真夜中のオンステージ(ラヴィアンソワレ後記)

先日このような動画を投稿した。

【40人で】ラヴィアンソワレ【大合唱!】

ボカロP、歌い手、イラストレーター、動画師、MIX師等を一つのチームとし楽曲を発表する「ボカデュオ」という企画にて投稿した作品だ。

企画は私、竹原ひろ。
作曲作詞はエレキモグラ氏とくまひつじちゃん氏のユニット「モールウール音楽隊」
アニメーション(イラスト兼、動画)はnova氏。

そして、参加歌い手は総勢40名である。
(本当は100人来て欲しかったが、後で書く実際の作業量を考えて結果的にこの人数になったのは正しかったと思う…本当に間に合うか否かの瀬戸際だった…)

企画立案の経緯は「バイトで疲れた脳みそで考えた結果こうなりました」と書いたが、原案となる発想は十年以上前からあった。

十年前…自分がまだ学生の時である。その当時私はニコニコ動画の歌ってみた文化、特にその中でも合唱シリーズにはまっていた。
ニコニコ動画における合唱と言えば、カービィのグルメレース、そして組曲ニコニコ動画などそれに関連したメドレー楽曲である。

(当時聞いていたものとはまた違うのだがタグ検索で上位にあったので引用する)

ただ歌うだけでなく、キャラ真似をしたりネットミームを乗せたりと正にカオスである。
当時クラシック音楽とカービィのBGMばかり聴いていた自分としてはとんでもないカルチャーショックだったことを今でも覚えている。

このカオスに憧れを持ったのが今回の企画を生み出す最初の原動力となった。

しかし、このまま突き進むとただの懐古厨の独りよがりになってしまうので作曲と作詞は信頼できる方に頼もうと考えた。そしてその白羽の矢を立てたのがモールウール音楽隊だった。


モールウールのお二人とはTwitter上で前々から交流があった。
両氏とも楽曲のクオリティは高く、くまひつじちゃん氏の骨組のしっかりしたサウンド、エレキモグラ氏の説得力のある楽曲構成には感心するばかりであった。

これは私の隠れた趣味で、あのような曲を作る人がこの様な曲を作ったらどうなるのかという妄想をよくしているのだが、今回はその妄想を活用する事にした。

お二人にお願いした際に送った楽曲のコンセプトは以下の通りである。

「2008年から2010年頃にかけてのニコニコ動画の雰囲気、具体例としては組曲ニコニコ動画の合唱のような技術的な上手さよりも祭りとしての盛り上がりを重視したもの。その精神的続編を目指したい。
以上を踏まえて、楽曲単体としては2020年代の今のオリジナリティを保ち、今のニコニコ世代の人たちの為の音楽性が欲しい。」

つまり何が言いたいのかというと、
「シン・組曲ニコニコ動画」(のようなもの)
を作りたかったという話である。

以上の経緯から生み出されたのがラヴィアンソワレである。

楽曲内容はこれから羽ばたいてゆくであろう歌い手たちに向けるに相応しい歌詞、大人数で歌うのに相応しいサウンドに仕上げて頂いた。
本当に感謝である。

そして、もう一つ絶対に忘れてはいけないのはアニメーションの存在である。

nova氏からは企画立案後にアニメーションでの参加希望でご連絡を頂いた。
当時、一枚絵or複数人絵師を募ってリレー形式にしようと漠然と思っていた自分としては願ってもない申し出であり、少しお時間を頂いた後に正式にお願いする事にした。

アニメーションの内容は自分が絵コンテの様なものを描き、幾つかの指示の下制作してもらったが結果的に私が想定していたものよりも遥かにダイナミックで見栄えの良いものを頂いた。
ニコニコちゃんの目にズームアップする所はnova氏のアイデアである。

アニメーション制作の指示で意識したことは、歌詞に沿った絵作りをするか、それとも別の意味を付与して多義的な見せ方をするかの二つだった。
最終的には楽曲の力を信じて後者の手段を取り、作品により深みを持たせることに注視した。
何故ニコニコちゃんが現れたのか、何故彼が見つめる先にあの子が居たのか、そういう事を考えながら見て頂けると嬉しい。

そして最後の関門ミックス作業だが、今回も苦戦を強いられた(というか自ら強いているのだが…)
2分ほどの楽曲と言えど40人である。単純に4分の楽曲と考えても20人分は相手にしなくてはいけない。
幸い仕事の休みはちゃんと取れていたのでその期間に全集中して取り組めたが、最後の方はボロボロになっていた。(もし本当に100人来たと考えたらゾッとする…というか自業自得である)

まぁでも短い期間に40人相手にしようと考えたのが悪いのであって、もっと長く時間を取れたら余裕を持って作業が出来たのではないかとも思う。
もし、僕のほかに100人集めたいと言う人がいるのであればその人には最低でも1ヶ月半前には全ての音源が揃った状態にしておきなさいと伝えたい。

そんな大変な作業だったが調整が苦であって、色んな人の歌を聞くこと自体は苦ではなかったし、むしろ楽しかった。
ここをそう解釈するのかと思ったり、スーパープレイを聴いて感心したり多くの発見があった。

残念ながら自分の力不足でその全てをバランスよく聞かせることは出来なかったと感じている。
最終的に楽曲全体のバランスを重要視したからだ。
なので、今はまだ未定だが今年中にこの40人を10人ずつに分けた四つのラヴィアンソワレを公開したいと考えている。
また違った魅力があると思う。乞うご期待。

最後に、この企画制作に関わって頂いた方々、そしてこの楽曲を聞いて頂いた全ての方々に感謝をいたします。
本当にありがとうございました。

竹原ひろ

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