便利重宝この上なし!?正しい前蹴りの理!其之壱─武道空手の前蹴りとは?

私の記事を読むのが初めての方は、先に下の記事を読んでください。

 こちらの記事は、『月刊空手道』の2015年9月号に掲載されたものです。武道空手における正しい前蹴りの原理について解説しています。

『月刊空手道』2015年9月号 表紙

 以下は当時、編集者に付けていただいたキャッチコピーの引用です。

柳川理論、再起動!
最も基本的な蹴り技。それが、前蹴りである。前蹴りを稽古しない空手流派は、ほとんど存在しない。ところが、競技組手において、前蹴りで一本をとるのは難しい。そのためか、試合で前蹴りをみる機会も少ない。では、前蹴りは組手で使えないのだろうか。否、武道空手を追求する柳川昌弘氏は、「前蹴りこそ、便利重宝この上なし!」と断言する。その言葉の真意を、愛弟子・宮路健文氏がここに解説する。

『月刊空手道』2015年9月号 P29

 もし宜しければご購入のほど、よろしくお願いいたします。

前蹴りは使えない!?

 各流会派の基本技に組み入れられている前蹴り。この技を練習したことがないという空手実践者はいないはずです。

 ところが、その稽古頻度に反比例するように、組手(とくに競技試合)において前蹴りを効果的に使う機会がほとんどいないというのが現状ではないでしょうか。試合では、上段回し蹴りに比べてポイントになりにくい、加点も少ないなどのルール的な理由もあるかもしれませんが、なんといっても相手に上手く当てられないというのが、試合で前蹴りを多用しない最大の原因ではないかと思います。

 では、なぜ上手く当てられないのでしょうか。

 前蹴りは、蹴り足の指を反らせるように上げる、いわゆる上足底と呼ばれる部分で当てなければなりません。そのため、組手で当てそこなって自身の指を怪我する可能性が高いという使用部位の問題もあると思います。

 しかし、最も大きな問題は、軸足を踏ん張り、蹴り足の膝を掻い込み、膝を伸ばすという前蹴りを出す際の工程の多さにより、相手に読まれ、かわされ、受けられやすくなるため、非常に極めがたい技として認識されていることではないでしょうか。

 しかし、それは、あくまでも一般的な競技空手での話です。柳川昌弘先生はおっしゃいます。「前蹴りは、便利重宝この上ない技である」、と。

 本稿では、一般に行われている前蹴りと武道空手における前蹴りを比較し掴正しい前蹴りの有効性を検証、解説していきます。

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