ATP Rotterdamに見るサーブ&ネット

はっきり言って痛快でした。ロッテルダム第1シードのメドベーデフがカナダのポスピシルにストレートで敗れました。ポスピシルは先週の250モンペリエでもSFでゴファンを破り、決勝ではモンフィスに敗れたものの準優勝。好調さをここでも発揮しています。

そのチェンジエンドの際に飲んでいたのが「メイプルシロップ」。見たときは「え?」と思いましたが、メイプルシロップに含まれる糖質は直ぐにエネルギーになるので理に適っているなと。しかも「カナダと言えばメイプルシロップ」というイメージも重なり、「新たなスポンサーか?」という程。試合後のインタビューでもすっかり「メイプルシロップマン」のイメージが先行していました(笑)本人曰く様々なエナジーゲルを試した中でも味も美味しいし(笑)、最高だね!とコメントしていました。

そんなメイプルシロップがポパイのほうれん草だ!という話ではなく(実際に試してみたいですが)、メドベーデフ戦でもみせた彼のサーブ&ボレーをミックスさせる戦術が実に見事だった事を書かずにはいられなかったのです。

ポスピシルのネットプレーの素晴らしさは2014年から2015年頃にアメリカのジャック・ソックと組んだダブルスでグランドスラムのウインブルドン、そしてマスターズのインディアンウェルズ優勝でも証明済みです。(その後このペアは解消したのですが、個人的にはもっと観たかったダブルスでした)

その後怪我によりランキングを落とし、韓国のチャレンジャーで添田豪選手と決勝戦を戦っていたという時期もありました(この時ポスピー優勝)。コーチもドイツの元選手ライナー・シュトラーとのコンビも怪我の影響なのか短いスパンに終わった様ですが、現在はそのシュトラーのコートをしていたホルドルフコーチ(Dirk Hordorff)との関係も好調の様ですね。

今回ポスピシルのプレーはデュースコートでのワイドサーブの精度の高さもとても重要でした。そしてメドベーデフのリターンの威力を上手く利用しファーストボレーでポイントを奪うことに成功していました。このパターンが布石となり、サーブ&ネット対策の為にメドベーデフはリターンをネットギリギリのコントロールを余儀無くされました。

一方のポスピシルは時にサーブ&ネットではなくベースラインをステイする事をミックスさせ、メドベーデフにネットプレーをするかも?と疑心暗鬼させ、リターンゲームで主導権を握ることができず、ポスピシルのサービスゲームは盤石なイメージでした。

ポイントはこの「疑心暗鬼に陥れる」です。

今回のポスピシルはこのイメージを植え付けながら自分のペースに引き込み、ネットプレーを多くの場面で使い、メドベーデフの得意な「ラリーからのカウンター」をするプレー頻度が極端に少なかった事もストレートで敗れた一因ではなかったかと感じました。

サーブ&ネットを使い相手のペースにさせない戦術というのは有効という可能性をとても感じた一戦でした。それには昨今の高速リターンをボレーするというスキルがなければ機能しない事は間違いありませんが。

大会トップシードを破ったポスピシルの次の相手はクライノビッチ。彼の現在のコーチはティプサレビッチ。そしてホルドルフコーチはティプサレビッチとポスピシルを同時にコーチしていた事もあります。ポスピシルを良く知るティプサレビッチ(コーチ)がクライノビッチにどんなアドバイスをするのかにも注目です。


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