宮内牧場さんとグランデファームさんと
※この記事は個人の解釈に基づいて書かれています。書くまで個人の解釈ですので事実と異なることが含まれている可能性があることを予めご了承下さい。
さて、いきなりですが皆さんは『ライン論』というのはご存じでしょうか?
知ってる方には釈迦に説法になってしまうので簡単に説明しますと、牧場-馬主-厩舎の繋がり(以下ラインと言います)から、当たりを見抜くという考え方です。
基本的にはPOGで活用されることが多いと思いますが、実は一口でも活用できなくはありません。
分かりやすいところで言うと、ノーザンFは関西では友道厩舎を主力厩舎として活用していますが、実はクラブ経由だと友道厩舎にはほとんど活躍馬が入っていません。
逆に近年のノーザンー個人馬主だと賞金上位に友道厩舎の名前が続々と出てきます。
現3歳~現8歳世代のノーザンー友道の賞金上位20傑を見てみますと、なんと15位のレッドジェネシス(東サラ)を除く19頭が個人馬主という驚異の割合でした。
つまり例外はあるにせよ、基本的にノーザンー友道のクラブ馬は現状ハズレラインである、と言えると思います。
これはライン論の基本中の基本のようなものですが、ようは馬のデキどうこうではなく『人間の意図を読み取る』という解釈の方法になります。
なぜ私がこの理論を取り入れているのかというと、馬のデキを最も理解しているのは誰よりも牧場関係者だろうとい考えているからです。
特に社台グループのような巨大組織の厩舎長クラスはそれはもうエリート中のエリートなわけですからね。
少し話は逸れますが、セレクトセールというものをノーザンファームが始めた(厳密には少し違いますが事実上そうなのでそう書いてます)時、その常連として名前が挙がっていたのがキンコンカンと呼ばれた金子氏、近藤氏(アドマイヤ)、関口氏(フサイチ)でした。
この3人はなぜかノーザンファームから続々と活躍馬を落札して行ったわけですが、私はこれはノーザンからの口利きがあったと考えています。
てか彼らに本当に相馬眼なるものがあるなら、他の牧場からももっと買えばいいじゃんって話なんですよね。
関口氏はこの中では比較的社台F産との差が少ない方ですが、金子氏や近藤夫妻はノーザン>社台が非常に顕著。
気になった方はちょっと調べてみてください(調べさせるんかい)。
「いやいや、そんなんノーザンより社台の方が活躍馬多いからでしょw」って方、そうですよね。それは思いますよね。
でも、ノーザン派馬主であるこの方達がいる反面、逆に社台F派馬主もしるんです。
代表格は大城氏(ダイワ)、ラッキーフィールド(エア)、島川氏(トーセン)あたりでしょうか。
そして社台ファームはノーザンと違ってもっと露骨です。
なぜなら活躍馬のほとんどがセレクトセールを介さないからです。(千葉サラが出来てからは少し傾向変わってきてますが基本はそうです)
ダイワメジャーもダイワスカーレットも、エアグルーヴもエアシャカールもトーセンラーも全部庭先です。
これも良かったら調べてみてください(これも調べさせるんかい)。
結局話が長くなってしまったんですが、このように明らかに牧場サイドは『当たり』をある程度分かったうえでセールで売るのか、誰に売るのか、どの厩舎に入れるのかを決めていると私は考えています。
このあたりのお話はいずれ僕が書きたいと思っている『なぜインゼルは初動でコケたのか?』に大いに通ずる部分もあるので文字数を取って書かせて頂きました。
【日高系にもそれって使えるの?】
「ノーザンとか社台の話は分かったけど、今回のテーマは宮内牧場とグランデファームだよね?」という声が聞こえてきたので、そろそろ本題に入ります。
日高系の場合は社台グループとは力関係が違うので、そこまで顕著には出ませんがそれでも牧場側の意思が垣間見える部分はあったりします。
まずは今回のテーマのひとつ、京サラでホワイトフローラやラッキーハナチャンが募集されることになった宮内牧場さんです。
宮内牧場さんは近年ではダイヤモンドS2着のヒュミドールやユニコーンS勝ちのスマッシャー等を輩出している、零細というには失礼な中小規模牧場です。
日高系のラインで主に重視するのは、セールへの意識です。
これはまずリストを見てもらった方がわかりやすいですね。
ちょっと見づらかったら申し訳ありません。
獲得賞金順に降順で並べ、売却方法でザックリと色分けしました。
