見出し画像

パンデミックの権力奪取(The Economist 2020年4月25日版)

The Economist 2020年4月25日版から、「A pandemic of power grabs」の記事を取り上げてみたいです。

画像1

テーマとしては、「全世界で猛威を振るっているコロナウイルス(Covid-19)の影響下での権力奪取(独裁主義の進行)」について。生命の維持が最も大切であることは間違いないと思うが、経済活動や政治問題に目を向けることも大切。

今回の記事を読んで、パンデミック下で起こっている「独裁主義の進行」についてがどこでどのように起こっているのか、またそれはどのような影響があるのかを学んだ。

基本概念の整理

■autocrat(独裁者)

・政治的権力の全てを握り、自身の判断で物事を決断して行使する者。

■dictatorship(独裁主義)

・政治において、特定の1人や少数の者に権力が集中し、そこでの意思決定で国家を支配する思想。

■香港

・1997年に主権がイギリスから中華人民共和国へ返還。

・「一国二制度(one nation two systems)」とは、香港では2047年までは社会主義政策をしないという約束。※「これが守られていないのでは?」というのが、本日の記事に大きく関連。

・第22条とは、中国政府機関が香港の内政に干渉することを禁じること。

記事の簡単な要約

コロナウイルスのパンデミックによって、独裁者(または独裁者になろうとしている者)は、機会を得ていると言える。

理由はいくつかあるが、政府が「感染防止のため大規模な集まりを禁止できる(集会の禁止)」「(フェイク)ニュースを制限できる(言論の自由の制限)」「実態を隠しやすい(ジャーナリストなども調べられない)」が考えられる。

世界で起きている事例で特徴的だった、中国・ハンガリー・インドを取り上げてみたい。特に「民主主義のルーツが浅く、制度上のチェックが難しい国は、さらに独裁主義が強まる」とエディターは述べている。

■中国

2019年は香港デモが勃発したことは記憶に新しいが、最近民主派メディアの創立者が逮捕された。「これは第22条の違反ではないか」という声があがったが、4月17日中国の主要な代表機関は「第22条に拘束されない」というコメントをした。これは、本来自由で民主主義的であった(少なくとも2047年までは)香港の自由を削減するキャンペーンを強化することを計画しているということがわかる。

■ハンガリー

ヴィクトル・オルバン首相はコロナウイルスの影響下で、独裁主義的な動きを見せていることはニュースでも出てきている。大きな論点としては、ハンガリーはEU加盟国であり、EU加盟国には「民主的な体制をもつ政府」という条件がある。Brexitもあり揺れ動くEU。これからさらにどのような動きがあるのかは注目したい。

■インド

ナレンドラ・モディの宗教政策については、The Economistでも2019年に記事になり取り上げられた。内容としては、ヒンドゥー教至上主義を掲げており、少数派のイスラム教を排除しようとしている。この排除運動が、パンデミック下でさらに進んでいるようだ。

以上、3つの国の事例を見たが、確かに感染を止めるためにある程度のプライバシーに食い込むことは必要かもしれない。具体的には、感染者の特定・追跡・隔離などがある。確かに台湾ではテクノロジーを駆使して上手くいっている事例もある。

自身の見解

独裁主義が必ずしもすべてが悪いとは言い切れないと感じる。

民主主義は、民意が高くないと崩壊することは間違いない。そのためには、有権者の教育はもちろんのこと、様々な整備が必要だ。

ただ、コロナウイルスのパンデミックを利用して、自身の権力を拡大して乱用する(=abuse)ことは賛成できない。

まとめ

日本は今、民主主義が試されているように思う。

「コロナウイルスの封じ込め」という観点だけに着目すると、独裁主義のスピード観には勝てないから不利な点もある。民主主義は、コストもかかる・スピードも遅い・中途半端な策になるといったことまで想定される。

ただ、この状況下で「コロナウイルスを封じ込める」のは政府ではなく我々国民であるという意識を持ちたいと思う。


よろしければサポートお願いします! サポートいただいた金額は、noteの記事やマガジンに使用いたします!