【聴講】高度情報技術を活用した全ての子供の学びの質の向上に向けて~

国立教育政策研究所「教育革新」プロジェクト フェイズ1 シンポジウム
~高度情報技術を活用した全ての子供の学びの質の向上に向けて~
」(2020/2/3)を午後から聴講しました。

「教室に高度情報技術をもちこむ前に~協調学習の原理と高度情報技術の効果」では、Jeremy Roschelleさんはリモート参加で、白水始さんと齊藤萌木がコメントするスタイルです。Roschelleさんの研究(テクノロジーをつかった協調的な学び、収束説)を白水&三宅の建設的相互作用説によって再解釈、統合することや、仮設実験授業という「古い酒」を「新しい革袋」に入れる研究が紹介されて、これらを可能にしているのが対話の記録と質的分析であるという説得力のあるよく練られたセッションでした。RoschelleさんのGroupScribblesSimCalcなども興味深い。

次は麹町中学の戸栗さんがCOMPASSの神野さんと、数学のAIドリルを導入した話です。ワイガヤでドリルをすすめる中学生たちはすごいのですが、麹町中学の特殊性や、製品の事例をつくるための手厚いサポートあっての成功では?という点が気になります。これは教育実践研究でも感じることです。後のパネルで浮いた時間の使い方を尋ねられて、神野さんがドローンでの数学の使われ方云々をわーっとピッチしたのですが、それかなり一方的な講義形式ちゃう?とも思いました。

ミネルバ大学のKenn Rossさんのプレゼンテーションは内容もテクニックも圧倒的でした。"We need to rethink what, how, and where students learn"を解決するためにミネルバシステムは以下のようデザインされています。
1. Cognitive Dexterity -> Far Transfer: Habits of Mind + Cross-Contextual Scaffold
2. Attention & Focus -> Fully Active Learning: Unprecedented engagement
3. Learning outcomes -> Minerva Forum: Feedback and learning outcomes tracking
今の大学教育を否定ではない、方法やツールをかぶせるというアプローチが可能で、できる学生のためにミネルバシステムを今後導入する大学も増えるのかもしれません。

最後のパネルは田村さん、益川さんが、それぞれの立場から各トークにコメントした上で学校現場における先端技術利活用ガイドラインに意見を延べ、slidoで集めた質問にパネリストが答えるものでした。わたしの立場からは「新時代における先端技術〜」は好ましくない内容を含んでいるのですが、白水さんはそれらにやんわりと批判をして、データに基づく差別についても言及されていたので、学習者中心のガイドラインになることを期待します。

パネルでは以下の海外のガイドラインが紹介されました。

・米国 
 ・全体指針:National Education Technology Plan
 ・教育現場向け:Building Technology Infrastructure for Learning
 ・事業者向け:Ed Tech Developer’s Guide
 ・教員養成機関向け:Advancing Educational Technology in Techer Preparation
 ・Cyberlearning Community Report: The State of Cyberlearning and the Future of Learning With Technology
・英国 Using Digital Technology to Improve Learning