赤…セレクション(プレミアム)セール
青…サマーセール
オレンジ…それ以降のセール
緑…非セール
です。
このように宮内牧場さんは割と満遍なくセールを活用しているのですが、上位にいるのはほとんどがセレクション出身か庭先です。
サマー組はコンスタントに勝ち上がりは出てますが最高で中央2勝止まりとなっています。
ここから推察できることは2点あります。
①宮内牧場側は1歳時点である程度馬の能力を把握できている。
②純粋にデキが良いと思う馬をセレクションに出すか庭先で売るかしている。
ということです。
もちろん、セレクションで走らなかった馬もいるのですが、少なくとも軌道に乗ればオープンクラスまで行ってるのは全てセレクションと庭先であるという事実は重く受け止めたいところです。
さて、当のホワイトフローラとラッキーハナチャンはサマー組。
ただ、募集価格を考えれば中央2勝クラスまで行ってくれればプラマイゼロは見えてくるので、これをどう考えるかは皆さん次第といったところではないでしょうか。
【新進気鋭”生産牧場としての“グランデファーム】
育成牧場やコンサイナーとして一定の支持をされていたグランデファームがの生産頭数がグッと増えたのは2019年。
この年、分場が完成したのと事で、ここから本格的に生産にも乗り出し始めました。
そして翌年の2020年産では早くもドゥーラが札幌2歳SとクイーンSを快勝。
さすがは衣斐さんです。
ドゥーラの母イシスは中央1勝。
引退後小島牧場に繋養されたものの、一世代を残してすぐにグランデファームに移っています。
初仔のオシリスブレイン(父バゴ)も中央4勝(うち障害1勝)を挙げたように決して出来は悪くなかったはずなので、おそらくグランデさんからのオファーで買い取られたのでしょう。
1年の空胎を置いて産まれた2019年産はドゥラメンテ産駒の牝馬。
そう、ドゥーラの全姉です。
しかしこの馬、セレクトセールで918万しか付けませんでした。
この頃には既に半兄のオシリスブレインも勝ち鞍を挙げており、父がドゥラメンテに替わったことを考慮すればかなりの安値ではないでしょうか。
結局、その低評価を覆すことが出来ず全姉ドゥラッツォは中央では3戦すべて2桁着順で終わり抹消されてしまうのですが、実はこの馬を購買したのがサイプレスホールディングス。
そう、ドゥーラの馬主と同じです。
そして何より重要なのが、このドゥーラは庭先で売られたということ。
サイプレスの代表は進学ゼミナールの檜田英幸氏で、グランデファームとの直接的な関係は見えませんが、何らかの意図でドゥーラは売られたものと解釈しています。
余談ですが、さらに1つ下の2021世代の全妹は中込哲太郎(山梨県の不動産業ダイタの社長)という登録したばかりの新米馬主さんに“またもや”庭先で売却されています。
どう考えても牧場屈指の期待馬ですよ?
それを全くの新人馬主に普通庭先で売りますかね?
ということでここにも何らかの意図が介在しているものと思います。
グランデオーナーズだったりしたのかなあ…。
【で、結局何が言いたいの?】
ってなりますよね。
少し脱線してしまいましたが、ここで私が言いたいのは『グランデファームの場合、デキの良い馬=セールで売るとは限らない』という点です。
事実、生産を本格化した2019年産以降、中央で勝ち鞍のある頭の6頭のうち、セール出身はセレクトで2160万をつけたヴァンダービルト(1勝)のみ。
後は全て、庭先、クラブ提供、グランデオーナーズのどれかです。
今回、京サラにはイエロースターの募集取り消しによりツバキエンジェルのみの提供となりましたが、このツバキエンジェルの預託先は吉田直弘厩舎。
グランデFー吉田厩舎は現2歳~現8歳世代で5頭いて内3頭が中央で勝ち上がり。
かなりの勝ち上がり率を誇っていますし、現2歳のシュンプウも新馬戦3着で勝ち上がりが期待できます。
まだ2勝馬は出ていないので回収率という観点からは何とも言えませんが、グランデファーム自体がまだまだ新鋭の牧場ですのでここから伸びてくる可能性は大いにありますので期待のラインです。
今回は主に社台グループ、そして宮内牧場とグランデファームについていろいろ妄想してみました(笑)
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