顔をあげたら赤いプロペラ機

カフェで本を読んでいた。
穂村弘さんのエッセイ。文章を鏡に自分を見ていた。

キリのいい箇所で顔を上げた。そこには赤いプロペラ機があって、僕は大層驚いた。
紅の豚に出てくるような、プロペラ機がそこにあった。

このカフェは、何度か来たことがある。
なのに、いままで全く気づかなかった。

「人間、見たいものしか見ないものだな」的などうでもいい言葉が浮かんだ。すぐに打ち消した。
どうやら、それっぽい言葉の塵がうっすらと心に積もってるようだ。いやだいやだ。

顔をあげたら赤いプロペラ機があった。
僕は大層驚いた。

どうしてこれがこんなところにあるんだろう。
店長の趣味なのかなあ。チェーン店なのになあ。
ああ、プロペラ機に乗って、どこまでも飛んで行きたいな。

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