無。あるいは有。未来は。


無職である。

字の通り「職」が「無い」と言うことである。

共に大厄災を乗り切った支那そば屋は首を切られた。
理由はネットに書かれた態度の悪い店員とは貴様のことだ、これ以上貴様を働かせるわけにはいかん。
との事だった。

4月一杯まで入っていたシフトは急に途絶え、5月からずっと無職である。

えー、うそー。クビー?令和だよ〜。マジで〜。


しかしこうなったら仕方ない。改めて生きる術を考えなければならないのである。

とりあえず預金と財布にある残金を見ると泥しか無かった。
マイナスからのスタートである。

幸い、自分は服を沢山持っていた。
無職になった春に買った冬用の服は、冬まで生きるための約束ではなくその日を暮すための金に変わった。

早く次の勤め先を探さなければならない。
しかしどうだろうか。
昼過ぎに起きて、布団から這いずって座椅子に座り自身を慰めると生きているだけで素晴らしいでは無いかとの落ち着き。

そうして目の前のパソコンを開くと知らない世界が沢山ある。
鼠を何度も押しては離してを繰り返すと止まらなくなり夜になり、そしてまた昼過ぎまで眠るのだ。


そうやって多分恐らく絶対きっと無為に過ごして12月は半ばになりクリスマスの飾り付けを見るようになった。


嗚呼。俺はきっとこの時間をいつか後悔するだろう。

否、これがあったからと思える未来が待っているのだろうか。

そういうことを考えて昼が過ぎ、布団から這いずり出し座椅子に座りまた自分を慰め見たかったアニメやドラマや映画を見る。
大した人生である。今何か奇病に罹ったらどうにもならない。
もしかしたら自分自身が奇病なのかもしれないと督促状を床に散りばめ思う。

運動もせず米はあるからそれを炊き食いブクブク太っている。肥えた。情けない体たらくである。
そりゃ太る。痩せるつもりがないのだから。それもいつか痩せる。実績があるのだと言い聞かせてまた屁をこき、あら、空気清浄機が作動してら。はは。

腹減ったと冷蔵庫開けたら知らん豚肉が茶色くなって鎮座していやがった。捨てろと言わんばかりだったから鍋にぶち込んで乾麺と一緒に茹でて食ってやったらやはり正露丸の世話になったじゃねぇか馬鹿野郎。
おい、馬鹿野郎はお前じゃねぇか。

昔言われた「大切に生きるということは後回しにしないこと」ってのはその通りだといつも思ってんだぜ、って電気消して寝転がって思ってるってアレ?電気消したっけ。そういや乾麺も茹でたはずなのに硬いまんまでスープは水であった。
湯は出ず水で髪を洗い12月の温暖化に有り難みを感じたら今日の予定も何も無い、人に会う予定もない。ならば自由とは正に俺。髪が伸びた。無理して声を出しむせて咳が出て嗚呼、もう夜じゃねぇか。
さて、今日は何を、俺、何を、さて、今日を。


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