大学授業の一部を遠隔授業でおこなうこと

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COVID-19に対応した授業を計画する大学に向けて、文部科学省が「令和2年度における大学等の授業の開始等について(通知)」を発行しました。遠隔授業の部分は、「メディア授業」についての大学設置基準や過去の告示の確認と、面接授業(いわゆる一般の教室での授業)の一部を遠隔授業(多様なメディアを高度に利用して行う授業)で実施可能という内容です。後者が今回の通知の重要点と思いますが、そこが強調されているわけではなく、また過去の経緯や制度にくわしくないとわかりづらいと思うので、以下で要点を説明してみます。当然ですが、解釈が間違っている場合もあることはご容赦ください。

遠隔授業について
大学設置基準第25条では「授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる。」としています。通学制の大学でもこのフルオンラインの遠隔授業で卒業単位124単位のうち60単位を習得可能です。遠隔授業はメディア授業と呼ばれることもあります。また、単位を伴う授業の意味と、授業の各回やその方法の意味で使われる場合があるようです。

平成 13 年文部科学省告示第 51 号において、遠隔授業の類型(2種類)と要件が示されています。下図のように「大学における多様なメディアを高度に利用した授業について」ではわかりやすく表現されています。単純にいうと、同時双方向型は面接授業相当をテレビ会議等でおこなうものです。今回の通知では、「同時双方向型の履修場所が「自宅を含む」と明記されました。オンデマンド型は、MoodleやBlackboardのような学習支援システム(LMS)などを用いて、十分な指導や意見交換の機会を設けることが必要です。

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面接授業における遠隔授業(の方法)の実施
今回の通知には「面接授業の一部を遠隔授業によって実施した場合等、主として面接授業により修得した単位として扱い、上記上限の算定に含めない場合には、学則において当該事項を定める必要はない」と書いています。面接授業の一部で、メディアを利用して教室等以外の場所で履修をおこなうことができるようになりました。COVID-19対策で人が集まることがいつまで制限されるかわかりませんが、その間の授業を遠隔授業の方法でおこなうことができるというお墨付きが文部科学省から出たということです。

MOOC(オンライン教材)や放送大学を見せておけばいいのか?
では、MOOCや放送大学のビデオを学生にあたえておけば単位が出せるわけではありません。「大学における多様なメディアを高度に利用した授業について」では、MOOCの利用について(1) 自ら開設したMOOCの履修、(2) 単位認定可能な他大学のMOOCの履修、(3) それ以外のMOOC等を授業で活用、の3つを挙げています。(1)(2)は問題ありませんが、オンデマンド型の遠隔授業でのMOOC(オンライン教材)の利用では、十分な指導や意見交換の機会が必要であり、その仕組み(人、ツール)と時間を用意しなければなりません。また、「試験の上単位」について「一斉に実施する定期試験等に限られるものではなく,レポートの活用による学習評価等,到達目標に応じた適切な成績評価手法」を選択することも求められています。

Zoom(や、WebEX、Hangoutsは同時双方向型か、オンデマンド型か
これは個人的な意見ですが、Zoomのウェビナーは同時双方向型の利用が可能ですが、オンデマンド型として運用する方がよいと思います。Zoom等の性能はかなりよいとはいえ、負荷や障害によってダウンすることがあります。また、受講生の自宅等のネット環境や負荷の問題で寸断その他のトラブルも考えられます。これらの受講上の障害の可能性は、面接授業はもちろん、大学の教室を結んでテレビ会議システム経由でおこなわれる同時双方向型の遠隔授業にくらべてはるかに高いものと考えられます。

したがって、遠隔授業をリアルタイムに同時双方向型の方法でおこないながら、授業を録画してオンデマンド型として運用するほうが、リスクが低くなるでしょう。また、指導、意見交換、成績評価のためによいのではないかと思います。