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化石燃料の終わり(The Economist 2020年9月17日版)

The Economist 2020年9月17日版から、「Is it the end of the oil age?」の記事を取り上げてみたい。内容は「化石燃料の終わりと新しいエネルギーへの転換、それに伴う地政学的なリスク」についてだ。

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脱炭素、温室効果ガス、地球温暖化などの言葉を聞かない日はないくらい「気候変動」に世界は取り組んでいる。

化石燃料は、20世紀の我々の日常生活を支え、戦争に使用され、そして政治的にも利用されてきた。

現在、この化石燃料から、再生可能エネルギーへの転換期である。この転換期において、我々が考えなければならないことはたくさんある。

もちろんクリーンなエネルギーへの転換であるため、「気候変動」へのポジティブなインパクトは大きい。

しかし、忘れてはいけないことはリスクである。再生可能エネルギーに関する一連の開発をリードするのは中国である。しかも、このまま開発が進めば再生可能エネルギーに関連する器具やリチウムイオンバッテリーなどは独占状態に近くなる。エネルギーをリードすることは、世界にモノを言う力も持つに等しくなるだろう。

そしてもう一つのリスクは、今まで化石燃料の産出国としてリードしてきた中東諸国だ。国として大きな財源を失うことは、外交だけではなく、国内の情勢不安も引き起こす可能性も高い。

さて、日本はどうだろうか。今までは、資源に乏しい国として、燃料についてはある意味あきらめて、「資源に乏しいから、他で頑張る」というような論調があった。しかし、再生可能エネルギーは別問題だろう。確かに、脱炭素の取り組みをしているメーカーも増えてきている。しかし、これからの新しいエネルギー市場で戦うだけの力はなさそうだ。

重要英単語

・mire in~(~に陥る)
・buffet(~を激しく揺さぶる)
・bold(大胆な)
・clout(勢力)

記事の簡単な要約

20世紀に活躍した化石燃料は、終わりをむかえた。化石燃料はコロナウイルスのパンデミックによって、石油の需要は1/5に、価格も大きく下落した。

EU各国やアメリカのバイデン大統領候補は、大きく予算を取って気候変動に取り組む姿勢だ。

21世紀に新しいエネルギーは、環境に優しくクリーンであるし良い面はたくさんある。しかし、大きなリスクも潜んでいる。そしてこのリスクは、対応が遅れれば遅れるほど、取り返しのつかない事態になりそうなのだ。

まず新しいエネルギーの良い面、脱炭素エネルギーは、壊滅的な干ばつ、飢饉、洪水などの気候変動の混乱を回避できる可能性がある。また、石油産出国がある国や地域に限定されていたのと異なり、どの国にもある種平等にチャンスができるため、しっかりと成熟すると、政治的にも安定するはずだ。

しかし、現時点で考えられるリスクも大きい。大きな2つのリスクを考えたい。

1つ目は、中国の台頭だ。現時点において、中国企業は世界のソーラーモジュールの72%、リチウムイオンバッテリーの69%、風力タービンの45%を生産している。さらに、習近平はこれらに力を入れることも想定すると、寡占状態になる可能性がある。20世紀、石油産出の国や地域が限定されていたことで、地政学的にも大きなリスクがあったが、中国が新しいエネルギーに関して独占に近い状態になることは、大きなリスクを潜ませる。

2つ目は、石油の産出が国の産業であった中東諸国だ。昨年、サウジ・アラムコが上場して、時価総額で世界一位になった。サウジアラビアは、このサウジ・アラムコに国の歳入を依存しているが、このサウジアラビアの歳入は現時点で約50%も減少している。

我々は新しいエネルギーへの転換を迫られているが、そこには大きなリスクがあることを忘れてはいけない。ただ、ゆっくりもしていられない。ゆっくりしすぎると、中国の台頭や中東諸国の情勢不安がやってくる。

自身の見解

新しいエネルギーへの転換は、これからの世界の覇権争いに極めて重要な意味を持つ。

中国、中東諸国の現状を理解することや、アメリカ大統領選挙の行方、そして日本がどのようにここに食い込むのかがポイントだ。

おわりに

日本企業はクリーンなエネルギーを意識した経営に力を入れてきている。僕の前職であるリコーはその象徴であったし、「環境経営」という言葉をいち早く取り入れてきた先見性があった。

確かに、工場で二酸化炭素排出をゼロにすることは素晴らしいが、再生可能エネルギーに力を入れる攻めの投資も必要だ。

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