はじめに角田光代著「坂の途中の家」Kindle版を読んだ。角田光代ファンなので、小説からエッセイまで全作品を読破している(はず)。はずというのは、再編されたものは含まないため。結論から言うと、暗く重たく息苦しい。読み進めにくい。咀嚼しづらい。だからと言って希望がないわけでもない。子どもを持たない私が本書を読んで感じたことをまとめる。 「坂の途中の家」あらすじ 30代の主婦山咲里沙子は、イヤイヤ期に差し掛かった娘の子育てに時折迷いながらも、毎日を過ごしている。そんな里沙子の
結論日本のパスポートでビザなしで渡航できる国は約190ヵ国。かなりざっくりした結論だが「選択的夫婦別姓」で増える選択肢と、渡航できる国の数は同じようなものでは?という仮説から「夫婦別姓」について考えてみた。 夫婦別姓について考えるきっかけ2024年2月に経団連会長が「選択的夫婦別姓」を国が推し進めていくべきだと発言し、再燃している「夫婦別姓」。前情報として、私は在英、日本国籍で外国籍のパートナーと結婚しているため「夫婦別姓」。2018年に米ネバダ州の役場で結婚し(紙にサイ
4年ぶりに日本へ一時帰国する。 会いたい人、訪れたい場所、食べたいもの、数ページに渡る買い物。4年の間にリストは幾度も修正を繰り返し、短くなったり長くなったり、進化し続けた。 今回のフライトはドイツのルフトハンザ航空を利用し、英マンチェスターから独フランクフルトを経由し東京羽田まで約20時間。チェックインでほぼ空のスーツケース2つを預け、しょっちゅう遅れるマンチェスターからのフライトもほぼ定刻通り。スムーズすぎて、ふと不安が頭を掠めるがスムーズに越したことはない。なんたって
匂いフェチの私は、そんじょそこらの誰よりも匂いの引き出しが多い。 湿った押し入れのにおい。校庭の砂埃のにおい。昆虫の標本のにおい。 温かな気持ちにさせるにおいや、官能的なにおい、はたまたギュッと目を瞑って遠ざけたい悲しみを含んだにおい。死のにおい。赤ちゃんのにおい。 絵具や絵筆、キャンバスや鉛筆、木炭のにおい。画材のにおいはいつだって私を幼少期に引き戻す。 生まれて数ヶ月してから、5歳ぐらいになるまでだったろうか。私は長野の祖母の家に度々預けられた。祖母の家の敷地に、叔父は
ここのところ「感情ぶつけられる祭り」だった。向き合っている相手がことごとく私に感情を剥き出しするキャンペーンだったようだ。 園子温監督の「愛のむきだし」という作品があるが、タイトルを付けるならまさに「感情のむきだし」だった。 中でも露骨だったのが母である。母の日だったし、たまたま休みだったので電話をかけたら「イベントなんて私は無関係だから。」とカワイゲのない台詞を吐いてきた。いつものことなので、軽く流して1時間ほど話して通話を切った。 しばらくしてから、また母からLINE
驚いた。気がついたら5月になっていた。 まだ私は3月ぐらいの気分で過ごしていたのだ。驚いた。 季節がすっかり移り変わっていた。 宝くじに当たるぐらいの確率で2回も陽性反応が出て、 合計20日の自己隔離も体験した。今ではすっかり笑い話。 どこへ出かけるわけでもないし、 相変わらず仕事も時短勤務で、 自分の時間が増えたから、それに比例して困ったことも増えた。 困ったことだと表現するのは、ちょっと違うかもしれない。 私は「わたしの本音」に気がついてしまったのだ。 私はどう生き
春になった。 食料品の買い出し以外には どこへも行かない春。 おまけに絶対に感染しないはずだと 根拠のない自信があった私は 例の新型ウイルスにまんまと感染し 自己隔離を余儀なくされた。 自己隔離中だと連絡した 友人らの反応はさまざまだったが 「知り合いでかかった人は初めて!」 そんな好奇の眼差しが多かった。 それもそうだろう。 なんとも反応しがたい気持ちも 理解できる。 情報が錯綜して なにが真実かも見えないなかで 人は見たいものを見る。 見たいものだけを見る。 自分
年末も押し迫った日のことだ。 いつもと同じスーパーに いつもと同じ時間に パートナーと買い出しに出掛けた。 クリスマス前で 店内は混みあっていた。 例年なら キラキラ ワクワク 人々は浮かれた気分で そわそわと買い物している。 2020年の暮れのスーパーは どんよりとして 厚い雲に覆われた しかめっ面した 冬のイギリスの天気のようだった。 私とパートナーは 映画「Chef」で観た 『キューバンサンドもどき』にハマっていて それにぴったりのスーパーの自社製品 BBQ味の豚
朝 目覚めると 銀世界が広がっていた。 樺太島と同じぐらいの北緯にある ヨークシャーだから 冬はシベリアのように寒く 雪も降ると思ったら そんなことはない。 グレートブリタン半島の周りを 暖流と寒流が流れており 冬でも氷点下を回るのは稀だ。 雪が降ると 軽く絶望感を抱く。 なぜだろう。 人間は無力だ。文明の利器は無力だ。 自然の力には太刀打ちできない。 そんな 至極当たり前のことを 思い出すからだ。 年の瀬も迫った 2011年。 私はロンドンにいた。 薄給と有給をは
私は「ピンク」が恐い。 正確には「ピンク」を身にまとうのが恐い。 服なんてとんでもない。 バッグも小物もノートも。 2020年は 3月から美容院が閉まっていて どこにも行けないし なにかしたくて 自分で 髪の毛をピンクに染めてみた。 私にとっての「清水ダイブ」だった。 ピンクヘアにしたら メイクも変えたくなって ピンクメイクを研究した。 美容院が営業を再開した夏。 すぐに飽きたピンクヘアも止めて 茶髪に戻した。 ピンクなんてすっかり忘れていた12月。 友人が「数秘術
はじめまして。 日常から拾ったインスピレーションを 言葉で表現します。 初体験のリーディングセッションで 出会った女の子について。 まだ記憶が鮮明なうちに 書きたいと思います。 縁があって在英の友人に Zoomで 遠隔リーディングをしてもらいました。 半信半疑 おっかなびっくり ちょっと怖いもの見たさ。 友人の声に耳を傾けると そこには 小さな女の子が 膝を抱えてぽつんと座っている。 それは紛れもなく 小さなわたし。 2~3歳ぐらいでしょうか。 口を真一文字にギュ