正中線を究める!其之弐─「腰の切り戻し」とは何か?

私の記事を読むのが初めての方は、先に下の記事を読んでください。

 こちらの記事は、『月刊空手道』の2015年5月号に掲載されたものです。柳川先生の武道空手を習得する上で欠かすことのできない「正中線」を理解・体得するため稽古・鍛錬法についてまとめた記事の第2回で、其之参まで続きます。

『月刊空手道』2015年5月号 表紙

 以下は当時、編集者に付けていただいたキャッチコピーの引用です。

柳川理論、再起動!
日本傳二聖二天流柔術憲法・柳川昌弘師範が提唱し続けてきた”武道空手の理”。その要諦ともいえる正中線を究めるためには、いくつかの要素が必要となる。柳川理論を継ぐ男、愛弟子・宮路健文氏が、1回目「復元力」に続き、2回目の今回は「腰の切り戻し」に迫る!

『月刊空手道』2015年5月号 P28

 もし宜しければご購入のほど、よろしくお願いいたします。

一調子の技を可能にする

 先月号では、武道空手において必須の最重要項目でありながら、その理解、体得が困難な「正中線」について、「復元力」のある正しい姿勢からアプローチする方法をお伝えしました。

 本稿ではさらに別の視点から、「正中線」の理解、体得に繋げることをテーマにします。

 今回取り上げるのは、「腰の切り戻し」です。

 「腰の切り戻し」は、一調子の技を可能にする重要な理であり、柳川昌弘先生の武道空手を習得する上で、こちらも避けては通れないものです。

 しかし、「腰の切り戻し」もまた「正中線」と同様、習得困難であることに違いはありません。

 「腰の切り戻し」の体得を困難にしている要因は、たとえば、右の逆突きを出すときには体を左まわりに捻じっていくわけですが、姿勢が歪んだり、捻じれていたりしていると体を正しく捻ることができず、結果として本来左腰に生ずる強烈な緊張状態(ゴルフや野球などでは”壁“といわれる)を上手くつくり出せないことが挙げられます。

 ところが、このような状態は、先月号でお伝えした正しい姿勢をつくることを前提とし、さらにほんの少し他の要素を付け加えることで、比較的容易に習得ができるものでもあります。

 また、「腰の切り戻し」には「正中線」の体軸としての機能が深く関わっていますから、「腰の切り戻し」を体得することで、脳天から足先まで体を貫く、軸状の意識としての「正中線」の理解、体得の助けとなるに違いありません。

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