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人に愉しんでもらうために

昨年と全く同じ日に角川三賞の授賞式と謝恩会があったので、一年間小説を出版出来なかったにも関わらず顔を出してきました。
角川三賞というのは、新人賞である横溝正史ミステリ大賞と日本ホラー小説大賞、そして年間を通して選ばれた作品の中から選出する山田風太郎賞の三つの賞の総称のことです。文藝春秋社主催の芥川賞と直木賞のようなものの角川版とお考えください。


その二次会では錚々たる面子が歓談の間にスピーチをするのですが、もともと森村誠一先生が三賞の受賞者に対しカレーを振舞うところが発祥なので、昨年も書いたような、とても面白く且つためになる話が聞けるのです。


今年は残念ながら森村誠一先生がご欠席されたこともあり、例年なら「こう!」という定型を崩しつつ、しかしながらそこはベテランの作家さんたち。ほんの数分前に「スピーチをお願いします」と請われても、マクラからオチまでしっかり聞いている人たちを楽しませるのです。

幸いにもスピーチ順をメモしておいたので、列挙します。

京極夏彦
鈴木光司
塩田武士(本年第七回山田風太郎賞を『罪の声』にて受賞)
奥泉光と角川のゆかいな仲間たち(フルート演奏とギター&キーボード)
綾辻行人
最東対地(本年第二十三回日本ホラー小説大賞を『夜葬』にて読者賞を受賞)
貴志祐介
逸木裕(本年第三十六回横溝正史ミステリ大賞を『虹を待つ彼女』にて受賞)
黒川博行
柴田よしき
伊岡瞬(第二十五回横溝賞大賞受賞)
河合莞爾(第三十二回横溝賞大賞受賞)
長沢樹(第三十一回横溝賞大賞受賞)
米澤穂信(第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞)
堀井拓馬(第十八回日本ホラー小説大賞読者賞受賞)
織守きょうや(第二十二回日本ホラー小説大賞読者賞受賞)
名梁和泉(第二十二回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞)
澤村伊智(第二十二回日本ホラー小説大賞大賞受賞)

これだけの面々がシモの話から筋肉の話、日頃眠くて眠くてたまらないとかスランプに陥っただのの話を面白おかしく聞かせるのです。
これを聞くと否が応でも「さぁ来年もがんばろうか!」という気分になるので、KADOKAWAから、お前達もう来るなと言われるまでは参加し続けたいものだなぁと思うのです。

そして数日空けた今日、また昨年から一年ぶりに「ピカ☆マイ」のステージを観に行ってきました。
昨年の感想は「さようならボクの2015年」の後半をお読みいただければと思います。

約一年前の日記を読み直してみたら、あの頃に比べたらボクは随分回復してきたんだなぁと感じます。まだ仕事のペースは以前のようなスピードには戻っていませんが、これはもう戻らないかもしれません。
というのも、以前よりも小説に向き合う時間が増えているし、加齢とともにマンガの長時間作業をすることが難しくなってきているのです。
それでも月に一本。二十四枚は仕上げるようになるのが今の目標です。

そうやって回復することが、今まで支えてくれた人たちに報いることだと信じているからです。

さて「ピカ☆マイ」ちゃんたちについて書きますが、今年は少し厳しいことをいいます。

昨年は600人動員することが目標ということでそれを達成した彼女たちですが、今年は1500人だと聞きました。目標は高く。それはいいことです。
一年ぶりに現場に行ってみると、いなくなった顔、新しい顔があることに気が付きました。
それはアイドルの現場にはつきものです。
アイドルでいられる期間は、長くても10年〜15年です。きっと違うカタチの夢を追いかけることにしたのだな、そしてそれが良い選択でありますようにと願います。

「ピカ☆マイ」はライブとお芝居を観せるグループで、それぞれ一部と二部に別れていて、1500人動員設定は二部のお芝居の部だとのことです。

まずそこが解せませんけど、それはボクが口を出せる範疇ではないので出しません。

いいですか、今回はメンバーに言うことはありません。
むしろ昨年に比べて成長が見られるメンバーもいて「よし!」と感じることさえあったのです。

アイドルは自身でプロデュースをしない限り基本的に運営や事務所の定めた方針に則ってそれを具現するのが仕事ですから、ステージ上で他人を不快にするなどの粗相がない限りその是非を問うつもりはないのです。



ボクが問いたいのは、お芝居の内容に関してです。
今回の「ガールズオン・ザ・ラン3」でやりたいことは、なんですか?
カタルシスがないじゃないですか。
「赤いシリーズ」を知ってる世代のボクですら、この内容は部分部分は楽しめても、あの次回への引き方では納得できません。

主人公に超えてはいけない一線を超えさせてしまいましたね。
これをどうやって正の方向に持っていくのですか?大逆転があったとしても、そこが引っかかるんです。

例を出します。
『天空の城ラピュタ』でパズーはシータを捕まえられてしまい、お金を握らされて、それを受取りトボトボと帰る道すがら、そのお金を地面に投げつけようとしますが、思いとどまりグッとそのお金を握りしめポケットにしまいます。

そのお金は後にドーラたち空中海賊を雇うために使われますが、本当は「そんなお金はいらない」とはねつけたほうが、よりカタルシスはあったのです。

強大な大人に抵抗しようとしたけれど敵わなかった少年に、宮﨑駿監督なりの「そんな簡単なもんじゃねぇよ」という大人心がそうさせたのでしょうが、昔の冒険小説の主人公ならまずそんなお金は受取りもしないものなのです。

しかしそれはよいのです。法を犯したわけでもないし、結果として心地よい結末に導き、お客さんに「面白かったね」と言ってもらえたのですから。


現状の流れで、そんな大逆転ができますか?

あるのならごめんなさいと申し上げますが、少なくともボクの中には澱が残って残ってしょうがないんですよ。

あそこでなぜシャッターを切らせてしまったのですか!?あそこは「やっぱりこんなことはできない!」と撥ねつけるべきだったのではないでしょうか?
スターアイドルになろう、死んでしまったあのコのためにそのグループに残った主人公は「なんでもする!」とは言いましたが、越えてはならない常識のラインというのはあるはずです。

「あのコのためにもできないことはできない!」と拒否してから、また対立したって良いじゃないですか?それじゃあダメだったんですか?

メンバーはほんとうに一生懸命演じていましたよ。

でもこの脚本と構成で、今後動員を増やせますか?
もう一回よく考えてください。
アイドルでいられる期間は短いのです。
あなた方大人が、それを食いつぶして良いはずがないでしょう。



あんまりこういうことを書くと動員に響きかねないので、ほんとうは書きたくないんです。でもね、やっぱり気持ちよく帰りたいじゃないですか。
明日もまた頑張ろうって思いながら帰りたいじゃないですか。

だって人を笑顔にさせるのがアイドルの仕事でしょう?
暗い話でも心に残るものを提供するのがエンターテインメントでしょう?
あなた方は大きなステージで勝負したいんでしょう?
だったらもう少しよく考えてください。

そして現場のヲタ達は好きで通ってはいますが、あんまり疲れさせない方が良いと思いますよ。動員は達成できても、その後が続きません。


書いたからにはボクも意地があります。

年内もう一回観に行きますからね!


お願いしますよ!






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