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プライバシー保護AI が切り開く未来

株式会社Acompany CTO の近藤です。普段は、秘密計算技術を中心に、リサーチやプロダクト開発、案件での実装を行ったりしています。特に、Acompany ではMulti-party Computation(MPC)と呼ばれる暗号化したまま計算できる仕組みに重点的に取り組んでいます。技術的に詳しいことは下記のブログにまとまっていますので、そちらを参照していただければと思います。

今回は秘密計算を用いたプライバシー保護AI が切り開く未来と、Acompany のミッションについて書いていきます。また、弊社代表の高橋が書いた記事も合わせて読んでいただけると嬉しいです。

AI とプライバシーのジレンマ

AI というバズワードが広まってから早くも10年近くが経ちました。この間に、適用先がどのようなものか理解され、適切適量なデータセットが必要になるということも発見されました。しかし同時に、データには個人のプライバシー保護義務が付随することが多く、取り扱いの難しさにも直面しました。これが、今日にも続いているAI とプライバシーのジレンマです。

「データは使いたいけど、外に出したくない。」
「データは漏洩リスクがあるので、廃棄します。」
「データを出しても良いけど、漏洩したら責任とってね。」

私たちが関わってきた企業の方へのヒアリングで、何度このフレーズを聞いたことでしょう。これは、AI にデータを食べさせようとしている力と、個人のプライバシーを保護しようとする力の向きが逆方向であることが原因となっています。困ったことに、未だ効果的な解決策が提示できていない状況にあります。

プライバシー保護AI が切り開く未来

今、上記の問題を解決するための方法として、プライバシー保護AI (Privacy-preserving AI)が注目を浴びています。背後には、秘密計算(Secure Computing)と呼ばれる技術が用いられており、その実現方法は様々です。Acompany では、秘密計算の一種であるMulti-party Computation(MPC)に重点的に取り組んでいます。これにより、暗号化処理されたデータに対して、復号することなく任意の計算を実行することができます。この技術を応用することによって、個人情報そのものを提供することなく、AI による分析が可能になります。つまり、秘密計算の適切な応用によって、AI とプライバシー保護のジレンマを解決することができることになります。

例えば、秘密計算技術を用いることで、社外のAI 企業に暗号化したデータを提供した際に、復号することなく分析を実行し、その結果だけを得ることができます。また、社内のデータ分析チームに、データそのものは見せないけど、統計分析の実行自体はやってもらうことも可能です。より大きな枠組みでは、複数の企業間で暗号化データセットを持ち寄って、AI による分析を実行することもできます。更に先の未来として、個人情報を一切企業に渡すことなくサービスを受けることもできるかもしれません。

ただし、秘密計算の技術応用はまだ完全に成熟した産業ではなく、日夜世界中の数学者、計算機科学者、秘密計算技術者が研究開発を続けています。私たちAcompany でも実世界への迅速な応用をするために、研究から具体的なシステムの開発に日々取り組んでいます。

データを価値に進化させる

Acompany では、「データを価値に進化させる」ことをミッションに掲げ活動しています。特に、上述した秘密計算技術を用いて、企業の抱えるAI とプライバシー保護のジレンマを解決していきたいと考えています。もし、企業内でこのような問題を抱えている場合は、ぜひ弊社に連絡していただけると幸いです。

仲間を募集しています

Acompanyでは、学生インターンや秘密計算システム開発のための仲間を募集しています。秘密計算やプライバシー保護AI に興味のある方や、自分で調べて実装することが好きな方など大歓迎です。高橋近藤のTwitter アカウントまたはHPのお問い合わせから連絡いただけると嬉しいです。中の人と気軽に話したい方や、技術的な話を聞きたい方でもOKです。また、Twitter で絡んでいただくのも大歓迎です。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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