終わったはずのエヴァンゲリオンを2000年代に復活させる意味について苦慮した。一度全てを包んだ風呂敷を新たに開陳するという事はどういう事なのか、と。90年代に比べて映像技術は向上しているが、ただ美しくリメイクされるだけの為に、アスカの「気持ち悪い」で終わったエヴァを再起動させるとは思えない。いや思いたくない。そう思って観た「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序」は単なる綺麗な絵によるリメイクでしかなく、僕はそれなりに失望していた。(もちろん今思えば「序」には意味があったと思えるが)「庵野秀明全肯定」を公言する僕としてはそんな事は口が裂けても言えなかった訳で。

続く「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破」(2009年)で旧作とは違う方向に進む。碇シンジが能動的に綾波レイを救済する。このシーンはアニメの歴史に必ず刻まれる名シーンと言い切れるものだ。破は名作だったが続く「ヱヴァンゲリヲン新劇場版Q」(2012年)では時間は14年後に進み、世界観が変わる。理不尽にも程がある展開に困惑した。シンジは大人の思惑を全て台無しにした後、アスカに引きずられ、レイを加えた三人のエヴァパイロットが砂漠を歩き出すシーンで終わった。

あのラストから9年。庵野秀明は何故エヴァの封印を解いたのか。そしてそれをどのように包み直すのかをいち早く見るために僕は初日の劇場に足を運んだのだ。

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