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何度でも読み返したいと思う作品に出会える喜び  『初恋、ざらり』


人生のうちで、「何回でも読み返したい」というマンガにいくつ出会えるだろうか。
そのようなマンガに出会うたび、「出会えてよかった、マンガが好きでよかった」と思う。

初恋、ざらり』が4/13(水)に発売される。


『初恋、ざらり』は、ちょうど一年ほどまえ、2021年3月から、著者・ざくざくろのTwitterアカウントで連載が始まった作品。

続きが更新されるにつれ、反響が大きくなっていき、今年はじめにアップした最終話では、3万以上のいいねを集めた。



当初、本作は所属するコルクから電子書籍のみを出版していました。

その後、KADOKAWAの編集者・高見さんから熱いラブコールをいただき、この度、4/13(水)に紙書籍(上下)と、コルク版電子書籍3巻(完結)を同時発売するに至りました。KADOKAWA版・コルク版と複数存在するため、自分自身の整理のためにもつくった早見表がこれ。

初恋、ざらり 紙書籍電子書籍一覧

ざくろさんが「どれを買っても読者さんに喜んでもらいたい」と、本編とは別にそれぞれに描き下ろしをしてくれました。よって、描き下ろしは各書すべて別々になります。


『初恋、ざらり』はTwitter連載ということもあって、TLに流れてきたツイートから一度は作品に触れてくださった方も多いと思います。あらすじを簡単に。

必要とされると拒めない女の子が、恋をした。「必要とされると、拒めない…」主人公・上戸有紗は、「コレ」でしか役に立てないと、
求めてくる男性につい体を許してしまう日々を送っていた。               軽度の知的障害がある自分に自信が持てない有紗は、
新しく始めたバイト先の優しくしてくれる社員・岡村さんが気になり始めて…。                                      不安定な二人の行き先から目を離せなくなる、切なくも愛おしい恋のものがたり。(書籍紹介文より)

認知アップや多くの方の目にふれられる、という点ではTwitter連載はとても良いメディアなのですが、一回の投稿につけられるページ数がより限られてしまうので、長編の場合はその没入感が得られにくいという部分もあります。なので..


『初恋、ざらり』こそ、ぜひ通しで読んで没入感を味わっていただきたい!


それは、主人公の上戸有紗や、彼女が想いをよせる岡村龍二というキャラはもちろん、本作の世界そのものを、ざくろさんがくっきりはっきり鮮やかに、描き切っているから。これにつきます。その世界にどっぷりとひたっていただきたいのです。

ざくろさんはあとがきでこのように話しています。

漫画はここで終わりですが、それは二人を映すカメラのスイッチがオフになっただけで、有紗と岡村さんは今もどこかで生活しているんだろうなぁと思います。(下巻あとがきより引用)

まさに『初恋、ざらり』を読んでいるとざくろさんのカメラが、ふたりを追っていることがよくわかります。それは有紗と岡村さん以外の登場人物にカメラを向けてもディテールの解像度が変わらないから。だから、二人以外の登場人物たちもとても気になる、好きになる。

私の好きな有紗&岡村さん以外の登場人物。

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有紗の友人ともちゃん。まさに「ダブルソフト(おそらく)をそのまま食べてそう」。ドーナツを食べた後指をちゅぱってやるシーンがあるんですが、それを見て、ざくろさんはともちゃんにそれをやらせているというよりも、「ともちゃんが食べてるシーンを見てるんだ」と思って鳥肌。ちなみにともちゃんはスロプロでアイドル志望なんです。


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有紗のママ冬美と、飼い犬メルちゃん。

冬美がラブマスターであることや美容にかなり力をいれているところも見ていて面白く、メルちゃんはいつも上戸家で繰り広げられる重要シーンをみている!描き下ろしに入っている、冬美の若い頃のエピソードや、その後のイケイケ冬美も注目です..


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有紗と岡村さんの職場の先輩、一夫さん(左)と天野さん(右)。

岡村さんの悩みを聞いたり、飲みに行ったり、絡んだりと、頼もしくほほえましい先輩たち。ふたりが出てくるとシリアスな場面が続く中もほっと一息つけます。特に一夫さんははしばしに岡村さんへの愛を感じて、そんなしぐさもソーキュート..!


他にも岡村さんパパ・ママ、中西さんなど、愛しいひとたちがまだまだたくさんいるのですが、それはぜひ本編で楽しんでいただければと。

そして、肝心のこの二人。有紗と岡村さん。

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(初恋、ざらり 2巻より)

岡村さんのことを好きになればなるほど、自分の障害について悩み、「普通になりたい」と願う有紗。終盤につれ少しずつ紐解かれていく、有紗の小さい頃や学校での体験も読んでいてとても胸が苦しくなる部分。

岡村さんは岡村さんで、有紗が好きだとおもう反面、今まで馴染みのなかった障害に対する戸惑いや、両親との関係、将来の不安について逡巡していく。

特に後半(紙書籍下巻・電子書籍3巻)からの展開は本当に涙なしでは読めず、この一ヶ月はKADOKAWA高見さんとゲラを見ながら「今日も泣いてしまいましたね...」と言い合っていました。


さらに『初恋、ざらり』の作品において重要になってくる要素がもうひとつ..それは「季節感」!

出会いの春から夏、秋、冬..と季節がめぐるとともに少しずつ有紗と岡村さんの関係も変化をみせていきます。

4月という、桜の季節のタイミングで書籍を出したのも、そんな背景があります。


読み返すほど『初恋、ざらり』の世界が好きになります。

ぜひひとりでも多くの方に知ってもらいたい作品です。


==【4/20更新!描き下ろしタイトル一覧】======

感想ツイートを読んでいると、「描き下ろしもよかった!」という声も多く、リクエストにお応えして「どの書籍に何の描き下ろしタイトルが入っているか?」を更新します!


★KADOKAWA版

上巻描き下ろし:「8335日後に愛を誓う少年」

学生時代のちょっと冷めた目の岡村さんが見つめる両親の関係は..


下巻描き下ろし:「舅と姑」「嫁と姑」

岡村パパ・ママの長年の関係が生み出すふたりのエピソードと、有紗と岡村さんママのエピソード。どちらも好きすぎます。


★コルク版

1巻描き下ろし:「高尚なギャグ」「有紗が来る前のお喋り」「有紗が来た日の岡村さん」「セクハラに気をつける」「飲み会色々エロエロのあと」

盛りだくさんすぎる1巻の描き下ろし。バラエティ豊かなエピソード満載です。


2巻描き下ろし:「あっさりこってり」「アッサリ目にしてみた」「天然には勝てない」「天野さんと仲がいい岡村さん」「岡村さん秘密の恋」「ラリル岡村さん」「有紗のママ19歳 パパとの出会い」「ある日の夕方」

2巻で私がぶっちぎりで一番好きなエピソードが有紗ママ・冬美のお話。必読です。


3巻描き下ろし:「プロポーズ」「岡村パパママの反応」「両家顔合わせ」「老いと恋愛」

発売までのカウントダウン絵など

岡村パパママさんと冬美が一同に会する「両家顔合わせ」は全段ぶち抜きの冬美さんも必見!岡村パパさんの◯◯も刮目ください。



また、こんな企画もやっております。『初恋、ざらり』の紙書籍を買って送ったらサインしてお返しする企画!(*期間限定&送料はご負担ください)

ひとりでも多くの方に『初恋、ざらり』の物語が届くことを願っています。どうぞ宜しくお願いいたします。



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